日本語訳に頼らない!英文を文構造で読み解く力を高める 文構造の理解を定着させる一冊
最終更新日:2023年3月14日
- おすすめしたプロフェッショナル
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宮城智彦 / 興南中学校・興南高等学校
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
文法事項ごとに分けられている構成がよい。例えば「〇題~〇題までは関係詞」という括りになっているので、生徒としても読めない部分があった場合に、この文法を復習すればいいのか、というのが分かりやすい。また、問題のレベルが幅広いので、幅広い生徒層に使える。例えば、大学入試の過去問で実際に出題された大学名が載っているので、どのレベルの大学か、生徒に合わせて問題を厳選して使うことができる。さらに、第6章「その他の重要項目」に出ている文法事項は共通テストには頻出ではない項目も多いので、生徒の定着度合によって扱う順番を変えることができる。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
解説が基本的な文法の知識ありきで解説されてるので、文法の知識がない生徒にとっては分かりにくい部分があった。当初は授業での解説は不要かなと想定していたが、「この部分は『不定詞の形容詞的用法』で…」と解説されていても、『不定詞の形容詞的用法』が分からない生徒には難しい。解説を読んでも理解できない生徒が多かったので、授業内で解説の時間を取るようにした。より細かく生徒に伝わるようにすれば、教員のフォローがなくても完結できると思う。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
私が担当する特進コースの生徒は、国公立大学を中心に狙っていくので共通テストの得点率がとても重要になってくる。そのため、3年生の夏休み前の時期から共通テストの演習に入っていくが、これまでの生徒を見ていて一度演習を解いてもその後自分で解き直しができない生徒が多く、日本語訳をなんとなく理解していただけなんだと思った。それまでは「英文読解は長文の中でやりなさい」と各自に任せていた部分があったので、1、2年生で学んだ英文法、文構造をしっかり理解しているかを確認できる教材が必要だと思った。
状況(クラスの人数やレベル):
昨年度(令和3年度)の秋から導入。特進コース(35~40名のクラス×4クラス。英検2級程度のレベル)の生徒を対象に、2年生の後半から3年生の初めにかけて半年間ほど扱う。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
1題ずつの長さが短く、宿題としても出しやすい。生徒のレベルにも合っていた。共通テスト演習が中心となるので、他の教材で文法事項が難しいものだとオーバーワークになってしまう。共通テストに近い問題で、文量的にも難易度的にもそれほど負荷が大きくないこの教材を選んだ。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
全体は、文法項目ごとに大きく下記の6つの章に分かれている。
- 第1章「主語と動詞の把握」
- 第2章「準動詞」
- 第3章「関係詞」
- 第4章「接続詞」
- 第5章「比較」
- 第6章「その他の重要項目」
各章の中でさらに細かく、全部で72題が掲載されている。1題は3~4文程度の文章で、1ページあたり2題ずつ載せらせている。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
2年生の秋から3年生の初めの半年間で扱う。(72題を4カ月ほどで扱い、残り1~2ヶ月で小テストの特に悪かったところを復習する)
本教材を使い始める期間の最初(2年の秋)に、週ごとの学習範囲を提示する。毎日宿題で、その週の範囲の英文を1日1題ずつノートに書き、SVなどの品詞や文構造も記入して毎朝提出してもらう。授業では、宿題の提出の確認→もっともつまずいていたところを解説する流れで、帯活動として毎回10分程度で扱う。
週に1回(毎週月曜日)各範囲から4〜5題の小テストをして、単語、文型、文構造を確認する。小テストの日は1時間使って、最初の20分でテストを行う。その後ペアで交換して丸付けをし、解説を残りの時間20分くらいで行う。
指導する上での工夫:
宿題を毎朝提出していない生徒はやっていない可能性が高いので、昼休みに声かけするなどして、家庭学習もほおり投げにならないように、生徒の進捗を確認するようにしている。
Q. 使ってみた結果
正確に読むことができるようになった。共通テストの演習が終わって解き直しをさせたときに、生徒が各自で自立して復習できるようになった。また、日本語訳に頼らなくなった。昨年秋から利用を始めたので実際の共通テストはこれからだが、演習や定期考査(日本語訳や内容理解は出さずに、文構造を中心に出題)を見ている限りでは力が付いてきていると感じる。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
共通テスト60~80点当たりを狙っている生徒で、ある程度文法が固まってきた時期に長い長文を読ませる前に扱うと良い教材だと思う。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
大学入試を目指していない生徒にとっては若干難しい問題集であるかと思う。
- 宮城智彦
- 興南中学校・興南高等学校