- 対象:高校生(実践レポートでは高1でLevel 2、高2でLevel 3、専門英語科の高2でReading and Writing Book 3を使用)
- 技能:4技能統合。Reading, Writing & Critical ThinkingとListening, Speaking & Critical Thinkingの2種類で構成
- レベル:応用・難関。6レベルのシリーズで、実践レポートによればLevel 2がCEFR A2、Level 3がB1相当
- 出版社:ケンブリッジ大学出版
- 向く狙い:学術的なトピックと映像で、英語で考え・話し・書く授業を行いたい学校。IELTS対策にも
UNLOCKとはどんな教材か
ケンブリッジ大学出版のEAP教材です。出版社の紹介文によると、易しいレベルから始められる6レベルのシリーズで、4技能を統合したBasic Level(1st edition)で基礎を固めてから上のレベルへ進む構成です。Reading, Writing & Critical ThinkingとListening, Speaking & Critical Thinkingの2種類から成るペアスキルコースで、幅広い学術分野のトピックと世界各地で撮影された映像を使い、言語だけでなく批判的思考力を鍛えることを狙いとしています。自学自習用の追加アクティビティはモバイル端末から利用でき、IELTS対策教材としても位置づけられています。
実践レポートを寄せた中川先生は、構成を次のように説明しています。
- 2種類のテキストは共に8ユニットで、各ユニットのテーマは互いに共通。1ユニットは10ページ程度
- Reading, Writing & Critical Thinkingの1ユニットは【WATCH AND LISTEN】と【READING】の2パート。前者はPREPARING TO WATCH→WHILE WATCHING→DISCUSSION、後者はPREPARING TO READ(重要語の定義確認)→WHILE READING(2題の長文)→READING BETWEEN THE LINES→DISCUSSIONの順に進む
- 教員向けにTeacher’s manual、地域ごとの躓きやすい点をまとめたTeacher development support、生徒と教員で学習記録を共有できるOnline workbookがある
- ブルームの分類体系(Bloom’s Taxonomy)を応用して作られている
藤原先生は、各章が写真で背景知識を活性化し、動画でオーバービューをしてから、基礎事項の学習、読解活動、DiscussionやEssay Writingなどの発展的な活動へ移る流れだと述べています。
現場で迷うポイント——どんなクラスに向き、どんな場合は別の選択か
向いているクラス
- 中学段階で文法・単語をしっかり積み上げた生徒。藤原先生は、Reading and Writing Book 3にはCEFR A2レベルの英語力が最低限必要で、語彙力がないと英検2級の中間レベルでも相当大変だと述べています。
- 英語で思考・判断・表現をさせる授業をしたい学校。中川先生は「教員のやる気と情熱さえあれば、誰に対しても向いている」と述べています。
別の選択を考えたほうがよい場合
- 和訳や日本語での指導を中心にしたい先生・学校には合わないかもしれない(中川先生)。
- 文法や語彙の足場がない生徒には難しく、モチベーションを下げかねない。Book 1など低いレベルからの導入が望ましい(藤原先生)。
使ってみて気になった点
- 高1の4〜5月は、本書を使った授業に生徒が慣れず苦労することもある(中川先生)。
- テキストの内容に即して進めるとスピーキングの機会が減るため、独自プリントで補っている。Cambridge英検ではリスニングが若干弱い(藤原先生)。
- 教材そのものへの不満は、2人の先生とも「特にない」としています。
授業での使い方——導入・展開・宿題への組み込み
型1:2冊を科目で分け、1年で全ユニットを扱う(普通科・高1〜高2)
中川先生の先生の実践レポートでは、7年ほど前から導入し、「コミュニケーション英語」でReading, Writing & Critical Thinking版、「論理・表現」でListening, Speaking & Critical Thinking版を使っています。高1はLevel 2、高2はLevel 3。1クラス最大40名程度の普通科で、2冊を1年かけて指導し、1学期・2学期に3ユニットずつ、3学期に残り2ユニットというイメージで進めています。
- 授業中は「要点を掴みながら読む・聞く」ことに注力し、単語や語彙の確認は小テストとワークブックで定着させる
- テキストは飛ばすところがないので、時間がないからと端折らず、順番に全項目を扱うことが重要
- 完成度が高いため補足プリントやPowerPointを別に作る必要がなく、教員は授業のコントロールと的確な指示に集中できる
型2:Discussionに最も時間をかけ、Retellingと推論質問で理解を深める(専門英語科・高2)
藤原先生の実践レポートでは、入学段階でCEFR A2程度の英語力がある専門英語科(1クラス25〜30人ほど)でReading and Writing Book 3を使い、1年で1冊を終えるシラバスを組んでいます。日本語に訳すのではなく、次の活動で理解を深めます。
- Retelling:一度読んだ内容を自分の言葉で相手に説明する。できればテキストを理解している証拠になる
- Inferential Questions:本文に直接書かれていないことを、行間まで読んで自分で考えて答える。難しい問題は写真や図表で補助
- Discussion:「授業でしかできないこと」として対面で実施。分からない単語は各自が事前に調べ、授業内は対話に使う
全授業でPowerPointスライドを使い、日本語使用の比率が極めて少ないため、難しい内容はフレーズを言い換えて説明しているとのことです。
使ってみた結果
- 中川先生:高1の頭で英検3級に落ちて苦手意識を持っていた生徒が、秋になる頃には聞き取れるようになり、高3で英検2級に合格した。導入後は海外大学への進学者が増え、早慶上理大への進学者数も2倍以上になったと述べています。
- 藤原先生:Cambridge英検をアセスメントに使っており、リーディングとライティングで例年に比べてかなりの伸長があった。数字に反映されるため生徒のモチベーションを保てると述べています。
編集部からひとこと
易しいレベルから始められるEAP教材
先生の実践レポートから
- 中川先生(工学院大学附属中学校・高等学校):普通科の高1・高2で使用。本書で扱った「エシカルファッション」に感化されて進路を決めた卒業生もいたと述べています。
- 藤原先生:専門英語科の高2でReading and Writing Book 3を使用。オーセンティシティと、生徒の知的レベル・語学レベルの両方に合う点を採用理由に挙げています。






