ハイレベルな読解文と語彙力で英語力を高める!中高一貫校向けのおすすめ教科書
最終更新日:2023年4月28日
- おすすめしたプロフェッショナル
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T先生 / 兵庫県私立中高一貫校
NEW TREASURE ENGLISH SERIES
Z会
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
本書は「素材文」が素晴らしい。英語の読み物として面白く、教養を身に付けることができる。例えば、「芸術作品の絵の見方」について書かれたレッスンがあり、生徒たちは英文を通じて学んだ後、実際に何点かの芸術作品を見て、評価をしてみたことがある。また、「マグロの養殖」について書かれたレッスンでは、近大マグロについてのニュースを日本語でも読み、考えを深めることができた。英語で読解したものに対して、日本語でアプローチすることは重要だ。教科書の内容をリアルな体験や身近なものにリンクさせることで、生徒たちの学びは生き生きと楽しくなる。本書はそのきっかけをくれる教材である。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
文法の例文にレベルの高い新出単語が登場するため、難易度が高くなり、シンプルではないと感じることがある。また、文法は体系的に学ぶ必要があると考えるが、本書で扱う文法項目の順番や扱いに多少違和感を感じることもある。例えば、「比較」はじっくりと丁寧に指導すべき非常に重要な項目だと思うが、本書の中では他の項目とまとめられてしまっている。生徒の様子を見ながら教員が適宜指導の仕方を工夫する必要があると思う。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
私の着任前から本校ではNEW TREASUREを導入していたため、詳しい採用理由はわからないが、本書はある程度高い英語力が求められるハイレベル教材だと認識している。「難関大学への入試も見据え、一定ラインの学力を担保するために本書が導入された」と、採用時から本校に勤めている教員から聞いた。状況(クラスの人数やレベル):
国公立大学進学を目指すコースと、私立を中心に他の様々な大学進学を目指す2つのコースに分かれているが、どちらのコースにも本書を使用している。
1クラスは35名~38名程度。ほぼ全ての生徒が大学進学を希望しており、難関大学への進学者も多い。他の類似教材ではなくなぜこれか:
自然と復習できるようにテキスト内容が工夫されており、知識の定着に大きく役立っていると感じる。(例)レッスン1で扱った文法項目が、レッスン3の長文読解(Read)で登場するなど。Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
本書のシリーズはSTAGE1~3まであり、STAGE2で中学範囲の文法事項の学習を終えるように作られている。1冊がレッスン1~12、13の文法項目に分かれており、1つのレッスンは2~3のパートで構成されている。見開きでKeyPoints(例文)、Grammar(文法説明)、Read(約300~600語の英文)の項目があり、リスニングやディクテーション、音読やリーディングなど、4技能を使った幅広い指導が可能。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
本校では、本書を中1から高3までメイン教材とし、中学では週3コマある英語Ⅰの授業で活用中。1レッスンは合計10ページ程で、6・7コマの授業を使って完了させる(文法3コマ、読解3コマほどのイメージ)。各教員で進めるペースに多少バラツキはあるが、1学期間でおよそ5・6レッスン分すすめる。(1冊12レッスン程度)1年で必ず1冊終わらせなければいけないということはないので、コースによって進度は異なる。指導する上での工夫:
本書のGrammar(文法説明)はレベルの高い新出単語が出てきたりと難易度が高めだ。特に中学生へ指導する際には、本書以外にも育伸社のSirius21などの演習問題集を使い演習量を増やし、シンプルに丁寧に説明することを心がけている。授業内での説明にはMetaMoji ClassRoomも活用し、口頭説明だけにならないようにしている。Q. 使ってみた結果
本書を使いだして5~7年程度経つが、英語が得意な生徒・好きな生徒にとって本書は大変効果的で、力を伸ばしやすい教材だと実感している。一方で、中1から英語につまづいてしまう生徒や、単語力が足りない生徒はどうしても置いてけぼりになり、二極化が起きやすい。本書だからこそ起こることではないかもしれないが、こういった懸念点も意識してフォローする必要があると感じる。
また、生徒はNEW TREASUREの単語帳も購入して使っているため、効果的に教科書の内容が定着できる。単語の小テストもテストエディターを使うことで簡単に作成でき、教員にとっても使いやすい。Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
高いレベルの英語力をじっくりと目指す、中高一貫校に向いていると思う。本書シリーズのSTAGE5まで丁寧に学べば、十分に大学入試対策となるレベルだろう。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
英語力や学習習慣がまだ定着しておらず、コツコツ学習することが難しい生徒やクラスにはハイレベルすぎると思う。
- T先生
- 兵庫県私立中高一貫校
プロフィール
本校での勤務は5年目となる。(教員7年目) 学生時代、英語の授業を受けながら「きっと、もっと面白い文法の授業ができるんだろうな」と感じてきた。教員となった今、英語の成り立ち、英語を使う国の歴史や背景なども生徒に伝えながら、生徒の記憶に残るような授業をしたいと考…