教育トーク : 『新Aクラス中学英語問題集』がリニューアル!著者に聞く、特色と執筆への思い

最終更新日:2022年12月21日

プロフィール

  • 東京大学教育学部附属中等教育学校教諭 今田健蔵

    1987年6月生まれ。神奈川県大和市出身。 東京大学教育学部附属中等教育学校教諭。 2012年3月に神奈川大学大学院外国語学研究科修士課程を修了し、東京都市大学付属中学校・高等学校非常勤講師を2年間、サレジオ工業高等専門学校非常勤講師を1年間務めた後、神奈川県立高等学校教員採用試験合格。神奈川県立相原高等学校で担任教諭としてやりがいや楽しさを感じながら3年間勤務。担任のクラスを卒業生として送った年、一念発起して国立学校の採用試験を受験し合格。現在に至る。 大学院生の時の指導教諭、久保野雅史先生からの紹介がきっかけで英語授業研究学会に通い始める。英語教育の奥深さに触れ深い感動を覚えるとともに、英語教育に対して研究熱心な先生方との交流で刺激を受ける。自身も県立高校で採用以来、発表の機会を何度か頂き、そのたびに大変勉強させて頂いた。 現在は、英語授業研究学会の理事となり、学会の運営にも関わっている。

2022年3月に『新Aクラス中学英語問題集 1〜3年(4訂版)』(昇龍堂出版)が出版されました。『新Aクラス中学英語問題集』は、長年にわたって多くの中高生や英語学習者をサポートし続けてきた人気問題集です。この記事の読者の中にも「学生時代にお世話になった」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

3訂版は1992年に出版されているので、今作は実に30年ぶりの大改訂となりました。著者の一人として関わられた今田健蔵先生に、4訂版の特徴と、執筆にあたって込められた思いを伺いました。

 

『新Aクラス中学英語問題集 1〜3年(4訂版)』

青栁良太、久保野雅史、久保野りえ、今田健蔵、須田智之、中島真紀子、山田雄司、山本永年 共著/各1540円/昇龍堂出版

 

執筆陣も学生時代に使っていた問題集、30年ぶりの大改訂

 

—— 有名中学・高校の教諭を中心に、著者陣には錚々(そうそう)たる顔ぶれが並んでいます。執筆に参加された経緯を教えてください。

 

(今田)前任校である神奈川県立相原高校に勤務をしていたときに、大学院時代の恩師である久保野雅史先生からお声をかけていただきました。

 

実は、現在私が理事を務める英語授業研究学会に通うようになったのも、久保野先生からの紹介がきっかけでした。学会に参加することで英語教育の奥深さに触れ、また英語教育に熱心な先生方からたくさんの刺激を受けて、私自身、成長することができました。

 

執筆陣は素晴らしい経歴をお持ちの先生方ばかりで、恐縮する気持ちもありましたが、自分自身の挑戦が自己研鑽にもなり、かつ生徒たちの学びに貢献できる良い機会であるととらえ、参加させていただこうと決意しました。

 

—— 執筆にあたり、今田先生はどのような思いで臨まれたのでしょうか。

 

(今田)内容検討会議の中で、執筆者の先生の一人が「学生の頃に3訂版で英語を学んでいた。この問題集のことがとても記憶に残っている」とおっしゃっていたのが印象的でした。そのお話を聞いて、「我々も長く愛され続ける本をつくりたい」と強く思いましたね。

 

執筆にあたって少しでも貢献できるよう、たくさん勉強しました。都内の書店を巡り、中高生向けの英語問題集・参考書をさまざま見比べたり、英英辞典や文法書を何冊も買いそろえたりして知見を深めました。

 

英文法の基礎固めをしながら、豊かな語彙と自然な表現が身につく問題集

 

—— 『新Aクラス中学英語問題集 4訂版』の特色を教えてください。

 

(今田)文法だけでなく、語彙力も同時に身につく問題集であるという点は特徴的だと思います。一般的な英文法の問題集は、文法の理解を優先するあまり、比較的やさしい語彙で構成された問題が多いのが現状です。しかし、言語を習得するには、ただ文法だけを学ぶのではなく、並行して語彙も身につけていくことが欠かせません。そこで本書では、語彙の難易度を下げない代わりに、各ページ下部に重要単語の一覧をまとめています。

 

また、英語のネイティブスピーカーがよく使う表現や、日常会話として自然な例文をできるだけ多く採用しました。そのため、教科書では出てこないような語彙や表現も多数登場しています。先ほどご紹介したページ下部の語句一覧を活用することで、本書を通じて表現力もパワーアップできるようになっています。

 

本書を使って学習すれば、取りかかる前には想像もしていなかったほどの、豊富な英文法の知識と語彙力・表現力が身につきます。英文法と語彙力、この両輪は学習者の皆さんにとって堅実な英語力の支えとなることでしょう。

 

—— 本書はどのような生徒に適していると思われますか?

 

(今田)幅広い層に役立つ問題集だと思いますが、特に、英文法の基礎固めにおすすめです。英文法の知識をしっかり固めたいと思っている中学生や、中学生でない方でも基礎から英文法の知識を学び直したい人にとって取り組みがいのある問題集です。

 

各章とも、初めに文法の説明があり、その後は基本問題→実力問題→Aクラス問題と続きます。文法の確認をした後に、難易度の低い問題から高い問題へと段階を踏んで学習できるので、突然つまずくということがほとんどないはずです。積み重ねによって自信をつけ、難易度の高い問題にも挑戦できるようになります。

 

—— 本書をどのように使うとより効果的に学べるでしょうか?

 

(今田)まずは、各章の文法事項の説明を読みましょう。先述のとおり、難易度の易しい順に問題が配置されていますので、それらを順番に解き、解答解説を熟読します。そして間違えた問題には再度取り組みましょう。一度で終わりにしないことが重要です。

 

ポイントとしては、初めて解く問題では「表現力アップ!」という語彙・表現をまとめた一覧を参照しながら解き進めて構いませんが、問題に再度取り組む際には、「表現力アップ!」を参照せずに解いてみることです。「表現力アップ!」なしで解けるようになるのが理想ですね。

 

『新Aクラス中学英語問題集 4訂版』は、中学・高校での現場経験の豊富な先生方が集結し、本当に丁寧に、時間をかけてつくられた珠玉の問題集です。どうすればより知識が深まるか執筆陣で議論し、完成に至るまで何度も検討・校正を重ねました。掲載している問題は全て本書のために書き下ろしたオリジナルで、理解を促す解説も充実したものになっていると思います。ぜひ本書を日々の学習に取り入れ、受験対策だけでなく、「生きた英語」を使うための基礎として役立ててほしいですね。

 

変化の時代を生きる生徒のために、教員にも「成長と挑戦」が重要

 

—— 今田先生が、英語教育において大切にされていることを教えてください。

 

(今田)以前読んだ本で目にした「英語は教わったように教えるな」という故・若林俊輔先生の言葉が強く心に残っています。それは「自分が中学・高校の頃に経験した英語の授業をなぞるように、教員として何の進歩もない授業を行っては決してならない」という意味だと私は理解し、まさにその通りだと感じています。

 

特に現代は価値観が多様化し、5年、10年で大きく様変わりしていく社会です。変化の時代を生きる生徒たちにとって、時代に合った学びは非常に重要です。生徒の成長のためにも、指導する教員自身が日々成長し、学び、挑戦し続ける人でなければと思っています。

 

—— 今後、今田先生が取り組みたいことを教えてください。

 

(今田)今回の執筆で、たくさんの先生と話し合いながら英語教育のあり方を考えられたのはとても良い機会に恵まれたと思います。これからもいろいろな先生方とつながって、今度はより良い授業を模索していきたいですね。特に、学校教育の定期試験のあり方には工夫や改善の余地がまだあると思っています。

 

また、執筆を通して英語教育の奥深さをあらためて感じたので、今後もまだ見ぬ英語教育の世界を開拓していきたいと思います。例えば、新学習指導要領では小学校でも教科として英語が導入されました。小学校で英語を教えることができれば、中学・高校にフィードバックできる気づきが得られるかもしれません。また、ICTを活用した授業にも興味があります。

 

そして何より自分の英語力をもっと向上させたいという思いが強まったので、私自身も英語の勉強、研究を重ねていきたいと思います。

 

 

この記事を書いた人

国際教育ナビ編集部

国際教育の「今」と「これから」の情報が満載。 教育現場で役立つコンテンツを発信していきます。

英語教材を探す

  • Repeatalk 詳しくはこちら
  • Twitter
  • Facebook

お知らせ

レビュー募集

国際教育ナビでは、教材レビューを投稿したい方を募集しています。お気軽にお申し込みください。編集部員よりオンライン取材させていただきます。