CLIL: Discuss the Changing World
最終更新日:2022年2月22日
- おすすめしたプロフェッショナル
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山田武久 / 名古屋中学校・高等学校
CLIL: Discuss the Changing World
成美堂
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
【テーマの面白さ】
本教材は日本語で書かれており、ユニットのテーマにそったディスカッションや英作文を通じて、英語をアウトプットする力を養うことができる。教材内で扱うテーマの面白さが一番のおススメポイントである。今回の教科書改訂に伴い、いろいろな教科書や参考書を見るなかで、中身が薄く「何のためにこの文章を書かせるのか?」疑問に思ってしまうような英作文の教材も多くあった。しかしながら、本教材のトピック内容は、AIやその他のテクノロジーの発達で、急速に私たちの生活や価値観が変わっていく状況を切り取ったものを扱っており、これはまさに現代の学生たちが「今」体験していることである。例えば、「人間はどのようにAIと共存できるか?」「新しい農業革命」「プライバシーと表現の自由」など。生徒たちは、これらのテーマを自分事として捉えて取り組めているように思う。生徒それぞれではあるが、理系の生徒は工学系や宇宙、文系だと環境問題などのテーマに関心を持つことも多い。
【指導力のブラッシュアップ】
また、本教材を使っての指導には、指導する教員側の技術も問われる。教材内で登場する難易度が高めな英単語や、扱われているテーマに関してもある程度の知識が必要である。そのため、授業の前にはそれなりにしっかりと準備をする必要があり、教員の指導力のブラッシュアップに自然とつながっていると感じる。知識を教える側も日々きちんと情報をアップデートすることが重要なため、先生同士の勉強会なども積極的に実施したい。それが学校の価値だと考える。
Q.困ったところや改善してほしいところ
今のところ、特になし。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
英語をアウトプットするにはインプットが不可欠である。「2つを1セットとした授業を実施するには」について本校英語専任のネイティブ教員たちが話し合い、2021年4月より本教材を導入し始めた。また、本教材は扱うテーマが面白く充実しており「コンテンツ重視で選びたい」という教員側の思いを十分にかなえた1冊である。
・問題/課題:
英語をアウトプットする力、特に人前で自分の意見を伝えることは国際人として非常に重要であり、この力を伸ばすには実践の場が必要だと感じてきた。・状況(クラスの人数やレベル):
高2生の、英語表現の授業で使用。1クラス40名前後で、英語の成績が校内トップ層のクラス。専任のネイティブ教員がオールイングリッシュで授業を進行している。授業時間は50分1コマで、週に2コマ本教材使用の授業を実施。・他の類似教材ではなくなぜこれか:
~実際に本教材導入に携わったネイティブ教員より~Exactly as the title suggests, this text covers a range of topics relevant to the modern world and the challenges the world faces together in the future. The data sections give students the opportunity to practice for university entrance style questions. Alongside the reading section, students are armed with ideas to enable them to talk and then write about each topic.
Q.実際の使い方
【教材の構成】
本教材にはユニットが15あり、それぞれのユニットのテーマをステップを踏みながら掘り下げていく。
①Introduction(Listening→Key phrases→Three picture:ペアワークを実施)
②Reading(Questions→Outline:内容を理解する)
③Data(A、B:それぞれグラフや表を読み解く)
④Discussion(Step1→Step2:賛成か反対かを選びディスカッションし、英作文を作る)
例えばユニット1のテーマは「人間はどのようにAIと共存できるか?」である。ステップを踏む中で、「人間の仕事を、今後どれくらいのパーセンテージでAIがするようになるのか?」「人間にできることは何か?」「AIとの共存は人間の生活にどう利益をもたらすのか?」など、より具体的な質問が出てくる。これらを通じて、自分自身の意見を持てる流れになっている。最終的には④のDiscussionのステップにて、文字数60~100語ほどの英作文を書いていく。問題のレベルは、難関大の二次対策になるくらいのレベル感なので簡単ではないが、良い訓練になる。1コマ50分の授業でそれぞれのステップを行い、4コマ前後を使って1ユニットを終わらせるペース。
高2の現在、生徒はテキスト内でのみ知識を得ているが、高3になる頃には本教材で学んだり考えた情報をベースに、自分の好きなトピックを選んで探究していってほしいと期待している。そのための「種まき」としても高2で本教材に取り組む価値があると思っている。
・指導する上での工夫:
グループワークやペアワークを多く取り入れることによって、さぼれない環境を作るのがポイントだ。また、皆で情報を共有しながら、自分の意見を人に伝える力は将来的にも大切になる。生徒同士、互いに刺激しながら熱心に取り組んでいる。Q.使ってみた結果
生徒はとても積極的に授業に参加してくれており、本教材への食いつきも良い。難易度は決して易しくない教材と授業だが、生徒たちがこれまで習ってきたものをうまくアウトプットできている印象だ。また、現在はAO入試のプレゼンテーションでも、「経済問題、環境問題などの時事的問題に対して自分の意見を述べよ」といった入試課題も増えている。本教材を通じ、高2で自らの意見をアウトプットする訓練をすれば、高3の入試時期に十分に太刀打ちできるのではないか、と感じている。
Q.利用が向いているクラスや生徒
ディスカッションや英作文などアウトプットを目的として作られている教材のため、レベルは高め。上位レベルや国際クラスなどでの使用が向いていると思う。大学入試では、中上位レベルや難関大レベルにも対応している。また、教員側にも情報に対する「アンテナの高さ」が求められる。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
基礎レベルを固めたい人や、アウトプットに重きを置いていない人。
- 山田武久
- 名古屋中学校・高等学校
プロフィール
大学卒業後、公立高校へ勤務。その後、名古屋中学校・高等学校にて勤務を開始し、現在勤続16年目。教員歴24年目に入った。英語教員として高2生を担当するいっぽう、サッカー部の監督して生徒を導いている。Critical Thinkingが染みついている海外の選手と、…