単語の暗記だけじゃない!長文も豊富で、文法や読解指導、音読練習など幅広く学べる単語帳
最終更新日:2023年2月20日
- おすすめしたプロフェッショナル
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関西地区私立高校Y先生 / 私立高校
速読英単語(入門編・必修編・上級編)
Z会
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
・長文のトピックのジャンルが幅広く、生徒が興味を持って取り組めるような内容が多い
本教材には新出単語の解説とともに、その単語を用いた長文が紹介されている。68個のアカデミックな文章が掲載されており、歴史、医療、教育、科学、環境など多岐にわたる。
・インプットだけでなくアウトプットもできる
単語帳はインプットのツールになりがちだが、インプット・アウトプット両方しないとなかなか定着はしないため、アウトプットも大切。長文の音読練習でアウトプットができ、付属の教員用データを使い演習問題もできる。
・長文がついてるため、単語だけじゃなくその他のことも一緒に学べる
単語だけでなく長文がついているため、文法の用法確認や読解の指導、慣用表現などの勉強も一緒にできる
・レベル感が、取り組むのにちょうど良い
以前使っていた前の版だとやや物足りず、高1の2学期くらいには終わらせないとその後が心配だったが、現在利用中の第3版は、この1冊をやるだけでもかなり力がつくようになった。大学進学を目指す高1が取り組むのに易しすぎず、難しすぎず、ほど良い。
・音声の使い勝手がいい
前の版は音楽に合わせて音声が流れるタイプだったが、第3版は単語や長文の音声だけが流れるシンプルな作りになっており、個人的にはこちらの方が好みである。各ページにQRコードがあるので、生徒は自分でオンラインページに飛んで長文や単語の音声をチェックすることができる。また、長文をスロースピードに変更することもできるので、自学がしやすい。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
どの単語帳でも出てくる問題だが、単語の意味は一番代表的なものが最初に挙げられていると良い。意味が複数ある場合、生徒は一度に全部を覚えるのは難しい。まず、どれか1つの意味を覚えた後に、「他にどんな意味があるのだろう?」という風に覚えていく。基本的にどの単語帳でも、一番よく使う意味を最初に持ってくるだろうが、単語によっては「2つ目に出てくる意味の方がよく使うのでは?」という単語もある。その場合、より頻繁に使われる意味を口頭で伝えているが、このズレがないと嬉しい。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
本教材の導入は3年ほど前からしており、昨年度の改訂で出された第3版も引き続き利用している。
それまでは、アルクの「ユメタン」「キクタン」、駿台文庫の「システム英単語」、旺文社の「英単語ターゲットシリーズ」など色々な単語帳を使っていた。もちろんそれぞれ良いところのある有名な単語帳なのだが、「これでないとダメ」といった決定的な決め手はない状況だった。
また、自分の変化として、音読やシャドーイングにそこまで力を入れていなかったが、経験や勉強を通してその重要性を再認識して取り組むべきだと思い始めていた。センター試験が共通テストに変わったタイミングで、ウェイトが大きくなったリスニングのためにも効果的だと思い、音読・シャドーイングをもっとやっていきたく、新たな教材を検討した。
状況(クラスの人数やレベル):
11名(高1の特進コース、1クラスのみ)。レベルは、国公立〜中堅私立大学受験を目指すくらい。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
本教材は、自分が高校時代に学校で使っていたものだが、単なる単語暗記用に使っていたため、特に良さを感じていなかった。各セクションごとの単語が使われた長文が付いているところが本教材の魅力だと思うが、授業内で長文をやった記憶もなく、個人的に他の単語帳を購入して使っていたほどだった。
今、教員になり英語学習のことを研究するなかで、本教材は長文も付いていることから、単語を覚えるだけではなく他の使い方も色々できる点に惹かれた。本教材を使って音読やシャドーイング、長文読解の勉強もできそうで、幅広い使い方に取り組んでみたいと思い、導入した。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
基礎固めから共通テストまでをカバーする1,400語を収録。
1冊のなかに、68個のチャプターがある。各チャプターの構成は以下のとおり。
まず見開き1ページで、左に英文、右に和訳。
その英文内に、その章で学ぶ単語が使われている(英語も日本語も赤字で分かりやすくマークされている)。
英文の長さは、後ろのセクションにいくほど長く、チャプター1では74語、チャプター68では109語。
次の見開き1ページは、左に見出しの英単語と意味、右にその単語を使った短めの例文と日本語訳。1つのチャプターで学ぶ英単語は、10〜20単語くらい。ページ数は、単語数の多さにより4~8ページくらい。
他には、最初のページに発音記号の解説、最後のページに頻出の接頭語や接尾語の解説、空欄に多義語のひと口メモや熟語の解説などもある。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
高1の「英語コミュニケーションⅠ」「論理表現Ⅰ」両方の授業で使用。授業は毎日1コマあり、1コマは50分。
授業の最初に単語の時間を取り、1コマ1チャプターのペースで進めている。進め方は以下のとおり。
①単語の音声を流し、発音のチェック
②生徒に音声に合わせて発音させる
③個人で暗記の時間
④長文のページを使い、音読とシャドーイング
(付属の教員用データ内の演習問題で読解練習までやることもある)
所要時間は、③までだと10分弱。文法学習や教科書といった他の内容との兼ね合いもあり一概には言えないが、時間の余裕があるときは④までやり、単語帳だけで20分ほどかけることもある。
長文に関しては、同じものを繰り返し練習しないと身にならないと思うので、④は1週間で1つの長文のペース。長文の進度は、単語の進度より遅くなりズレが生じるが、むしろ長文練習時に前に習った単語が登場することで単語の復習になる点はメリットと思って取り組んでいる。
現在(取材は10月)68チャプターのうちの47まで進んでおり、今年度の終わりまでには1周できる予定。高2で使う単語帳は年度により違う。今年度の高2はターゲット1900に変えたが、今の高1は今年度で本教材「入門編」を終えて、高2では同シリーズの1つ上のレベル「必修編」を使う予定。「必修編」で単語学習を引き続き進めながら、併用して「入門編」の長文の音読練習に継続して取り組んでいこうと思っている。
指導する上での工夫:
授業が単調になってしまい生徒の気持ちが離れてきたと感じる時は「Quizlet(クイズレット)」というアプリを使って変化をつける。Quizletはゲームのように楽しく学べて盛り上がる。また、生徒が個人的に単語カードのICTバージョンのような形で勉強するのにも使える。
覚える時は例文もチェックしてもらいたいので本教材を使うよう言っているが、覚えられているかのチェックにQuizletを使う。単語は、覚えて忘れての繰り返しで定着していくものだと思うので、授業内で覚える時間をとる他にも、個別の単語チェックも行っている。
幸い、特進コースは少人数なので一人一人全員のチェックをする余裕がある。単語リストを作り、口頭でのチェックを行っている。
シャドーイングは難しいので、段階を付けて取り組んでいる。月・火曜日は本教材を見ながら音声のスピードに続けられるように口を慣らせ、水・木曜日は教材を見ないでチャレンジ。1日10回くらい授業で練習し、家でもやってほしいと話している。木曜日までは、英文が発音できることを目標とし、内容はそれほど考えなくても良いと話している。木曜日くらいになると皆それなりにできてくるため、最後の金曜は内容を意識しながら発音する。
音読のメリットでよくいわれるのは、英語を本来の語順である「前から理解していく」練習に効果的ということ。音読は前から順番に発音していくため、意味の理解も前からすることになる。関係詞なら一旦後ろにいって前に戻って、のような頭の使い方をしてきた人は多いと思うが、それではリスニングで理解できないしスピードも遅くなってしまう。英語本来の順番で理解する頭作りは絶対必要と考えて、音読練習をしている。
Q. 使ってみた結果
音読やシャドーイングへの生徒の意識が変わった。毎日やり続けることが大事だと伝えているので、自主的に音読に取り組もうという意識が芽生えたように感じる。英語を声に出す、リスニング、スピーキングへのハードルも下がり、声に出すことへの躊躇が減った。
第3版への改定後、収録されている単語の難易度が上がり、基本的な単語から難易度の高いものまで、単語数が増えている。表紙には本書のコンセプト「この1冊で基礎固めから共通テスト突破までの重要1450語」が書かれており、さらにプラスして派生語も載っている。高1にしては難しめの単語もあるが、今のうちからやっておくのもいいかなと思っている。
Q. 使用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
大学進学を希望する生徒の多いクラス。使う時期の目安は、高1〜2の夏くらいまで。自分の理想は、高1のうちに終わらせて高2から「必修編」に進むペース。
シャドーイングも行うのであれば、大人数クラスで一斉には難しいかもしれない。少人数クラスの方が使いやすいかも。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
大学以外の進路を希望する生徒
- 関西地区私立高校Y先生
- 私立高校
プロフィール
現在は私立高校にて英語科主任、特進コース、語学研修・長期留学を担当。今年度は特進コースの1年生を担任。教務部所属、インターアクト部(国際交流部)顧問。 同志社・英文学科卒。在学中にアメリカ留学も経験し英語を活かした仕事を目指していたが、教員に限定はしておらず、…