コンパクト英語構文90
最終更新日:2022年2月23日
- おすすめしたプロフェッショナル
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相良忠樹 / 常磐高等学校
コンパクト英語構文90
数研出版
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
教科書によって文法の取り扱い方が異なるので、高校3年間で文法を学ぶ流れは、採択している教科書によって変わる。しかし、最近の教科書の主流は活動に重点が置かれ、文法の演習問題が減っている傾向にある。それでもやはり文法事項は英語を学習する上で外せない。本書のような文法事項に特化した教材があれば、どのような教科書を選んでも、骨組みとしてしっかりと文法の基礎を固めることができる。近年はアウトプットを重視されるが、インプットしたものを自分の中でしっかり処理できない限りはアウトプットにつながらない。本書は、指導する側の教員にとっても、文法のインプットを授業内でどう展開していけば良いか迷わないための助けになっている。
Q.困ったところや改善してほしいところ
文法事項が出てくる順番や項目のくくり方に改善の余地はあると思う。また詳細な情報が少し足りていない点もあるので、そこは教員側で補足しながら扱う必要がある。
構文が録音された付属のCDについては、英語→日本語の順で録音されている。アウトプットにつなげるためには日本語→英語の順番であれば、使いやすくなると感じる。(実際現在はほとんど利用していない状況である)
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
十数年前からずっと利用している。もともとはGrammarの授業で、構文を覚えさせたり、暗唱例文のテストをしたりするために用いていた。しかし最近では教科書も変わってきて、構文を暗記するよりアクティビティ中心となってきている。令和4年度からはさらに教科書が変わり、文法項目がかなり減っていく。文法の定着なくして、読解や作文などその先の活動は厳しいので、教科書に載っていない部分をどの教材で補うか、ということが非常に重要になってきている。
本校では本教材を長年利用しているため、どの文法知識がどれだけ網羅されているか、教員が良く把握している。本書は3年間の文法指導達成の指針となっていて、本書を使えば体系的な文法指導ができる。したがって、本校では、令和4年度の教科書はあえて文法が載っていない、アクティビティ重視のものを採用し、文法指導に関しては今後も当分の間は本書を使い続けていくつもりである。
Q.実際の使い方
すべてのコースで「英語表現」および「コミュニケーション英語」の授業の中で補助教材として使っている。「All aboard」、「Power On」などの教科書と併用しているが、教科書の文法の順番と異なるので、本書の順番に合わせて、教科書は前後しながら進める。
1構文につき1つの基本例文があり、見開き2ページの構成。左側に例文と解説、右側に並べ替えや和訳等の基本的な文法問題がある。1回の授業で扱う範囲は、コースにより異なる。特進コースは理解が早いので、見開き4ページ分の解説を行い、右側の演習問題は宿題として行わせ、次の授業の際に確認する。その後、教科書の該当する範囲に戻って、教科書の英文をリフレーズして言わせるなど、さらに定着を図る。進学コースは、演習問題の数を多くこなすことが重要なため、授業内でもなるべく問題を解かせる時間を取るようにしている。見開き2ページ分の解説を行った後、問題を解かせ、全員で解答も行う。
ひと通りを2年生前半~遅くとも2年の後半までには終わらせる。その後は演習問題や大学過去問を解く。その際に分からない点が出てくれば「コンパクトの何ページを参照」という形で、復習としても用いている。
Q.使ってみた結果
3~4年前に、本校の卒業生で九州大学に合格した学生が、進路ガイダンスの講演を行った。その際に、「コンパクト英語構文が頭に入っていたら恐いものはない!英語学習にはいろいろな表現や単語をコツコツやっていくことが大切。そのためにはこの本を2回、3回繰り返し勉強しなさい」という話があった。その先輩からのアドバイスで、特に特進コースの生徒が、自主的に2周、3周と繰り返して勉強するようになった。そのように実践した生徒たちは、文法で困ることはなくなった。また、本校のspeaking活動では、即興での対話を行うことが多々ある。コンパクト英語構文の単元が終了するにつれ、生徒の表現の種類が増えていくのを肌で感じている。
Q.利用が向いているクラスや生徒
中学で学ぶ英語があまり定着していない生徒が多い学校におすすめ。
来年の令和4年度からの教科書の変更に向けて、文法教材をどうしようと迷っている学校。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
すでに文法の基礎がしっかり入っている、学力の高い進学校には必要ないと思う。
- 相良忠樹
- 常磐高等学校