これならうまくいく!? 英語の「家庭学習」を考える【前編】~自動化を促す家庭学習の考え方と実践研究の設計~

最終更新日:2026年2月18日

— 音読課題で成果をあげる実践のヒント —

家庭学習として宿題を出すだけでは、英語はなかなか定着しません。授業で教えた知識を、生徒が考えなくても素早く・正確に使える状態(自動化)に近づけるには、宿題の「質」が鍵になります。

本記事の結論は3つです。

1.授業だけで自動化まで到達させるのは難しい
2.効果の出る宿題は、短くても思考を伴い、反復できる設計になっている
3.音読課題は、交互練習を取り入れると成果が出やすい

大阪星光学院中学・高等学校の石原健志先生は、音読アプリを家庭学習に組み込み、中学1年生の文法テスト平均点を向上させました。本記事では、石原先生が行った家庭学習の具体設計(音読の手順、練習の組み方、フィードバックの考え方)と、「まとまり練習」と「交互練習」を比較した実践結果を前後編に分けて紹介します。前編では、自動化を促す家庭学習の考え方と実践研究の設計について、後編では、実践研究の結果と考察(音読課題と交互練習の効果)についてお伝えします。

(本記事は、2025年6月13日に実施された同テーマのセミナーを書き起こし・再構成しています)

授業だけで「正確性の向上」や「自動化」させるのは難しい

(石原先生)英語の授業の目標は、教えた内容が定着して、正確性が向上し、生徒が考えなくても自然に英語を「素早く」「正確に」使えるようになる、つまり知識が「自動化」されることだと考えます。たとえば、正確性が身についていないと「三単現のsを忘れないようにしなきゃ」と毎回意識しても間違えてしまいます。また、話したり書いたりするスピードが遅くなるでしょう。さらに、その後、自動化に向かうにつれて、素早く、正確に英語をアウトプットできるようになるでしょう。

一方で、こうした目標に向けて授業を工夫しているにもかかわらず、効果が思うように上がらないと感じている先生も少なくないのではないでしょうか。1人の教員が担当できるクラス時間は多くても週200~300分程度であり、その時間内ですべてを完結させて自動化まで到達させるのには限界があります。

正確性の向上および自動化に向かうための「宿題の条件」

(石原先生)では、どのような宿題だと正確性の向上(文法知識の定着)および自動化に向かうことできるのでしょうか。

正確性の向上、自動化につながりやすい宿題は、短くてもよいので思考を伴い、生徒に運用を促す内容であること。そして繰り返し取り組むことで、スピードや正確さを高めることが重要です。

重視すべきは量だけでなく質もだということです。後述する実践結果からも、学習時間(RepeatalkTime)とは独立して、練習タイプ(交互/まとまり)の違いも2回目スコアと関連していました。

以下の4つを満たすと、宿題が“自動化につながりやすい練習”になるでしょう。

  • 条件1:短くても思考が入る(単なる写し・作業で終わらない)
  • 条件2:反復できる設計(繰り返してスピードと正確さが上がる)
  • 条件3:望ましい困難(少し難しく、考える負荷がある)
  • 条件4:フィードバックがある(どこを間違えたか理解できる仕組み)

特にフィードバックは重要です。単に答え合わせをするだけでは学習は深まりません。フィードバックを通じて、生徒が立ち止まって自分の間違いを意識することが、知識の定着を助けます。

「質」を担保する音読課題の設計

(石原先生)宿題の質を担保する具体策として、有効な取り組みの一つが音読活動です。意味のある音読は、英文を理解したうえで声に出して読むことで、知識を「使える形」に近づける橋渡しになります。自動化に向かうためのステップの一つとも言えます。ただし、ただ読めばよいわけではありません。音読が「意味のある練習」になるためには、少なくとも次の条件が必要です。

・モデル音声を用意する(音・リズム・区切りを参照できる)
・文法指導と組み合わせる(意味理解に加えて、語順や活用・文法への注意が向く設計)
・やりっぱなしを防ぐ(発音や流暢さへのフィードバックで学習状況を把握できる)

そこで今回の実践研究では、練習方法をカスタマイズでき、AIを活用した発音フィードバックも得られる音読アプリ「Repeatalk」を導入しました。これにより、宿題としての音読を「量だけで終わらせず」、理解とフィードバックを伴う練習として位置づけやすくなりました。

Repeatalkを使った音読活動:種類と順番

(石原先生)Repeatalkを使った音読活動は、次の順番で行いました。

1.Overlapping:文字を見ながらモデル音声に重ねて発音し、処理速度を高める
2.Repeating with Japanese:日本語を英語に即時変換する練習
3.Dictation:聞き取り・書き取りを通じて、文法への注意力を促す
4.Reproducing:英語の語順に意識を向け、再現する
5.Quick Response:実際の会話で必要な瞬発力を鍛える

このように、単に読むだけではなく、「変換」「注意」「再構成」「瞬発」といった要素を入れることで、運用につながる練習へ近づけています。

練習方法の工夫:まとまり練習と交互練習

(石原先生)さらに今回の実践では、練習方法そのものにも工夫を加え、「まとまり練習(Blocked Practice)」と「交互練習(Interleaved Practice)」を取り入れました。

まとまり練習(Blocked Practice)

一度に一つの文法事項に集中して取り組む方法です。同じ文法を反復して練習することで、その文法には早く「慣れる」ことができます。一方で、他の文法への切り替えに弱く、混乱しやすくなることもあります。

交互練習(Interleaved Practice)

複数の文法事項を混ぜて行う練習方法です。文法ごとに切り替えが頻繁に起こるため、その都度「考える」必要があります。最初は難しく感じたり、一時的に成績が下がったりすることもありますが、その分、文法の本質的な理解や柔軟な運用力が育ち、長期的な定着や実場面での活用に効果があると考えられています。

実践研究の設計:家庭学習でどこまで伸びるか

(石原先生)今回の実践では、音読アプリ「Repeatalk」を使って、まとまり練習と交互練習の効果を比較しました。検証のテーマは次の2点です。

1.「Repeatalk」を用いた練習が文法項目の定着(正確性の向上)にどう影響を与えるか
2.練習方法の違い(まとまり vs 交互)が家庭学習でどのような成果を生むか

対象・条件

・対象:中学1年生の4クラス(計192名)
・グループ分け:2クラスをまとまり練習、2クラスを交互練習
・学習内容:学習済みの5項目(一般動詞の過去形、be動詞の過去形、be going to do、助動詞、There構文)
・教材:教科書の基本英文(どの学校でも再現・応用しやすくするため)
・学習期間:約1か月
・学習方法:家庭学習としてアプリで練習

  ・教員の関与は初期設定と使用確認の1時間のみ
  ・期間中の声掛けは最小限(通常の宿題に近い環境を再現)
  ・タスク完了者にはボーナス点を付与

測定方法

効果を測定するため、「Repeatalk」による学習の前後に「日本語を見て英語を書く」形式の40問テスト(40点満点)を実施しました。

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