Textbook Review

Enrich Learning

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この教材のスペック(要点)

採択・併用を検討する前に押さえたい基本情報です。各値は付与済みのタグ(出版社・学年・技能・レベル等)に基づきます。

Enrich Learning

出版社 東京書籍
学年 高校
対象 高校生
種別 教科書
  • 対象:高校生。実践レポートは中高一貫校の高校(英語はレベル別に1クラス10人程度)での利用
  • 技能:4技能統合。1ユニットの中でリスニング・リーディング・リテリング・ライティング/プレゼンまで扱う
  • 出版社:東京書籍(教科書)
  • 題材:ブリティッシュ・カウンシル監修のオーセンティックな英語。新聞記事・パンフレット・Eメール・ウェブページなど多様なジャンル
  • 向く狙い:会話重視で、教科書をそのまま使ってアウトプット活動まで進めたいクラス

Enrich Learningとはどんな教材か

出版社の紹介文では、4つの「Rich」が特徴として挙げられています。ブリティッシュ・カウンシル監修のオーセンティックな英語、4技能5領域をバランスよく育む教材構成、学びを振り返り考えを深める Questions、実生活で出会う多様な英語(テキストジャンル)の4点です。「ENRICH LEARNING I・II」では、教科書の目次ページや該当箇所から関連コンテンツにリンクでき、予習・復習向けのコンテンツも用意されているとされています。

実践レポートを寄せた鹿児島育英館中学・高等学校の吉田美和子先生によると、全部で8ユニット、各ユニット15〜16ページ程度(巻末資料を含めると196ページ)で、各ユニットは次の流れです。

  1. Warm-Up:トピックに関する写真と選択肢を見ながらクイズに答える導入
  2. Listening 1:トピックに関する日常会話
  3. Reading 1:メインの本文。トピックに関する500〜700語程度の文章
  4. Grammar & Comprehension
  5. Retelling:本文の内容理解を深め、アウトプットにつなげる
  6. Listening 2 & Reading 2:同じトピックの異なるジャンルの短い会話や文章
  7. Unit Activity:ライティングやプレゼンなどのアウトプット活動

ユニットごとに学習目標のスキルが明記されているため、教員が観点を持って教えやすいと先生は評価しています。リスニングにはラジオや校内放送、リーディングには雑誌・新聞・ブログ記事などがあり、長文は200語程度から500語以上までさまざまで、生徒が場面ごとに疑似体験をしている感覚で向き合えるとのことです。

現場で迷うポイント——どんなクラスに向き、どんな場合は別の選択か

吉田先生は「どの層にも使い方によっては使える」としつつ、特に会話重視で実際に生徒に英語を使わせたいクラスに勧めています。同校の高校は1学年1クラス(定員40人、現在は20人程度)で、英語の授業ではさらにレベル別に2つに分けて1クラス10人程度で行っており、上位層は英検2級〜準1級程度、下位層は英検3級程度とのことです。

合わないケースとして挙げられているのは次の2点です。

  • 会話型なので、40人以上などあまり大人数のクラスでは指導が難しい
  • 共通テストに向けた指導ではない(ただし、いろいろなジャンルの話題に触れられるので、共通テストの長文問題に慣れさせる意味では役立つかもしれない、との補足つき)

採用の前提は「4技能をもっとも伸ばせる教科書を選びたい」ことでした。同校中学の特進コースで使っているケンブリッジの『Uncover』と同じように、1つのユニット内で4技能すべてを指導できる構成である点が決め手だったそうです。以前の教科書ではスピーキングのために教材を追加で作る必要がありましたが、本書は教科書をそのまま使えばアウトプット活動まで行える、という比較です。

困った点としては、ワークシートや副教材のデータが改訂前の形式も含めすべて提供されているため「どれを使ったらよいか迷う」こと、デジタル教科書が紙面をそのまま映すだけなので写真だけ・質問だけを映す使い分けができるとよい、という要望が挙げられています。

授業での使い方——導入・展開・宿題への組み込み

吉田先生の先生の実践レポートによると、1ユニットを50分授業8時間(週4コマ×2週間)で扱い、1年で8ユニットを終わらせます。コマ配分は、Warm-Up 1コマ、Listening 1 と Reading 1 で2コマ、Grammar & Comprehension と Retelling で2コマ、Listening 2 & Reading 2 で2コマ、Unit Activity 1コマです。

毎回の授業の型

  1. 冒頭5分の Small Talk。ユニットの目標(例:ユニット1は「数字を聞き取る」)を意図的に強化する話題を織り交ぜる
  2. 教科書の質問について、生徒一人一人がまず考え、次にペア・グループで話し合い、最後にクラスでシェアする
  3. 授業の終わりに、その日の学習の Reflection や Opinion を発表するスピーキング活動

授業はほぼ All English で行い、文法の部分だけは日本語での説明も加えています。教科書に沿って進めれば教員が話す時間が少なく済むとのことです。

Reading 1 の進め方(2〜3時間)

  • 新出語句の発音確認と、素材(新聞・小説・エッセイなど)のカテゴリー確認
  • 教員の質問(What’s the title of this passage? など)で読み進める
  • 生徒の基本活動:質問について考える(個人→ペア・グループ→クラス)→各自本文を読む→答えを確認(個人→ペア・グループ→クラス)
  • 内容理解が不十分な場合はペアでのパラレルリーディングやパラグラフ構造の確認

導入クイズからプレゼンへ

Warm-Up では絵を見てクイズを出し、ペアで話し合わせます。ユニット1は「1秒間に起こっていること」というテーマで、「ウサギの心臓は1秒間に何回動いているか」「日本では1秒間にどれだけの食べ物が廃棄されているか」といったクイズがあるそうです。毎回の授業末のスピーキングで使った表現を積み重ねると、ユニット最後のアウトプットの準備になります。プレゼンは原稿を読むのではなく、発表者と聞く側がクイズ形式で会話しながら進める形で、導入のクイズのやり取りがここで生きるとのことです。順番にやっていけば最後に生かせるので、生徒のプレゼンへのプレッシャーが少ないと述べています。

指導上の工夫と結果

すべての項目で、ペア活動の前に一人一人が考える時間を取り、ノートにブレインストーミングを書き出す活動を通して自分の考えを持たせます。ペア活動では自分の伝えたいことを言うだけでなく、必ず相手の意見も聞くよう指導しているそうです。

結果として、新課程の評価で「テストに教科書の本文を使わない」方針に不安があったものの、実際にやってみると英語が得意な生徒と苦手な生徒の点数差が狭まったと述べています。これまでは「覚えたこと」を回答する記憶力の良い生徒が良い点を取れていたことに気づき、今は授業でやったことが少しずつ実力として身についている実態が見えてきた、とのことです。

編集部からひとこと

豊かな学びで確かな英語力を育てる

この教材の先生の実践レポート(全 1 件)

吉田美和子

吉田美和子先生(鹿児島育英館中学・高等学校)

豊富な題材と明確なユニット目標で、さまざまな場面を疑似体験しながら4技能を身に付ける

ユニットごとに学習目標のスキルが書かれている。狙いがはっきり分かるので、教員が教えるにあたってしっかり観点を持って教えやすい。またきれいな写真が多く、扱われているジャンルも、新聞記事やパンフレット、Eメールやウェブページなど、豊富なので、生徒も興味を持ちやすい。

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