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最終更新日:2022年5月24日

おすすめしたプロフェッショナル

山田 由佳 / 田園調布雙葉中学高等学校

目次

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Sanoma Pro

おすすめのポイント

Q. 良かったところ

本書はフィンランドで実際に使われている教科書のため、日本でそのまま使うことはないと思う。しかし、教科書内には多くのペアワークや口頭でのタスクが載っており、それらのアイディアを自らの授業のアクティビティーに取り入れることができる。詳しくは、Q実際の使い方の欄で後述したい。フィンランド語と英語で書かれている教科書であっても、十分に「ヒント」を得られる。複雑ではなく、使いやすい点もポイントである。

Q. 困ったところや改善してほしいところ

フィンランド国内の教材ということもあり、日本では購入しづらい。購入できるHPはあるが、選択肢がとても少なくやや高価な点。

Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い

英語教員になってから「英語での授業進行」を目標とし、続けてきた。教員5年目を迎えた頃、この授業スタイルに自分の中で答えを見つけられず悩んでおり、フィンランドでの教員交換プログラムに参加することにした。フィンランドの母国語はフィンランド語であり、英語は第二言語である。英語が母国語でない国での指導を学んでみたかった。実際に約5ヶ月間、フィンランドの学校でアシスタント教員として働く中で大きな驚きや学びがあった。

フィンランドの学校では、授業は基本的に英語で行い必要なところはフィンランド語で補足するスタイルで、それ自体は日本で自分がやってきたことと大差がないように思えた。しかし、授業内の口頭での練習問題やタスク量が圧倒的に多かった。結果的に、授業1コマでの生徒の発話量や英語を使う量がものすごく多くなっていることに驚かされた。日本では授業1コマで20問程度問題を解くところ、フィンランドでは50~60問は解けているようなイメージである。

「これを可能にしているのは何か?」。それは個々の英語教員の特別な努力やスキルではなく、「教材」にヒントがあった。本書は、まさに実際にフィンランドの公立学校で現在使われている教材である。フィンランドにいる間に本書を購入し、日本に帰ってからの授業で活用を始めた。

 

問題/課題:

本書は口頭でのペアワークがしやすく構成されているという特徴があり、うまく活用することで負担を増やさずに「コミュニカティブな英語の授業」を実施できる。このような教材を活用することで各教員の技量や責任に委ねすぎず、「コミュニカティブな英語の授業」をスタンダードにしていくことができると感じている。

 

状況(クラスの人数やレベル):

中学から高校まで、1学年はそれぞれ3クラスあり、1クラス35~40名程度。現在高1、高2を担当している。帰国生や海外経験がある生徒もおり、英語への関心は高い。

 

他の類似教材ではなくなぜこれか:

本書はフィンランドの子供たち(英語が母国語でない)向けに作られているため、英語が苦手な子供たちも置いてけぼりにしないような工夫がされている。例えば、教科書内の新出単語には必ずフィンランド語ですでに訳が書かれており、単語の意味がわからなくて読めずやる気をうしなってしまうことを避けられる。フィンランド語であるため本書をそのまま生徒に使わせることはないが、このような「工夫」や「視点」を授業に活かそうと努めている。

Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)

授業内で行うアクティビティーのアイディアとして本書を参考にしている。現在は、高2のコミュニケーション英語の授業と高1の論理・表現の授業で活用中。フィンランド語と英語で書かれた教科書であるため、生徒に本書を購入させたり、そのまま授業で全てを使うということはない。授業をする上で大切なことは「生徒たちをいかに焚きつけてやる気にさせるか」であり、1つの教材にこだわりすぎることなく、良い素材を適宜取り入れていけば良いと考えている。本書もその選択肢の1つである。そのため、本書を使うペースも決まってはいない。

【本書の構成】
1冊の中にUnitは4つあり、全体が大きく4つのテーマに分かれている。例えば高1用なら、「Welcome to my world」「Making friends」「We need to talk」「Shared lives」がテーマである。また各Unitには4つのTopicがあり、Key textがあるリーディングメインのTopicが2つ、VocabularyやPronunciationだけをテーマにしたものが1つ、そして最後の1つが追加のリーディングをメインにしたものである。各Unitは、Topicについてのスピーキング→新出単語の確認→文章(リーディング)→文章の理解度確認問題→文章についてのスピーキングやライティングといった流れで進めていく。

【実際の活用事例】
生徒が夢中になった例の1つは、Talking Crosswordというアクティビティである。やり方は、①生徒それぞれに同じCrosswordのうち半分ずつ別の答えが書かれたものを用意→②お互いの紙は見せ合わず、互いの抜けている部分の単語を伝え合って答えを出す、というものだ。その単語自体は言わずに、自分の知っている他の単語に言い換えヒントを伝えることでペアに当ててもらい、Crosswordを完成させていく。このアクティビティは、すでに導入した語彙の復習をしたい場面で使っている。

またこの例に限らず、ペアになって行うオーラル活動のアイディアを授業内でよく活用している。教員1人⇄生徒40人のやりとりの中で答えを一人ずつ発表させようとすると、恥ずかしがったり指名されていない生徒が暇になる時間がどうしても多くなってしまう。しかし、相手が必ず答えを持っている状態で行うペアワークであれば、活動の時間のうち半分は必ず自分が解いている時間、もう半分は相手にヒントや解説をする時間になる。これにより、実際に英語で考えたり英語を使う時間をMAXにできると感じている。

 

指導する上での工夫:

現在担当しているコミュニケーション英語Ⅰ(週3コマ)の授業は、英語で進行している。TESOLを通じて学び参考にしているが、英語での授業進行には「コツ」が多くあると感じる。これまで日本語でしていたことを全て英語に翻訳して指導するわけではない。「和訳せず、英語のまま理解させるにはどうしたら良いか」がポイントである。生徒たちは英語での授業進行にも次第に慣れていく。英語であることを特別に意識させず、普段の話のやりとりが、「ただ日本語から英語になった」ような自然な雰囲気づくりが大切である。

英語での授業進行を始めた頃は、英語のままの指示を子供たちが理解できているか?不安で、わからないところもあった。指導を始めて7年ほどたった頃、「重要なのは教員のインストラクションであって、生徒たちの能力の問題ではない」と気付くことができた。

Q. 使ってみた結果

アクティビティーのアイディアを本書から取り入れているだけなので、生徒は本書を使っていることに全く気付いていない。オーラルでのペアワークが多く、授業内での発話量はとても多い。生徒たちの反応もとても良い。英語を伝えたいと思う瞬間、夢中になっている瞬間は多いと感じる。ペアワークは皆の前で発表することが目的ではなく、あくまでも目の前の相手に伝えられればOKなものばかりである。そのため、間違いを恐れずに気軽に取り組める。

また、オーラルのアクティビティーを増やしたことで、スピーキングだけではなくライティングを含めて英語で発信することに積極的な生徒が増えていると感じる。

Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒

英語で授業をしたいと考えている先生方に、参考教材としておススメしたいと思う。

Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒

授業の発話量を増やしたいときに活用できる教材だと思うので、その目的がなければあまり適していないかもしれない。

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山田 由佳
田園調布雙葉中学高等学校

プロフィール

大学卒業後、前任校である関東第一高等学校にて12年間勤務し、国際交流の主任を務めた。2021年4月より、田園調布雙葉中学高等学校での勤務を始める。All Englishでの授業に力を入れており、生徒の「やる気」を焚きつける授業をすることが自身の大きなテーマであ…

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