
中学でのフォニックス&文字指導をサポート! 音と文字をつなげる『はじめてのジョリーフォニックス』
最終更新日:2025年9月11日
- おすすめしたプロフェッショナル
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金子 祐太郎 / 新潟第一中学校・高等学校 英語科
はじめてのジョリーフォニックス
東京書籍

- おすすめのポイント
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おすすめポイント
1つめは音と文字を繋げられることです。『はじめてのジョリーフォニックス』は、小学校の音声指導で培った聞く力を活かしつつ、綴りの発音を指導できるため、中学英語への橋渡しに最適な教材だと思います。
2つめは日本人の生徒に対する指導方法や手順が分かりやすい点です。ティーチャーズブックの解説とスチューデントブックのアクティビティを組み合わせることによって、フォニックス指導に不慣れな教員でも簡単に授業を行えます。
導入の経緯
小学校では音声中心の指導が行われるため、中学1年生は発音に対応する綴りを知らず、単語の読み書きに苦労することが少なくありません。この音と文字のギャップを埋めるべく、『はじめてのジョリーフォニックス』を導入しました。
対象クラスと使い方
学年と人数:中学1年生、合計78名(37~38名×2クラス)
使用期間:入学後授業開始から1ヶ月間程度
使い方:1回45分の授業で、生徒が3つの音を学び、楽しみながらその音を文字で書けるようになることをねらいとしています。たとえば、「ar」のレッスンの場合、次のような流れで授業を行います。
1.導入
教材内の物語に登場する、アシカに餌をやる場面の絵を提示する。アシカはどんな鳴き声をするかと質問し、生徒が思い思いの音を答える。
2.説明・発音練習①
「ar, ar, ar」という正解をアシカのように体を動かしながら教える。物語の中で使われているそれぞれの音は,動きと文字の音が密接に関わっている。そのため、動作をしながら発音することで、文字の音がより定着しやすくなる。生徒が小文字を習得済みの場合、正解の音にはどの文字が使われているか生徒に聞く。正解のaとrを黒板に書いて、動作と一緒に「ar」の音を練習する。
3.聞き取り練習
ティーチャーズブックに用意された単語を教員が発音する。生徒には単語に「ar」の音が入っていたら、手を叩くように指示する。
4.発音練習②
「ar」が使われている別の単語、たとえば「art」をar-t のように1音ずつ書いて、生徒に発音させる。2つの音を合わせるとどういう発音になるのかを、教員の合図の後、生徒が一斉に答える。これは新出単語が出てきたときに、自分で発音する習慣をつけるための練習となる。
5.書き取り練習
文字と音の定着のために書き取りをさせる。教員が「art」を使った別の単語、たとえば「dart」と発音し、生徒がノートに「art」と書く。
工夫ポイント
ジョリーフォニックスのスチューデントブックはイラストが豊富ですが、授業ではあえて見せないようにしています。生徒は絵があると文字に注意が向きにくくなることが多いためです。たとえば、授業で行った「3.聞き取り練習」は、本来はスチューデントブックの「ar」の発音が入っているイラストに丸をつけるアクティビティでした。しかし、絵を見せないことで、生徒は教材ではなく私の発音と文字のみに集中することができました。
もう一つのポイントは、文字指導の一環で、音と結びつけた文字を正しく書けるよう支援するために、『小学生のための英語ノート』(日本ノート株式会社)を併用している点です。このノートは、4線で基本線と一本上の線の間隔が広く、小文字を大きく書けることが特長です。生徒にとって書きやすく、筆の運びの練習になります。授業では、「5.書き取り練習」の時に、このノートに文字を書かせています。授業で指導した音を文字として正しく書き取れているかどうか、生徒の習熟度を把握するために、逐一ノートを回収。もしできていない場合、次の授業で復習の時間を設けたり,期間をあけて再度書き取りの練習を行ったりしています。生徒のノートを確認することで、指導の成果を把握したり、今後の指導改善に役立てたりしています。
実施した結果
まず、ジョリーフォニックスで音と文字のつながりを覚えた生徒は、初めて見る単語でも自力で正しい発音を推測できるようになりました。さらに、音から綴りを組み立てる力も育つため、書く力の基礎が身につきました。例えば、英検1級レベルの難しい単語を見て読んだり、聞いて書くまでできるようになったりします。また、教科書本文を音読する際に発音確認の時間が減り、内容理解に集中できるようになりました。

- 金子 祐太郎
- 新潟第一中学校・高等学校 英語科
プロフィール
大学院卒業後、新潟第一中学校・新潟第一高等学校に赴任。大学院では動機付けについての研究を行う。教育現場へのICT活用に積極的に取り組んでおり、Apple Teacher、MetaMoJi ClassRoom 先生の資格を保有。英語教育研究団体であるGMC代表を…