⽿から学ぶ英熟語︕くり返し聞く⾳声でフレーズが⾃然と⾝に付き、⽂章⼒アップにも効果的︕
最終更新日:2023年5月11日
- おすすめしたプロフェッショナル
-
伊佐⼭ 清実 / ⾼⽥中・⾼等学校 英語科主任
新ユメジュク
アルク
- おすすめのポイント
-
Q. 良かったところ
4技能を求める英語教育の中で、単に知識だけでなく、リスニング、リーディングにも活かせることを想定しながら勉強するにはとても良かった。
著者の⽊村先⽣から、⽣徒をイメージしての具体的な活⽤⽅法について教えてもらえた。バックトランスレー ションを瞬間的に⾏えるように、概念が頭に⼊って⾃然と⼝から出て来るイメージを持って 練習すると良いとアドバイスを頂いた。それで生徒たちにも、耳から入った音が頭を通って口から出るというイメージを図示して、「内容を概念化して口から出すイメージをしてね」と伝えている。
アルクが展開しているセミナーや、メールなどで直接⽊村先⽣に質問もできるので、どんなふうに指導 して良いか分からない、ということがない。必要なデータ(基礎トレシートなど)が⼗分準備されており、⼀度やり⽅が⾝に付けば、他の熟語集でも同じように⾏うことができる。⽣徒になにか強みを持たせたいなと思っているがどんなふうに展開しようかと悩んでいる先⽣であれば、使い⽅を聞いてみて実践させてみるのは お勧め。Q. 導⼊の経緯や、本教材採⽤の意図と狙い
問題/課題︓
現在の3年⽣が2年⽣だった昨年(令和3年度)2学期の終わり頃、冬休みにも勉強させたいと思い導 ⼊した。(冬休み中はまず試しにユニット1の40熟語を自主学習してもらい、冬休み明けにテストを行った)
1年時から、他社の単語帳を使って語彙学習をしていたが、熟語が分からないために長文を読めなかったり、文法問題の問題文さえきちんと理解していない生徒がいた。また、リスニングの時にリエゾン(音の連結)を聞き取れない、⾳読練習をさせるときに⻑い⽂章だとハードルが⾼い、という⽣徒が多いように⾒受けられた。短いフレーズだったら⽿も慣れるかなと思い、まず知識として熟語(フレーズ)を⼊れようと思った。
本教材採⽤の直接的なきっかけは、本教材の著者の⽊村先⽣のセミナーに出席した際、⽊村先⽣から具体的な使い⽅を紹介していただいたことである。データや基礎トレシート等もいただいて、⾃分の⽣徒に使えそうだなというイメージができ、今の⽣徒たちに⾜りないと思っていたところをズバリ補えるなと思ったので採⽤を決めた。状況(クラスの⼈数やレベル)︓
⾼校3年⽣のⅡ類進学クラス。今年度(令和4年度)は101名(⽂系82名、理系29名。⽂理のバランスにより異なるが、今年は文系2クラス、理系1クラス)偏差値は50前後。他の類似教材ではなくなぜこれか︓
⾳声に対して苦⼿意識が強い⽣徒が多い中で、単語や熟語も⾳声で学ぶことが必要になってきている。 インプットは大切にしながらも、覚えることだけに集中しすぎず、リーディングやリスニングにも活かすことができる教材を選びたかった。本教材はアプリの使いやすさもあり、⾳声が⾝近に感じられる。熟語の教材のなかで、⾳声が英語→⽇本語のものは他にもあるが、本教材のように⽇本語→英語の順に読みあげてくれるものが他にあまりなかった。通訳の方々が日頃行っていらっしゃるような練習(バックトランスレーション)が理想なので、その点でぴったりだった。Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
ユニット10まであり、各ユニットに80熟語が掲載されている。ユニットごとの熟語の分け⽅には特に ルールはなさそう。各ユニットは前半後半に40ずつに分けられていて、1週間に40熟語ずつ扱うと、20 週間でマスターできる構成になっている。
Q. 実際の使い⽅ (どこを、どの程度のペースで等)
進め⽅(年/学期単位、授業単位)︓
週3回ある授業のうち、1回〜2回の授業で授業始まりの帯活動として本書を5分〜10分扱っている。テストは週に1回行うので、その帯活動では翌週のテスト範囲から10~15熟語を取り上げ、本書に記載されている「学習手順」に沿って音読して進めている。授業内で扱えなかった熟語は自主学習で練習する。
木村先生が作成され、提供してくださっている「基礎トレシート」に、英熟語全⽂、⽳埋め、⽇本語訳の3パターンが 載っており、授業内で活用している。 定番の扱い⽅は、⾳を聞きながら、まず全⽂書いてあるところのOverlappingを5回で1セット×2セッ ト⾏う→⽳あきを⾒ながら、抜けてるところを埋める→⽇本語訳を⾒ながらOverlapping。その⽇その⽇ で変えながら、音源を聞く時に日本語か、穴あきか、英語を見るのかは生徒が各⾃の理解度に合わせて⾏っていく。
熟語テストは、範囲からランダムに選んで10〜20題出題。2年⽣は4択から選ぶ形式、3年⽣は部分記述、あるいは全⽂を書かせる形で実施した。2年の3学期から使い始めて、3年⽣の2学期の頭には⼀周終えた。指導する上での⼯夫︓
⽬標としては⾃学⾃習に持っていきたいので、「⾳読活動はこんな⾵にやるんだ」というのをイメージさせることを⼤事にしている。⼤変そうだと感じると家に帰って教材を開かないので、家でいかに気楽に開けるようにするかを考えている。本を開くのが⾯倒な⽣徒がいるので、シートを使うなどして、英語を聞き取れるようになる感覚を体感させたいと思っている。パターン化してしまうとマンネリ化して、 教員が求める形ではない事をし始めるが、かと⾔って、毎回やる事を変えると定着しないので、そのバラ ンスが⼤切だと思う。
バックトランスレーションが最終目標だったが、その力をテストで計ることは難しい。瞬間的に英語が出て来る速さと正確さを計る⽅法(ツール)があって、テストとして使えたら魅⼒的だと思う。 英語が苦⼿な⽣徒の中には、「覚えて書けた」「⼩テストで点が取れた」ということが嬉しい⽣徒が⼀定数いる。そういう⽣徒たちの満⾜度も満たしてあげたいが、それで良しとすると英語の⼒が伸びないので、どのように対応するかが今後の課題だと思う。Q. 使ってみた結果
基礎的な熟語も多く含まれているので、⽂章を読む中で「これがユメジュクに出てきた熟語だ!」という意識はそれほど持てていないかもしれない。しかし、基礎的な⾔い回しが⾝に付いたことで、ALTの授業で英作⽂を書くときに表現⼒が増えていると感じる。
本教材で音と合わせて学ぶことで生徒達の頭に残るように感じる。使⽤語彙にはなっていなくても、理解語彙(フレーズ)にはなってきたな、という実感はある。
徹底して頭に⼊れる⽣徒たちであれば、発信するための使用語彙にまでに上がってくると思う。徹底的に定着させるためには、もっと早い時期(2年の初め頃)から使っても良かったと思う。Q. 利⽤が向いていると思われる学校・クラス・⽣徒
回数やスピードを変えることでどんなレベルの⽣徒にも対応できる
Q. 個⼈的にあまり合わないと思う学校・クラス・⽣徒
特になし
- 伊佐⼭ 清実
- ⾼⽥中・⾼等学校 英語科主任
プロフィール
高校時代にオーストラリアからの留学生と仲良くなったのをきっかけに、大学では日本語教育を専攻。大学卒業後、母校であるこの学校に着任し、英語科教員として現在に至る。 若い頃は、バスケットボール部顧問、国際交流などに尽力。 コロナ禍以前は国外で自分の英語を試す場を作…