- 対象:高校生。実践レポートは高1の特進コース・文理コースでの利用
- 技能:長文読解を軸に、スピーキング・ライティング(英作文)へ展開する「英語コミュニケーション」の教科書
- レベル:応用・難関。国公立大学や難関私立大学を志望する生徒向けとの評価
- 出版社:数研出版(教科書)
- 向く狙い:インプット型の授業からアウトプット型へ移行したい学校。解説を付属動画に任せて授業内の活動時間を増やす使い方
BLUE MARBLE English Communication Ⅰとはどんな教材か
出版社の紹介文によると、本書は同一の英文に何度も触れて発信力を育てる構成です。本課の OVERVIEW で全 Part の英文の大意を把握し、各 Part で精読したうえで、さまざまな言語活動へ展開します。課末では本文内容の振り返りから発信活動へ進み、REPRODUCTION(レッスン全体のリテリング活動)と INTERACTION(本文に関連した別素材でのリスニング・表現活動)が置かれています。
実践レポートを寄せた松商学園高等学校の脇淵良太先生によると、全体は10レッスンとオプショナルレッスン2つで、8レッスンが基本的に実施したほうがよいもの、レッスン9〜10が進度調整用、さらに進度が早い場合用にオプション2レッスンという位置づけです。各レッスンは、導入活動→本文(全体)→本文(パートごと)→各パートの要約・リテリングと関連トピックの自己表現活動→本文関連の別素材を使ったリスニング・表現活動、という流れで、言語活動習得のための差し込みレッスンもあります。パートごとのページは左側が本文、右側が「書く」「話す」のアクティビティです。
題材は基本的に SDGs に関係するものが取り上げられているとのことで、例として SDGs の3・11・13、特に11(持続可能な都市づくり)に関係したレッスン4「独特な方法で行動を変える、人の行動をデザインで変える」が挙げられています。教授資料にはナビゲーションブック、ワークブック、教科書解説動画があり、新カリキュラム全体の特徴として教材から音声再生ができる点も報告されています。
現場で迷うポイント——どんなクラスに向き、どんな場合は別の選択か
脇淵先生は、比較的高レベルな内容なので国公立大学や難関私立大学を志望する生徒に向くとし、中堅私立大学や専門学校を目指す生徒は「難しくて苦戦するかもしれない」と述べています。同校で使っているのは特進コース(各20名で2クラス)と文理コース(1クラス40人弱で5クラス)で、先生自身が受け持つのは国公立・難関私立を目指す特進の2クラスです。
選定にあたっては、本文のレベルが共通テストなどに対応できることを前提に、比較した教科書の中で「アウトプット活動のやりやすさ」を決め手にしたそうです。全パートの本文が先に載り、その後にパートごとの本文が来る順序のため、最初に全体を通読してから段落(パート)で区切って読む、という共通テストと同じ読み方ができる点も選んだ理由に挙げられています。
逆に言えば、本文レベルが高めなので、アウトプット活動より本文の精読に多くの時間を割く必要があるクラスでは、進度が想定より遅れる可能性があります。実際、先生のクラスでも順調なら2コマで1パートのところ、平均すると3コマで1パートになっているとのことです。「困ったところ」は特になしでした。
授業での使い方——導入・展開・宿題への組み込み
脇淵先生の先生の実践レポートから、進め方を手順として整理します。授業は週4コマ、1コマ1時間です。
年間・レッスン単位のペース
- 基本は2コマで1パート。3〜4パートで1レッスンなので、4パートなら8コマ(2週間)で1レッスン。実際は平均3コマで1パート程度
- 年5回の定期テスト(中間・期末・学年末)ごとに2レッスンを割り当て
- 年度末までにレッスン8までは進み、レッスン9〜10かオプショナルレッスンは進度により春休み課題に回す見込み
1パートの流れ
- 新しいパートに入ったら、新出単語とそれが使われているフレーズを確認する。英作文をさせるよりは、単語・フレーズを使ってペアで会話させる
- 単語やフレーズをある程度自分で使える形にしたうえで、本文(左ページ)を解説する。順調なら1コマ目で左ページを終える
- 右ページのアクティビティで本文の内容を整理し、リテリングなどを行う。早くて2コマ目、平均すると3コマ目で終わる
リテリングでは白紙状態からではなく写真や書き出しなどのヒントが与えられているため、生徒が持っている語彙の範囲で自分の言葉に再構成でき、取り組みやすいとのことです。
予習・復習と教授資料
ナビゲーションブック、ワークブック、教科書解説動画を Google Classroom で配布し、生徒は予習や復習のときに使います。解説動画では文法的な解説や単語の語源など、従来は板書で説明していた内容が細かく説明されているので、生徒が必要なときに動画で見られます。授業では教員側がデジタル教科書の本文をプロジェクターで投影し、書き込みながら説明する形が基本で、黒板の半面を投影、もう半面で簡単な文法解説をすることもあるそうです。単語テストは別の単語帳で朝のホームルームに実施しており、本教材ベースでは行っていません。
指導上の工夫
字面を左から右に追うのではなく、本文中のどのワードとワードが対応しているか、指示語が何を指しているか、プラスとマイナスの記述がどうつながっているかといった「縦の論理的なつながり」を意識させる指導をしているとのことです。また、週4コマのうち余裕がある1コマでALTに来てもらい、そのとき学んでいるテーマについて話してもらうこともあります。
使ってみた結果
解説動画があるため教員が授業中に解説をすべて行う必要がなくなり、その分アクティビティに時間を割けるようになったと述べています。数値的な結果はまだ出ていないものの、記述模試で例年は空欄が多い英作文パートを書いている生徒が多い印象があったそうです。単語やフレーズを使う場面を自分でイメージしてペアで会話することで、アウトプットの機会が増えたことが背景ではないか、という見立てです。
編集部からひとこと
思考力・判断力・表現力を育成する教科書




