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英語嫌いな生徒も夢中になる 「動」と「静」の繰り返しでつくる「あっという間に終わる授業」

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「うちのクラス、全員が英語嫌いなんですよ」。常翔啓光学園中学校・高等学校の早瀬由美子先生は、新学期に担任として受け持った際、驚きを隠せなかったと話します。小学校では楽しい英語活動をしていたのに、中学校では覚える単語数が増え、ライティングも本格化します。その段階で英語に苦手意識を持ってしまった生徒が多かったのです。

早瀬先生は、そのような「英語アレルギー」の生徒たちに、どうすれば英語を学んでもらえるのかを考え、泥臭い試行錯誤を続けています。「勉強しなさいと何度言ってもやらない」「ずっと座って話を聞き続けることはできない」。そうした生徒たちと向き合いながらたどり着いたのは、ペアワークや音読といった「動」の活動と、解説を中心とした「静」の時間を小刻みに繰り返す授業スタイルでした。

今回は早瀬先生に、生徒が「あっという間に終わった」と感じる授業づくりの工夫を伺いました。あわせて、アウトプットの重要性や、明日から実践できる授業改善のヒントも紹介します。

#英語嫌い#ペアワーク#アクティビティ#アウトプット

英語嫌いな生徒でも、「あっという間に終わった」と感じる授業とは?

――現在担当されているクラスの状況と、授業の基本的な構成について教えてください。

(早瀬)現在は、高校1年生の進学コースのクラス担任をしています。最初に驚いたのは、45人のクラスの生徒全員が英語嫌いだったことです。
小学校ではリスニング中心で楽しく英語を学んできた世代です。しかし中学生になると、ライティングが始まり、覚える単語数も一気に増えます。

その段階で挫折してしまった子が多い印象でした。実際には点数が取れている生徒も少なくないのですが、「嫌いだから苦手」という意識が先に立ってしまっているように感じます。

本校の授業は45分です。その中にできるだけ多くのアクティビティを取り入れ、生徒が「あっという間に授業が終わった」と感じられるように設計しています。具体的には、最初の10分は単語の読み合わせなどの練習。続く15〜20分で教科書の解説を行います。残りの時間は、音読やペア活動などをテンポ良く進めています。

――「あっという間に終わる」と感じさせるために、具体的にどのような工夫をしているのでしょうか?

(早瀬)とにかく「一人で悩ませない」「飽きさせない」ことを意識しています。たとえば、「will」と「be going to」の使い分けなど、文法の違いを説明する際も、私が一方的に教えることはしません。「この違いって何だと思う? 隣の人と1分話してみなさい」と、まずはペアで考えさせます。

音読の際も、立ったり座ったりしながら体を使って読ませます。読んだ後はペアになり、じゃんけんで勝った人が相手に問題を出すことも。
また、リスニングのディクテーションでは、机をくっつけてペアで相談しながら取り組ませています。一人では聞き取れなくても、「俺はこう聞こえたけど、どっちなん?」「あ、これこっちやん」と、わいわい協力しながら盛り上がって取り組んでくれていますね。

[caption id="attachment_16477" align="alignnone" width="600"] <音読の際は、立って読ませることもあります>[/caption]

――単語学習なども苦手な生徒が多いと思いますが、どのような「声かけ」を工夫されていますか?

(早瀬)単語アプリを導入していますが、英語嫌いな子たちに「毎日やりなさい」といくら言ってもなかなか習慣にはなりません。彼らの中には「単語の勉強=机に向かってひたすら書いて、長時間やるもの」というイメージがあるんです。

そこで私は、「1日5分でいいからやってみない?」と声をかけています。「YouTubeを30分も1時間も見るでしょ? そのうちの5分を単語に充ててみて」と。全部正解しなくてもいいし、とりあえず丸バツをつけるだけでも大丈夫。家でやるのが難しければ休み時間でもいいので、隙間時間を使ってやってみようと伝えています。生徒たちの心理的ハードルを極限まで下げ、まずは学習習慣をつけることに注力しています

「動」と「静」の活動を繰り返し、生徒の集中力を持続させる

――そもそも、なぜそういった活動中心でテンポの速い授業スタイルに行き着いたのでしょうか?

(早瀬)私自身のせっかちな性格もあると思います (笑)。ずっと同じことをしていると私自身が飽きてしまいますし、しーんとした中で授業をするのも嫌なんです。だから「はい次、はい次!」とテンポ良く展開していくスタイルになりました。

授業を組み立てる際の基本は、「動」と「静」を繰り返すことです。活動は1つにつき5〜10分を目安にしています。20〜30分も活動ばかり続くと、逆にダラダラしてしまうからです。わいわい話しながら活動する「動」の時間の後は、私が解説する「静」の時間。生徒たちは黙って話を聞きます。

そしてまた、活動の時間を5分間入れる。この「動」と「静」を交互に繰り返すことで、生徒の集中力を持続させています。

――授業中の生徒の反応を見ながら、即興で内容を変えることもあるのでしょうか?

(早瀬)ありますね。そのときの生徒のモチベーションや、曜日、時間割によっても変えています。たとえば、お昼ご飯を食べた後の5限目などは、私が一方的に喋っていると、どうしても眠くなってしまう生徒もいるんです。

「今日はちょっと反応が悪いな」と思ったら、あえて活動を増やしたり、全員を立たせて声を出させたりと、その場で柔軟に調整しています。いつも隣の席が同じ生徒で飽きるようなら、その場ですぐに席替えをして新しいペアを組ませることもあります。

[caption id="attachment_16478" align="alignnone" width="480"] <グループやペアになった方が頑張れる子も多い>[/caption]

――時代とともに生徒の気質が変わってきたと感じる部分はありますか?

(早瀬)今の高校生は、中学校で探究学習やグループワークを経験する機会が以前より増えています。昔のように、45分間座って話を聞き続けるのは難しいかもしれませんね。

一方で、一人で黙々と取り組むよりも、グループやペアになった方が「誰かを助けよう」と頑張れる子が多いのも今の生徒の特徴だと感じています。だからこそ、その特性を生かしながら、英語が苦手な生徒も周囲に助けられつつ活動に参加し、学びにつなげられるような授業づくりを意識しています。

英語は、声に出し話すことで身に付くもの

――先生ご自身は、教員になられた当初からそうしたアウトプット中心の授業をされていたのでしょうか?

(早瀬)いいえ、当初は45分間ずっと教科書を読み、T/F(丸バツ)の問題に答えさせるという、一般的な授業をしていました。ところが、ただ黙って教科書を読むだけの授業に私自身が疑問を持ち始め、「声に出さなければ頭に入らない」と思うようになったんです。

転機は、英語教育が4技能重視へと変わり始めたタイミングでした。また、私自身の経験も大きかったです。娘の学校の縁で留学生をホストファミリーとして受け入れているのですが、英語を声に出して使うと、驚くほど頭に入ってくるんですよ。

やはり「声に出すこと(アウトプット)」が言語習得には不可欠だと痛感し、授業でも必ず、音読やスピーキングの活動をメインに入れるようになりました。

――授業で活動の時間を十分に確保するために、どのような工夫をされていますか?

(早瀬)ICTが導入されてからは、電子黒板などのデジタル機器をできるかぎり活用しています。教科書の解説などをPowerPointで作成して提示できるようになったので、それまで板書にかかっていた時間を、生徒の演習やアウトプットの活動に回せるようになりました。

また、一斉授業と個別学習を組み合わせて、全体の学習効果を高めるよう意識しています。たとえば、リスニングの授業では「一斉に聞く」だけでなく、タブレットを使って「自分のペースで、聞き取れるまで何度も聞く」という個別学習にも取り組んでいます。

「英語ができて楽しい」と思える授業こそが大切

――授業にアクティビティをうまく取り入れたい、引き出しを増やしたいと考えている先生方へ、アドバイスをお願いします。

(早瀬)私は、他教科の先生の授業を見に行くことをおすすめします。英語の先生の授業はどうしてもスタンスが似通ってきがちです。しかし、他教科でアクティブラーニングをうまく実践されている先生のグループワークの中には、英語の授業にも取り入れられそうなものもよくあるんです。

新しいアクティビティを自分一人でゼロから考えようとする必要はありません。外部の研修などで見た方法をまねしてみるのもよいと思います。最近は、大学で新しい教育手法を学んできた若手の先生も多いので、そうした先生の授業を見てみると、自分の授業をアップデートするヒントが見つかるかもしれませんね。

――活動を多く取り入れると、「楽しいだけで、学習効果がないのではないか」という批判的な声もあるかと思います。先生はどうお考えですか?

(早瀬)確かに、私自身も「アクティブラーニングばかりで、ただ楽しいだけで成績が上がるのか?」と思っていた時期がありました。たとえば、Kahoot!(カフート)などのクイズでクラス全体が盛り上がっても、その単語を本当に覚えているかどうか、疑問が残るケースもあります。

しかし、それでもやはり「楽しいことが前提」であるべきだと思っています。もちろん、「ただ楽しい」だけではありません。「英語ができて楽しい」と思えるような授業こそが大切だと考えています。

高校生である以上、いつかは受験勉強という厳しい道に向かわなければなりません。しかし、その前に「英語ってやればできるんだ」という達成感や自信を持てれば、生徒たちは自律的に勉強するようになります。

ペアで学び合い、「あ、そういうことだったのか!できたじゃん!」と気づく。そんなふうに、生徒が自走するためのきっかけづくりとして、今の授業スタイルを続けていきたいと思っています。

 

取材:小林慧子/記事作成・編集:谷口諭・白根理恵

この記事に登場する先生

早瀬 由美子先生

早瀬 由美子先生

常翔啓光学園中学校・高等学校

常翔啓光学園中学校・高等学校英語科教諭。現在は高校1年生進学コースのクラス担任を務める。生徒が「あっという間に授業が終わった」と感じられる授業づくりを実践。「動」と「静」を組み合わせた授業設計を通じて、英語が苦手な生徒も参加しやすい学習環境… プロフィールを見る →

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