DUALSCOPE English Expression
最終更新日:2022年2月23日
- おすすめしたプロフェッショナル
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野﨑久美子 / 東邦高等学校
DUALSCOPE English Expression
数研出版
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
・指導がすごくしやすい。デジタル教科書、参考書、iPad、ロイロイノートといった授業支援クラウドを活用することで、授業内の生徒のアウトプット時間が多く確保できたと感じる。
・教科書に掲載されている写真についての情報も、音声で説明してくれるので生徒の頭に残りやすい。線を引いたり、答えを隠す・出すも簡単にできる。また、参考書もiPadにダウンロードできるので、参考書を自宅に置いていても学校ではiPadですぐに見られる。映像、音声、和訳、答えもボタン一つで一気に出せる。
・実際に文法を説明する際は、クリックをして参考書に飛び、その場でiPadから生徒は説明部分を読むことができる。昔は時間の制約上「参考書は見ておいてね」と言うしかない場面も多かったが、今は「参考書をどのように使うのか」というのも一緒に教えられ、時間に余裕ができるようになった。
・教科書の後ろに短い例文集があり、こちらもアウトプットに活用できた。授業中に、口頭で日本語例文から英語に変えるペアワークをさせ、瞬発力を養わせるように努めた。小テストをこの例文から出題したり、ノート提出などもさせたが、真面目に取り組んだ生徒の成績が伸びた実感がある。
・休校期間中、生徒は1人で勉強しなければならなかったので、本教材を通じたペアワークやグループワークなど、クラスメイト同士で勉強することの楽しさに気づいた様子だった。
Q.困ったところや改善してほしいところ
本教材のデジタル教科書には「答え」と「和訳」のボタンがそれぞれあり、「答え」は1問1問それぞれ出すことができるが「和訳」は全文が一気に出てしまう。一文一文説明したい時に、一気に出てしまうと少し困ることがある。しかし、全般的に大変満足している。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
今年度(2020年度)初めて導入。一番の決め手になったのは、本教材のデジタル教科書と共に参考書が使いやすいという評判を、他校教員から聞いたことだ。デジタル教材を使った効率的な授業を行うことで、生徒のアウトプット時間を最大限に伸ばしたいという狙いがあった。
なお、私は本校・普通コース(1クラス40名前後)、文理特進コース(1クラス18名)、2020年新設の国際探究コース(初年度18名、来年度は35名予定)を担当し、授業内で本教材を利用している。
●他の類似教材ではなくなぜこれか:
・「表現」のコーナーページが面白い
(例)仮定法のレッスンでは、「あなたがもし歴史上の人物になるなら、誰になりたいですか?」という興味をひく質問が、かわいらしい人物イラストたちと共に載っている。また、「日本の憲法を考える」のレッスンでは、日本の年間行事が英語で書かれており、生徒たちは日本の文化についても改めて触れることができる。生徒自ら想像したり、考えを話したくなるようなネタが入ったコーナーになっている。
現在カナダに留学中の生徒や姉妹校の生徒たちと、オンラインで英語で交流する機会があるのだが、台湾の生徒から「日本のミュージシャンについて」を質問された時は答えられたが、シンガポールの生徒から「ひな祭りについて」など日本の文化に関する質問をされた時は、生徒だけで答えることが難しかった。英語で話すためには、知識が必要だということを実感できたように思う。そういった点でも「表現」のコーナーは役立つと感じる。
・2、3行の英作文を書く「Let’s try」のコーナーが使いやすい
「今から1、2分で英作文を書いて」と指示を出し生徒が取り組み、その後ロイロノートで生徒たちの回答を全員で共有・添削をしている。恥ずかしがる生徒も、「名前を消す」ボタンで生徒名を消すことで積極的に書くようになった。他の子の回答がわかると刺激になり、より集中して取り組むようになった。iPadを授業中に活用でき、生徒も積極的に授業に参加できている。
Q.実際の使い方
授業はホワイトボードに教材を投影して行う。
本教材は1レッスンごとに1~2パートあり、レッスン10まである。1パートを1.5~2コマの授業で終了するペース。「英語表現Ⅰ」の授業で行い、週3コマ授業を実施(国際探究コース)。ページ見開き左側が文法項目、右側がエクササイズの問題演習のページ構成。
●指導する上での工夫:
・生徒は予習必須、問題演習を終わらせて授業にのぞむ。授業は以下の流れで進めている。
①私から文法の説明
②少人数のグループ内で問題演習の答え合わせをさせる
③私から正解を共有する
生徒は周りに迷惑をかけたくない気持ちから、しっかり予習をして取り組んでいる。このグループワークは非常に効果的で、生徒から集めた授業に関するアンケートでも「友達と相談し合えるのが良かった」という意見が多く出た。英語が苦手な子にとって、直接私に質問するよりクラスメイト相手だと聞きやすく、共に納得し合えるようだ。生徒同士で考え抜いて出した答えが間違っていたときの悔しさが、とても良い経験になっている。「あ!そうか!」「悔しいー!」という活発な声が教室に響く。コロナでいろいろ制限はあって今年は難しさも多くあったが、受け身にならず主体的に生徒が学べたことは大きな成果だった。
Q.使ってみた結果
初めは、まだ中学校の基礎文法しか知らない高1生にとって、難易度が高く大変だった様子。だが時間とともに段々と慣れてきており、現在は問題なく使えている。校内の全科全コースの生徒が英検を受験しているが、国際探究コース1年全員が、準2級に合格することができた。
Q.利用が向いているクラスや生徒
現在、校内の普通コース、国際探究コース、文理特進コースで導入しているが、どのレベルでも使いやすいと感じる。文理特進コースもベースの教科書はこちらを使い、副教材としてやや難易度の高いもの(チャート式)をプラスすれば問題ない。ベーシックな内容の教科書なので、どのレベルにもマッチすると感じる。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
基礎中の基礎を固めたいというのであればレベル的に少し難しいかもしれないが、基本的には合わないクラスはないと思う。
- 野﨑久美子
- 東邦高等学校
プロフィール
大学卒業後、東邦高等学校に着任、今年で25年を迎えた。 2020年度より新設の国際探求コース一期生を担当している。(普通コース、文理特進コースも担当) 長期留学などの経験はなく、日々の学習で英語を習得してきたため「英語が好きだけれど苦手」という生徒の気持ちがよ…