この1冊で英語力が定着!授業内で復習も網羅!同じ内容を違う角度から三度味わえる長文読解問題集!
最終更新日:2023年3月9日
- おすすめしたプロフェッショナル
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山岸 洋一 / 流通経済大学附属柏中学高等学校
必勝☆演習シリーズ 長文読解 徹底演習 3セットワークアウト!【高校発展編】
アルク
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
本書の良いところは、一つの長文を「長文問題を解く」(Set1)「語句と構文を確認する」(Set2)「定着させた英文を別の問題形式で確認する」(Set3)と、同じ文章を違う角度から3回見ることができ、内容の理解を深められることができる点だ。何回も触れることで生徒に委ねられがちな復習を授業で実施できるのが大きなポイントである。
このようにしっかりと復習することができる。また同じ内容が繰り返されることにより、新出単語に触れる回数と発話する回数も増え、音読活動にも生かされる構成であることが本書の魅力だ。
また「問題→答え合わせ(解説)→新出単語チェック→音読」の流れが組まれているのもポイントである。新出単語は全て掲載されており、語彙を覚えるという点においても充実している。音源(CD)も付属しているため、耳で聞き、声に出して発音も確認しながら覚えることも可能だ。私自身音読活動に力を入れていることから、教科書だと「新出単語チェック」ができないまま音読に入ってしまうため、事前に単語チェックと共に発音を確認でき、よりスムーズに音読練習ができるのは非常に助かっている。
【高校入門編】【高校標準編】【高校発展編】とレベル別に3種類あるので、クラスや生徒のレベルに合わせ選択できるのも使いやすさの魅力だ。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
音読練習にしっかり取り組める教材ではあるが、いかんせん英文が長い。なので生徒が使いやすいように音読用シートを自分で作っているが、節の切れ目やポイントの抜粋などの記載があるとより扱いやすいと思っている。
また【高校入門編】よりも易しい、超基礎版・中学生版もあると有難いところだ。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
【問題/課題】
どの問題集も内容は良いが「問題を解く→答え合わせ」の流れだけで本当に英語力がつくのか、という疑問を抱えていた。教員が授業中に解説をしても、力を付けるためには復習が大切になってくる。しかし授業後に復習するかどうかは生徒に委ねられてしまう。そこで問題集を解いた後に確実に復習ができる方法はないだろうかと模索していた。教員がゼロから作成すればいろんなアレンジをかけられるが、それを実行するには時間がかかり割く時間もないのが正直なところ。そんな悩みを抱えていた時に出会ったのが本書である。
【状況(クラスの人数やレベル)】
本校は、
・普通科総合進学コース:国公立大学・私立大学・流通経済大学などへの進学を目標とする
・普通科特別進学コース:医・歯・獣医・薬学部を含めた国公立大学・最難関私立大学(早慶上智、GMARCH)への進学を目標とする・普通科スポーツ進学コース:スポーツで活躍する多彩な才能を持つ生徒を対象とした個性あふれるアスリートを育成するの3つのコースがあり、1クラス35〜40名で構成されている。本書は普通科特別進学コース(以下、特進コース)の2年次で【高校標準編】、3年次で【高校発展編】を使用している。【高校入門編】は後から出版されたため、使用していない。
共通テスト対策が終わり、学校対策・文系理系対策の時期になるとそれに応じて取り扱うテーマを変えることはあるが、基本的には文系理系での取り組みに大きな違いはなく、同じカリキュラムで本書を進めている。
ちなみに、普通科総合進学コースには「拡大選択科目」として英語があり、その授業内で生徒の進学先に合わせて使用することはある。
スポーツコースでは、勉強については基礎を固めていくこと、勉強の習慣をつけていくことを目的としているので、教科書にしっかりと取り組み本書は使用していない。
余談ではあるが、本書を取り扱わない代わりに、スポーツ選手の多くは海外にいく時代であるため、生徒が将来海外で活躍することになった時に、通訳に頼るだけでなく自分で会話できたらより良いと考えている。そのため、基本的な英語力はつけてほしいとの想いから、高校の初年度くらいのレベル、英検でいうと3級〜準2級にあたるレベルの力がつくような授業を意識している。また、教科書を通じて海外の文化や知識(オリンピックの歴史など)に触れるようにしている。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
本書はひとつのTopicが3セット構成となっている。
Set1は長文問題と語句チェック、Set2は語句テストと精読テスト、Set3はファイナルテストとチャレンジ問題(英文和訳や英作文などの応用問題)で構成されており、Topicは1〜10まである。
セット数を重ねるごとに問題の難易度がパワーアップする仕組みとなっている。Topicのテーマは様々だが、回を重ねるごとに難しくなる印象はない。
一方で単語量はTopicの数字が大きくなるにつれて増えていくので、文章量は多くなっていく印象だ。Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
【進め方(年/学期単位、授業単位)】
Topic1のSet1からスタート。そのあとTopic1のSet2、Topic1のSet3、とTopicごとに進めていく。2年次はあくまでも教科書をメインとしているので、本書に取り組むのはコミュニケーション英語の授業で週4コマ中1〜2コマのペース。そのため1年間で扱えるのはTopic5〜6くらいまで。1年間で1冊を使い切るのは正直難しい。また、夏期講習(有志とは言いつつほぼ全員参加)でも使用しながら進めている。扱えなかったTopicを3年次で取り扱うことはなく、1年かけて本書に取り組むプロセスは身についてるので生徒に委ねており、3年次は【高校発展編】のTopic1からスタートする。というのも、【高校発展編】になると英文量が増えるので、入試や共通テストのボリュームにより近づくからである。
3年次では教科書の代わりに使うことが多いが、やはり最後まで取り扱うことはない。というのも2学期で授業は全て終わり3学期は自由登校となるため、数をこなすというより、一つの問題を確実に理解することや、発話することを重視して本書を取り扱っている。
【指導する上での工夫】
本書の解答解説は充実しているが、補いきれてない部分があれば教員が補足している。また音読活動用に「左側:英語/右側:日本語」と見開き構成で、A3サイズの「音読用シート」というオリジナルプリントを作成している。
しかし、音読をしっかりやらないといけない教材ではあるが、取り扱っている文章が長く(約600words)全文をただただ読んでいると、だんだんと無機質な時間になってしまうため、解説を加えたり、質問を投げかけることで流れを変えるような工夫をしている。
授業で完結することを前提にはしているが、「ディクテーションをやるとより力がつくよ」と生徒に伝えている。本当は授業内で取り組みたいが、時間がないため生徒に委ねている。
Q. 使ってみた結果
「発話する、音声を出す」の大切さを理解できたようで、教材を問わず音読に取り組む生徒が増えたと感じる。教室や廊下で音読練習をしている生徒の姿をよく見かけるようになった。
Topicの内容も良く、トレンド的な時事問題に留まらず「フェアトレード」や「消滅してしまう言語」などの長期的な課題も取り扱っており、生徒の知識を増やすという点でも活用できているのではないだろうか。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
GMARCH以上の大学進学を目指す高2〜3年生には【高校標準編】【高校発展編】が向いていると感じる。
高校1年生については、国公立大学・最難関私立大学への進学を目指す生徒であれば【高校標準編】でもやりがいは感じるかもしれない。
基礎力を固めたいクラスや、中学校の復習が追いついていない高校1年生は【高校入門編】がいいのではないだろうか。
またもう少し基礎を固めたい高校2年生で扱うのも良いと思う。
必勝☆演習シリーズ 長文読解 徹底演習 3セットワークアウト!【高校標準編】
アルク
- 山岸 洋一
- 流通経済大学附属柏中学高等学校
プロフィール
2年間非常勤講師として勤務後、現任校に転職し26年間勤めている。2022年度は高校3年生のクラスを担当し、 医・歯・獣医・薬学部を含めた国公立大学・最難関私立大学への進学を目標とする普通科特別進学コースの英語科主任。