
問題のチョイスに信頼が置ける、入試対策にうってつけの文法書
最終更新日:2025年10月16日
- おすすめしたプロフェッショナル
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毛塚 邦知 / 英理女子学院高等学校 教諭
新解説 英文法[強化]演習 New Frame 650[New Edition]
中西書店

- おすすめのポイント
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割合こそ少ないものの、近年の大学入試でも文法力は求められている。ただ、以前と違って重箱の隅をつつくような文法はあまり出題されない。ミニマム・エッセンスが習得できる本教材でトレーニングを重ねれば、十分な受験対策ができるだろう。
選択問題の演習も優れている。紛らわしい選択肢を見極める際のポイントを学びつつ、それを通じて作文の仕方も理解できるようになる。
問題は「選択問題」「正誤問題」「整序問題」の3種類で、英作文は含まれない。使用語彙も難しいものが少ないのも特徴。そのため、英語に苦手意識を持つ生徒にも薦めたい、入試文法の入門書。
Q. 課題意識、導入の経緯
「文法の講座を開いてほしい」という生徒からの要望があり、授業外の課外講習で使用することになった。本教材はたびたび重版され、英語教育界で20年近く愛用されてきたベストセラー。自身もこれまでの教員生活の中で10年以上利用してきた教材のため、導入することにした。
Q. 実際の使い方
週に1回、課外講習のテキストとして採用。すべてを網羅することは時間数との兼ね合いで難しいため、主要な文法事項を中心に扱う。
Q.工夫したポイント
講習の中では、バックトランスレーションの練習にも本教材を使っている。裏表に英文と日本文をそれぞれ書いたパネルを作成。本教材に掲載されている例文を生徒が暗記し、英文を見て和訳、日本文を見て英訳を行う。
論理・表現の授業内で採用するという選択肢もあるかもしれないが、生徒の理解を促す解説なども盛り込むと、1年でようやく1冊終えられるかどうか。他にメインテキストがあったり、あるいは作文・発表のような活動も授業で扱うことを考えると、散漫になってしまうため薦められない。課外講習など、本教材に集中できるコマを確保して活用するほうが現実的だと考える。
Q. 実施した結果
例文・問題文のクオリティが非常に高い。2009年初版で2013年に改訂を行ったのみだが、時代錯誤している部分が非常に少ない。初版刊行から20年近く経過した今も違和感なく学習できる点が良い。
また、入門書的な入りやすさはある一方で、ポイントをしっかり押さえている点が良い。語法に関しても適切なボリュームが網羅されていて、教科書より使いやすいとすら感じている。
Q. 今後に向けて
高校1・2年生の文法の総ざらいに適している。本教材で仕上げて、3年生では入試を見据えてもう少し難しい問題集にチャレンジすると良いのではないだろうか。
ただ、自習ツールとしてはあまり適していないように感じられる。解説が別売になっているため、購入しない生徒も多い。解説そのものも内容が簡素で、独学では深い理解が得られない。おそらくこれらを生徒に渡しただけでは自習に役立てることが難しいだろう。自校で解説のための補講を実施したいところだが、時間の確保が難しく、実現には至っていない。解説動画を提供するなど、さらなるコンテンツの拡充に期待したい。
また、これは好みにもよるが、入試問題にこだわって作られているがゆえに、普段使わないようなシチュエーション、フレーズが散見される点はやや気になる。もう少し生徒自身も普段使えるような身近な表現のほうが、知識としてもより定着しやすいのではないかと思う。

- 毛塚 邦知
- 英理女子学院高等学校 教諭
プロフィール
英理女子学院高等学校教諭(2024年4月~) 山脇学園中学・高等学校英語科教諭(2005年4月~2024年3月) 教員歴は20年を超えるベテラン。東京都の伝統私立女子校である山脇学園に勤務したのち、現在は神奈川県の英理女子学院に勤務する。生徒に論理的思考力や社…