- 対象:高校生。実践レポートは高1(1学年13クラス、1クラス40名前後)での利用
- 技能:スピーキング・ライティング(英作文)を中心とした「論理・表現」の教科書。入試・資格にもつながるテーマ設定
- レベル:シリーズ3段階のうち be Smart は「標準〜発展」(文法の定着を図り発信力を養う)
- 出版社:いいずな書店(教科書)
- 向く狙い:文法・語法の定着を土台にしながら、各レッスンの最後に「話す」「書く」の自己発信活動まで到達させたいクラス
論理表現 I(beシリーズ)Smartとはどんな教材か
出版社の紹介文によると、本書は①導入→②定着→③発展の3ユニット構成で、①文法を含むモデル会話→②文法解説と TASK →③文法を使った自己発信活動という流れで論理と表現の力を身につける教科書です。問題は文法のチェック問題 CHECK と活動問題 TASK の2種類があり、TASK の活動内容は「やり取り」「発表」「書く」のマークで表示されています。文法項目と発信活動の目標は Self-Check として掲載され、達成度を評価しながら目標を意識して学習を進められます。
実践レポートを寄せた伊藤清先生は、2015年から本書の執筆委員を務めており、今回の改訂版には同校の英語教員数名も携わっているとのことです(レビューを読む際はその立場を踏まえてください)。先生の説明によると、本書は Lesson 1〜23 で構成され、各レッスンは文法を軸にした4ページです。
- 1ページ目 Start-Up(導入):ページ上半分にモデル会話文、下半分にそのレッスンの文法項目の説明や注意すべき単語の発音。モデル会話には “Guess what?” のような会話表現も散りばめられています。会話文の下の「Tips for Better Communication」(2〜3行)では、たとえば相手を褒める語として Great! や Awesome! が自然で、Marvelous! Fantastic! Brilliant! はやや大げさ、といった単語のニュアンスを学べます
- 2・3ページ目 INTERACTIONS(定着):4つの文法項目を軸に例文と解説。各項目に TASK(ペアワークや簡単なライティング)が必ず付き、ページ下部の VOCABULARY でそのレッスンの重要単語・表現が明確になります
- 4ページ目 ACTIVE LEARNING(応用):SHARE(スピーキング)と WRITE(ライティング)の2つのアクティビティ。SHARE はメモにまとめたりグループで発表し合い、WRITE では40〜60語程度の英文を書きます
例として LESSON 4「Travel」では、Mary と Hiroki の旅行についての会話の中で I’ve never been there. や My uncle has been living there for ten years. といった文から自然に現在完了形を学び、定着部では A【完了・結果】B【経験】C【現在完了形・現在完了進行形:継続】D【現在完了形・過去形】に分けて扱います。C の TASK には「列車で旅をしていて乗車から1時間以上たった今、車内で何をしているかを SNS につぶやくつもりで英語で書く」といった身近な題材があり、WRITE では「行ってみたかった所に到着した場面を想像し、友だちや家族に送るメールかはがきを50語程度で書く」というお題だったそうです。
本書には英語ネイティブの教員も関わっており、自然で日常的なコミュニケーション表現が多く載っていると先生は述べています。
現場で迷うポイント——どんなクラスに向き、どんな場合は別の選択か
伊藤先生によると、本書シリーズは Harmony(基礎:楽しく英語を使いながら文法力を身につける)、be Clear(標準:基礎を固めて表現力を身につける)、be Smart(標準〜発展:文法の定着を図り発信力を養う)の3レベルに分かれており、クラスに合わせて選べます。「あまり合わないクラス」は特にないとの回答でした。
迷いやすいのはボリュームです。先生は「ボリュームが多いと負担に感じる方は、必要なところを選んで指導できる」と述べており、実際に定着部のタスクは時間の関係で全部は実施できないときにタスクを選べる点を使いやすさとして挙げています。逆に言えば、レッスンをすべて順に消化する使い方だと、3コマで1レッスンのペースを維持するのが難しい可能性があります。
もうひとつは、指導方針との相性です。先生は「文法・語法が定着していなければ、英語で自分の意見・考えを正しく述べることは難しい」という立場で、定期試験でも文法・語法の知識が軽視される問題は作らないようにしていると述べています。文法を軽く流して活動中心にしたいクラスでは、本書の定着部の使い方を最初に決めておく必要があるでしょう。
授業での使い方——導入・展開・宿題への組み込み
伊藤先生の先生の実践レポートによると、同校では旧シリーズ(英語表現Ⅰ)の時代から使用しており、2022年4月の新学習指導要領で「英語表現」が「論理・表現」に変わった後も引き続き使っています。授業1コマは50分で、おおよそ3コマで1レッスンです。
- 1〜2コマ目:1〜3ページ目。Start-Up のモデル会話を基に話す練習をしながら自然な表現を知り、INTERACTIONS で4つの文法項目を例文とともに学ぶ。各項目の TASK でペアワークや簡単なライティングを行う(時間がなければタスクを選ぶ)
- 3コマ目:4ページ目の ACTIVE LEARNING。SHARE でメモやグループ発表、WRITE で40〜60語程度のエッセイを書く
- 授業後:WRITE のエッセイは毎週添削して返す。評価を明確にし、生徒を傷つけないように配慮する
使ってみた結果として、応用部のエッセイを「楽しい!」と喜んで書く生徒が多く、ACTIVE LEARNING が「このレッスンもやり切った」という達成感を与えているようだと述べています。テーマは「日常生活について話す」のような身近なものから、「技術・発明について考える」「社会問題について話す」など大学入試にもよく出るものまであり、今すぐ完璧にできなくても2・3年後に役立つ、という見立てです。ライティングの答えは1つではなく、生徒にとって「自分の書いたことを教員に認めてもらえる大切な機会」なので、支援や寄り添いを大切にしたいとのことです。
編集部からひとこと
コミュニケーションにつながる発信力をつける





