
「解説の質が高い!根拠が大元まで辿れる教材」
最終更新日:2022年9月29日
- おすすめしたプロフェッショナル
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石井 裕太 / 宇都宮文星女子高等学校
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旺文社

- おすすめのポイント
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Q. 良い点
本教材は、解き方や、指示語の説明など根拠の大元まで辿れるような説明が多い。そのため、自学自習の課題で出すものとしては、解説の質がかなり高くて良いと思っている。
また、解説は論理的に根拠を提示してくれているものが多く、一つ一つ納得しながら学習を進めることができる。
そして、別冊に記載の英文解説も好印象。解説には、例えば歴史上の人物の死因を特定する内容の場合、最新鋭の研究によって一昔前に考えられていた死因は誤りだったということがある。この場合、技術の進歩は目覚ましいと考えがちだが、それにより死者の印象が180度変わってしまうこともある。筆者は死者の周りの人が知らなくていいことまで科学技術はおせっかいにも明らかにしてしまうことを嘆いている。最近の理系偏重の見方に警鐘を鳴らしている。このような興味深い英文に対して、筆者の意見も、また面白く書かれているまとめがある。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
一文ずつの細かい文法の解説があればより良いと感じる。細かい解説があると、読解の授業なのに文法説明にばかり時間を割かなければならないということがなく、読み方に集中できる。また、文法の説明がわかっている生徒に対しては、文法の説明は無駄な時間になるのでクラス全体で読解・解法に集中できる。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
他の教材と比べたときに模範解答をみていると、「文脈で判断」「話の流れより」など、英文を読めれば解けるだろうという解説が多い。根拠が書かれていないもの、解説するにあたって説明の内容が曖昧なものではなく、文法的判断や語彙的判断など「形」に依ったものを探した結果、本教材にたどり着いた。
Q. 理想の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
使用を予定しているクラス
国公立大や難関私立大への進学を目指している、秀英特進コースの20人以下の1クラスで使用したいと考えている。
教材の構成(全体構成、ページ構成)
左のページに問題の長文と右のページに設問があり、次の左のページに要約の穴埋め、右のページに重要語句やリスニング問題が集まっている、オーソドックスな構成となっている。
解説は別冊となっており、英文解説には日本語で筆者の皮肉やそれに対する考えが書いてある。長文に必要な背景知識や、現代ではどうかなどの話が簡単に数行で記載されている。
選択肢の問題に対しては、答えだけではなく、なぜあっているのか、なぜ間違っているかまで記載されている。
レッスン数は1冊あたり15レッスンあり、1レッスン1.5〜2回の授業で終わらせることを理想としている。
理想の進め方
一コマ50分の授業の中で、20〜25分で問題を解き、10分程度で自己採点、残りの時間で教員の補足説明をしていきたいと思っている。
また、リスニングの問題がある場合は、教員の補足説明の時間を短縮し実施していきたい。
解説に割く時間が少なくなってしまうため、説明が足りない分は生徒自身に解説を読ませて理解を深めてもらいたいと考えている。
週に3回、本教材を利用する予定の授業があるため、各定期考査までに、4〜5レッスン終えられるように進めたいと考えている。
実際に使用を開始するタイミングとしては、2学年の2学期ぐらいからを想定している。本教材は、高校生で扱う文法をひと通り学習しており、継続的な単語学習を進めている必要があるため、本校の生徒の場合、2年生の2学期までには使用開始できると想定している。
これから工夫をしていきたいこと
Chromebook を使って、どのように考えて答えを出したのかを答えさせ、段落構成や、指示語の位置を考えながらクラスメイトに向けた解説を作成させること。
解説作りは隣の生徒や周りの生徒とペアで話し合って決め、慣れてきたら1人1題で割り振り、匿名でクラス共有をして全員で解説を見ていく。わかりやすい言葉を選んで、苦手な人でも理解できる解説を作るため、また「発信力」を鍛え人前で意見を言うスキルを身につけてもらうために、発表の場を設けたいと考えている。
学校全体では既に、各教科の教員が事前に問題を割り当て、授業内でクラス全体の前、あるいは3〜4人のグループの中で考えてきた解説を発表させるという授業が行われている。そのため、生徒同士で問題を持ち寄ったり、解説させたりする習慣がついているので、新しい教材を使用する際も同様に授業を進めていきたいと考えている。
また、解説の中で、模範解答の不十分に感じられる点や補足をすべき点などを話し、「正しい」とされる情報を盲目的に信じるのではなく、「なぜ」その解答になるのかを自問自答しながら、クリティカルな思考を育てる学習もさせていきたいと考えている。
Q. 使ってみた後の期待
問題を解くときに、なぜこの答えなのかという説明が自分の中で確立しているようになってほしい。そして、ほかの教材で解説が薄いものに出会ったとき、もっと良い解説を導き出せるぐらいの力がついてほしいと思っている。
個人的には「直感」と言うのは長文題材によっては出来不出来が出やすく、自分の読み方に軸ができなくなると考えているため、入試問題を解くにあたっては「理屈で理解」ということを重要としている。そのため、授業外で解説を読むときには自分のペースで読み、理屈で理解できるようになることを願っている。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
4年制大学や、共通テストなどのセンター試験を受ける生徒向けに作られている教材なので、中堅校や進学校に向いている。
また英語に興味があり、中学校の英語はもちろんのこと、高校2年生の後半の時期までに、曖昧でも良いので高校生で習得する文法や単語が、一通り頭に入っている生徒の方が実になる教材である。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
単語習得ができなかったり、英語が苦手な生徒にはあまり向かないと思う。

- 石井 裕太
- 宇都宮文星女子高等学校