実録!英語外部検定試験の最前線

最終更新日:2021年6月30日

大学入試の英語4技能評価導入に伴い、各種認定試験にも注目が集まっています。各試験の比較サイトは数多くありますが、気になるのは「実際のところはどうなのか?」ではないでしょうか。そこで今回は、情熱あふれる5人の先生方に、それぞれの学校で導入している外部検定試験の実施状況を伺いました。導入校のリアルな声をお届けします。

 

英検(日本英語検定)

運営:公益財団法人日本英語検定協会
URL :https://www.eiken.or.jp/eiken/
(インタビュー:奈良育英高等学校 永野先生)

 

世の中にはいろいろな検定試験があり、英検だけが良いと考えているわけではありません。しかし英検を推奨している一番の理由は、なんといってもその抜群の認知度の高さです。「学生時代に準1級を取りました」と言えば、社会に出てからも一目置かれるほど、英語力評価が得られる可能性がある試験です。

さらにメリットとして、本試験会場で生徒が申し込みをすると、協会の方に全ての試験運営をお任せできます。生徒はどこの学校で受験になるかは分からなくなりますが、関西のさまざまな場所から登校する生徒は自分の希望する地域で受けられます。また、本会場として学校を登録すると、生徒は割引料金で受験することができます。教員側の負担はかなり軽減される印象です。

本校の生徒には1年に1回は必ず受験するよう呼びかけています。合格・不合格がはっきり出るので、合格という分かりやすい目標に目掛けて勉強を頑張るモチベーションになると考えています。

「英検準1級合格で英語の試験を満点とみなす」という方式を取り入れている大学もあり、加点や点数換算などの外部試験利用入試が増えています。また、級の合否に加えて、CSEスコアという得点がしっかり出るのも魅力です。外部試験利用を取り入れている大学の中には級とは別に、CSEスコアの点数が指定されていることもあります。準1級の合格はなかなか難しいところがありますが、CSEスコアが使えれば不合格だった試験も無駄にはなりません。

在学中にニュージーランドへの留学が必修となっている本校の国際理解Gコースでは、高3で準1級の取得を目標に取り組んでいます。英検に向かって意識的に勉強をしようとしている希望者とGコースの生徒は全員、週に1時間、過去問や語彙問題を解く英検対策講座を開催しています。その他、ライティングの型を身に付けるために、Googleドライブを活用してライティング問題の添削なども行っています。

頑張って取り組んでいる生徒は、やはり伸びる印象ですね。前述の国際理解Gコースでは、留学が始まる1年生の1月までに、全員が2級を取得することを目標に勉強に励んでいます。もし受からなかった場合も留学で自信をつけて帰ってきてから2級、さらにその上の準1級を目指して受験していきます。

受験する級がはっきりしているという英検のシステムは、対策講座や補習を実施する際も便利です。問題集も多く出ていますし、生徒にとっても、講座を設置する教員にとっても対策が取りやすいというのは大変魅力的です。

 

GTEC (Global Test of English Communication)

運営:ベネッセコーポレーション
URL :https://www.benesse.co.jp/gtec/
(インタビュー:精道三川台中学高等学校 本多先生)

 

中学生はBasicアセスメント版、高1はAdvanced アセスメント版(スピーキング以外の3技能)、高2は希望性でAdvancedのアセスメント版(3技能)か検定版(4技能)を導入しています。

大学入試に検定試験が利用できるようになるという話が出てきて、学校全体でGTEC対策に取り組む体制を整えました。その結果、授業中にGTEC対策の時間を確保できるようになりました。2021年度からは、テスト1週間前からGTEC用の問題集「スキルアップワーク」や過去問などを使って、問題を説いて解説を行う、という形の授業を行っています。

通常の授業でも、英文速読を取り入れたり、毎週末には長文の課題を出したりするなど、検定受験に結び付くような工夫をしています。Speakingについては、ベネッセが貸し出しているタブレットを使って、回答をタブレットに吹き込む活動を行っています。生徒たちはゲーム感覚で楽しんでいます。

中1から受験していた生徒の中には、高2の最後に受けた1280点満点のAdvanced検定版で、1000点以上のスコアを取った生徒もいました。Writingに関しては、高2の7月から12月でスコアが119点伸びた生徒もいます。Speakingでも、「ALTと会話ができるレベル」から「現地高校の授業に参加できるレベル」にまで到達した生徒が続出しました。

GTECの問題は中高生になじみのあるトピックも多く、本校の生徒には受験しやすい試験であると感じています。また、共通テストを受けた生徒からは「GTECと問題形式が似ていたから解きやすかった」と言う声もありました。

GTECを受験する機会は、生徒にとっても英語の4技能を身に付けるためのモチベーションになっています。

 

TOEFL ( Test of English as a Foreing Language)

運営:Educational Testing Service(ETS)
URL : https://gc-t.jp/about_test/toefl/
(インタビュー:岩田中学校・高等学校 廣松先生)

 

本校の高大連携コースであるAPU・RU進学コース(以下APUコース)には、ネイティブ教員が2名常勤し、多くの授業を担当しています。英語で学ぶ英語ディベートなどに加え、ホームルームや普段の学校生活で、生徒が英語を話す機会が多くあります。仮想海外留学ですね。こうした日常生活で身に付けた英語力を評価する検定試験があればいいなと思っていました。

APUコースでは、コースの立ち上げ時からTOEFL ITP(Institutional Test Program)を導入していました。しかし、TOEFL ITPは英語圏で大学生活を送る上での英語力が試される試験です。高校生として普段の生活で問題なく英語を使えている生徒や、習熟度レベルの高い授業を受講している生徒でも、大学生活を想定しているTOEFL ITPではなかなか高いスコアが出ません。そこで、全世界の中高生向けに開発された、TOEFL Juniorの導入に踏み切りました。

期待していた通り、TOEFL Juniorでは本校で身に付けた英語力が正当に評価されていると感じています。

現在は、高校3年生はTOEFL ITPを7月、9月、11月、2月の年4回、高校1、2年生は基本的にはTOEFL Juniorを学期ごとに年3回受験しています。下の学年でも、高スコアの生徒は希望制で高3と一緒にITPを受験できる体制にしています。また、中学生向けにもTOEFL Primaryを希望制で実施しています。

外部に依頼しているスコア分析からも嬉しい発見がありました。どちらかというと英語に苦手意識を持っていて、普段はなかなか褒める機会がない生徒がいたんです。その生徒がなんと、伸び率No.1の成績を出したことがありました。実は頑張って英語を勉強していたのだ、ということが、私たち教員に伝わった瞬間でした。TOEFL Juniorの導入を一緒に進めた同僚たちと手を取って喜び合ったのを覚えています。

TOEFL Juniorを導入したらそのための試験対策を新しく始めなければならないのか、という疑問をもたれる方がいますが、実際は逆です。新学習指導要領に沿った教科書や新共通テストが目指す語学力を検証してみると、国が求めている英語教育が変化しているのは明らかです。そしてそこで新しく目指される英語力は、以前からTOEFL Juniorが測ろうとしていた英語力に近似してきていると感じます。この変化の流れに乗って、4技能5領域の伸長を目指した授業を普段から行っていれば、生徒のTOEFL Juniorスコアは自然と上がってくると思います。

日本国内のものさしでなく、世界で通用するものさしで測るのがTOEFLです。それも、「英語で高校・大学生活を送れるか」に焦点が当てられています。

TOEFL Juniorは、日本が目指している英語力強化の方向性と非常にマッチしていると思いますよ。

 

ケンブリッジ英検(ケンブリッジ大学英語検定)

運営:ケンブリッジ大学英語検定機構
URL :https://www.cambridgeenglish.org/jp/
(インタビュー:中村学園 女子中学高等学校 居村先生・Juha先生)

 

ケンブリッジ英語検定は1858年にイギリスで始まり、今や約130ヶ国で毎年550万人以上の人が受験しています。また、20,000以上の教育機関や企業、政府等の認定試験に採用されているため、留学・就職・移住など多くのシーンで活用出来る汎用性高い国際的英語の試験です。

本校では、中1でPre A1 Starters、 中2でA1 Movers、中3年でA2Key、高1でB1 Preliminary、そして 高2でB2 Firstと段階を追って取得できるようにしています。

また、本校はケンブリッジ大学英語検定機構プリパレーションセンターでもあるので校内で受検できることも特色の一つです。実力のある生徒は飛び級も認めており、実際中学2年でB2を取得した生徒がいます。A2Key以上は合否だけでなく4技能それぞれをCEFRの4段階で評価し、またトータルスコアも出されます。例えばA2Keyを受検した場合Reading力はA1、Speaking力はB1・・・総合でA2の実力というような感じです。単なる合否だけではない点や4つのCEFR値で評価される点は他の検定とは異なります。そして日本人中心の試験で測ることのできるCEFR値はC1までが主流なのに対し、ケンブリッジはC2まで測ることができる点も大きな特長です。

Speaking と Writingはケンブリッジ検定機構から認定された外国人による評価であり、AIなどは利用しないため、より実践的な力を測ることも出来ます。自然な会話例として、例えば “Do you…?”で質問された場合、日本では “Yes, No” で応答することを教えますが、ケンブリッジでは“Does your Dad buy your comic for you ?” という問いに対して “I ask my uncle to get it.”のような応答もあることを教えています。型にはめ込んだだけの会話ではなく、Authenticな会話力が身に付くため、本検定で鍛えられた英語力があれば、英語圏でのコミュニケーションに困ることはないと考えています。

このようにこのケンブリッジ英検は、英語の知識量を測る試験ではなく、英語の知識を使いこなす能力があるかを判断するもので、文法力だけでは点数がとれない試験です。教える方の教員もSpeakingやWritingには模範解答がないので、指導側にも訓練が求められます。本校の教員であるユハ先生はteacher trainerであるので、本校英語科教員はトレーニングを受けて授業に臨んでいます。

また、ケンブリッジ大学英語検定機構が提供する無料ウェビナーや英語教材のガイドは、教員の知的好奇心を刺激する内容が散りばめられています。ウェビナーを利用して、世界中の英語教員と意見交換会や勉強会を行えるというのも、魅力の1つです。

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