- 対象:高校生。実践レポートでは高2〜高3、英検2級前後のクラスで使用
- 技能:長文読解・英文解釈。和訳を通じた精読と、ライティングへの展開
- レベル:応用・難関。国公立2次や難関私大の記述対策として使われています
- 出版社:Z会。文法項目別25章、重要構文90と和訳問題75題(出版社の紹介文より)
- 向く狙い:構文を正確に取り、直訳ではなく自然な日本語に仕立てる和訳トレーニング
英文読解 FOCUS 和訳編とはどんな教材か
出版社の紹介文によると、本書は文法項目別25章の構成で、重要構文90を確認・習得する和訳問題集です。構文を暗記するのではなく、英文に下線を引いたり、SVOCを書き込んだりする形式で、問題英文の下の解答欄に直接和訳を書き込めるレイアウトになっています。検印欄が付いており、長期休暇や週末の課題としても使えます。編集部の紹介では、重要構文を含む90の例文と75題の和訳問題で和訳力を強化する教材と位置づけています。
紙面構成については、2本の実践レポートで次のように報告されています。各章の最初の見開き左側に、その章の重要構文を使った1行だけの短い例文の和訳問題が3〜4つあり、その後に1ページ1題で、5行前後(70〜80語程度)の英文を読んで下線部を和訳する問題が3題並びます。章のページ数は「各章4ページ」「見開き2〜3ページ」と報告に幅があります。また、目標としている大学の出題問題が例として出されている点を採用の決め手に挙げた先生もいます。
現場で迷うポイント——どんなクラスに向き、どんな場合は別の選択か
2本のレポートに共通するのは、国公立大学の2次試験で和訳が出題されるため、試験直前ではなく前もって和訳演習を積んでおき、過去問演習への移行をスムーズにするという位置づけです。精道三川台中学高等学校のH先生は、少人数の成績上位の生徒、入試で記述式の問題がある国公立や私立難関大を目指す生徒に向くと述べています。横内敦先生は、生徒の和訳がカクカクした直訳になりがちで、角を取って自然な日本語に仕立てるトレーニングが必要だったことを導入理由に挙げています。
クラス規模については見方が分かれます。H先生は、和訳問題は1人1人個別指導した方が良いため十数名くらいまでの少人数クラス向きで、30人以上の大規模クラスでは指導が不十分になると指摘しています。一方、横内先生は1クラス34〜35人の理系3クラスで、ペアワークと机間巡視を組み合わせて運用しています。大規模クラスで使う場合は、個別添削ではなくペアでの推敲を軸にする設計が前提になります。
難易度については、H先生が「最難関大学を目指すうえでは問題自体が少し易しい」と述べており、同校では最難関を目指す生徒には別の教材で課外補習を行っています。横内先生は「生徒にとって少し難しい英文もある」としつつ、その部分も含めて誰が読んでも分かる日本語にすることを目標にしています。
授業での使い方——導入・展開・宿題への組み込み
型1:宿題+ペアワークで「角の取れた訳」を作る(高2・34〜35人クラス)
横内敦先生の先生の実践レポートでは、週5単位の英語のうち、他の2教材(『Cutting Edge』とリスニング教材)と並行して、50分授業の30分程度を本書に充てています。
- 各章の最初の見開き1ページ(短い例文の和訳)を宿題にする
- 残りの下線部和訳のうち2問を授業中にペアワークで扱う。各自で訳した後、隣同士で見比べ、2人で協力して角の取れた良い訳を作る(1問10分程度)
- その間に机間巡視し、引っかかりそうな箇所への対処を確認。方向がずれていれば修正し、良い訳は後で紹介するためにメモしておく
- ペアワーク後に教卓でおすすめの和訳を提示して軽く解説し、次へ進む
ペースはおおむね1〜2週間で1章、2学期の終わりに1冊が終わる予定です。工夫として、直訳ではうまくいかない箇所や引っかかりがちな箇所を抽出し、背景知識をヒントとして与えています。例として “We are causing the first episode of mass extinction on the planet in 65 million years.” では、”first~in…”(…ぶりの~)の理解に、6,500万年前に何が起きたのかという背景知識を添えて訳の方向を示しています。まだ5回目の授業の段階でも、提出される和訳に成長が見え、おかしいと気づいても採点者任せにしていた「他力本願」がなくなり、より良い訳を追い求めるようになったと述べています。今後は和訳から自分で英文を再構成するパラフレーズに広げ、ワードチョイスの必要性を体感させたいとのことです。
型2:2コマで1章、全文訳と個別確認(高2の3学期〜高3・発展クラス6名)
H先生の先生の実践レポートでは、コミュニケーション英語の授業内で、長文読解や文法テキスト、模試の過去問などを挟みながら、週2コマ(45分授業)で1章ずつ進めています。
- 1コマ目:各自で問題を解く。出題は下線部のみの和訳だが、前後の文脈が大切なので全文を訳させる。巡回しながら解答を見て、全員が同じような間違いをしていれば指摘する
- 2コマ目:全体の解説。主語・目的語など構造の確認を中心に、別冊の解答集を参照しながら進める
指導上の工夫は、文脈に沿った日本語になっているかの確認です。「Social」が「社会」にも「社交」にもなるように、日本語の選択の誤り、構文の解釈はできているのに意訳しすぎているケースなど、つまずき方は生徒によって違うため、訳漏れや誤訳を1人1人きめ細かく確認しています。結果として、下線部だけでなく前後の文脈を踏まえて訳す意識と、構文をきちんととらえたうえで訳す習慣が身につき、模擬試験の偏差値が60前半で止まっていた生徒が70に届くなど成果につながったとのことです。
編集部からひとこと
重要構文を含む90の例文と、75題の和訳問題で和訳力を徹底強化!
先生の実践レポートから
- 横内敦先生の実践レポート:生徒の和訳の違和感を解消するため、2023年度から高2の全クラスで導入。宿題+ペアワークで自然な日本語への推敲を重ね、生徒から模範解答より角の取れた良い訳が出ることもあると報告。
- 精道三川台中学高等学校 H先生の実践レポート:地方国公立やMARCH志望の発展クラス6名で、高2の3学期から使用。25章×3題の合計75題の和訳問題と、出題大学が示されている点が決め手。模試の偏差値が伸びた生徒も。





