「英語嫌い」の生徒をなくそう!段階を踏んでコツを学び自信を付けさせるリスニング教材
最終更新日:2023年4月26日
- おすすめしたプロフェッショナル
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小池 慎吾 / 未来高等学校 新居浜校
リスニングパイロット Level 1 新訂版
東京書籍
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
シリーズとして、レベルが1,2,2.5、3と細かく分かれている。さらに1レッスンの中でもステップに分かれているので、生徒が段階的に自信を付けやすい。
1つのレッスンは見開き1ページで、扱うのに時間が掛かるわけではないので、ウォーミングアップとして帯活動で扱うこともできるし、アレンジすれば膨らますこともできる。アレンジの幅が効くのが良い。音声がCDだけではなくネットでも聞けるのも便利。Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
以前の勤務校(7~8年前)では、リスニング教材として『キクタン』を使用していた。通信制コースもある本校では、生徒の学力レベルが非常に幅広く、一斉授業ではリスニングに拒絶反応を示すような生徒もいるため、なかなかリスニング教材を使えずにいた。しかし、英語が好きな生徒たちには、「聞く・話す」といったコミュニケーションの部分で学べる機会を作れたらいいなと思っていた。状況(クラスの人数やレベル):
平日コースは週に2回、習熟度別の授業がある。習熟度別クラスは、高1~高3を混ぜ合わせ、それを5つのクラス(1クラスあたり10人ちょっとくらい)に分ける。3学年がミックスされたクラスで、授業は高1に合わせて行い、基礎を固める。
本教材は習熟度別授業で、5クラスのうち一番上のレベル(英検3級~準2級)のクラスで使用している。他の類似教材ではなくなぜこれか:
4~5年前に業者さんがいくつかの見本を送ってくれた中で、本教材のようにレベル分けが細かく設定されていて、徐々にステップアップできるような教材があるんだ!と知った。本教材は、レベルが1,2,2.5,3と細かく分かれており、それぞれのレベルにおいても、各章でステップ1(単語レベル)→ステップ2(フレーズ)→ステップ3(長文)と段階を踏んでリスニングのコツを学べる。英語が苦手な生徒にとっては、ステップを踏んで学べることが大切なので、本教材の導入を決めた。Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
全体で20のレッスンがあり、1レッスンは見開き1ページ。
左ページ上にステップ1、左ページ下にステップ2、右ページにステップ3という構成。
【ステップ1】単語の聞き取り。音声で流れてきた英語がどの日本語訳かを3択で選ぶ問題が10問程度。
【ステップ2】上記の単語を含めたフレーズの問題が5問程度。
【ステップ3】ステップ2までで学んだ単語・フレーズを含めた長文(7~10センテンスくらいのパラグラフ)があり、内容を問うような設問が3~4問程度。
また4レッスンごとの後ろに「聞き取りのテクニック」というコラムが1ページ掲載されている。Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
週2回、1単位50分の授業の中で、最初の10~15分はリスニング以外の活動を他の教材で行う。
単語の読み方や発音の仕方を覚えるのは、センスの部分も大きいと思う。そのセンスを養うため、私が愛用する『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』(ジュミック今井さん著)を参考にオリジナルプリントを作って、フォニックスや接頭辞、接尾辞、サイレントeなど、読むセンスを養う問題を解かせる。丸暗記してしまわないように意識づけをさせる。解説(音の読み方のおもしろさなども含める)と、それに沿った問題を10問~30問程度載せ、扱う内容により出題数は変える。
残りの30分くらいを用いて、本教材を扱う。30分で1レッスン終えるペース。
ステップ1から3まで順番に、下記の流れで扱う。
1.最初にCDを流して、問題を解く(早さはCDのインターバルに合わせて解いていく)
2.教員が解答を口頭で言いながら、生徒は各自で丸付けする
3.もう一度CDを流して確認する
4.発音が難しい単語などは、生徒に発音させてみたりして定着を図る
本校ではレベル1しかまだ使っていないが、週5日制の通常の学校であれば、半年くらいで1冊終わると思う。その後次のレベルに進むのも良いと思う。指導する上での工夫:
難しいところ、勘違いしやすいところを生徒と共感してあげながら、日本語話者がリスニング問題で陥りやすいポイントを意識付けできるようにしている。(例:抑揚を付けて読む、冠詞(a,theなど)を言っているか、連結音の聞き取りなど)
時間が余ったら、レッスンで習った流れ(単語→フレーズ→パラグラフ)を生かしながら、ShadowingやOverlappingなどアウトプットする機会を持たせるようにしている。授業の中で聞いた音声をすぐアウトプットする機会を作ることで、記憶に残りやすくしたい。Q. 使ってみた結果
ステップごとになっているので、生徒は自信を付けやすい。本教材は一斉授業の中で使用しているわけではないので、定期テストの中にリスニングは入れておらず、テストの結果では計れない。その中でも習熟度別授業の生徒たちからは「分かるようになってきた」「少し聞き取れるようになってきた」という声が上がっている。
相対的な評価を付ける必要はないので、スコアを取って評価することはしていない。評価の基準は、積極的にやれているかどうか。1クラス十数人という規模なので、生徒の伸びを主観的に感じられると思う。
今は数字で見えないレベルで自信を付けさせている。そのうち、数字によって計る必要が出てきたら、定期テストの機会なども設けたいと思う。Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
シリーズの他のレベルを見ていないので何とも言えないが、レベル1であれば、教育困難校のリスニング指導に対応できると思う。英語嫌いをなくす目的で楽しく使える。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
超進学校で、基礎より受験英語をやりたい学校には向かない。
またリスニング力は感覚的な要素も多いので、直感的にリスニングができる生徒が多ければ必要ない。Q. 今後の英語教育について
小学校で英語学習が始まって以来、中学の英語嫌いの生徒が増えた印象がある。その一因は、小学校の英語教育はアクティビティ中心でとにかく楽しく!というのに対し、中学に入るといきなり文法や読み書きなど難しい勉強が多く、そのギャップに生徒が付いていけていないからだと思う。
英語嫌いな生徒が多いということは、教え方が悪いということだと思っている。まずは得意な生徒を増やすより、嫌いな生徒を減らしたい。
ローマ字読みをずっと教えられていて、突然ローマ字読みではない読み方を教えられても受け入れにくい生徒もいる。できれば小学校でフォニックスの学習をまず最初に行ってもらえると、読み方の基礎を身に付けることができ、丸暗記ではなく応用力が付くと思う。
- 小池 慎吾
- 未来高等学校 新居浜校
プロフィール
現在の勤務校8年目(令和4年度時点) それ以前は、同じ県内の全日制私立高校や公立中学校に勤務経験あり 英語は中1の最初はアルファベットの小文字も心もとなく平均点もとれなかったが、若い女の先生が教科担任だったこともあり、仲良く一生懸命にやっていたらいつの間にか得…