- 対象:中学生(実践レポートは中2・中3での利用)。英文レベルは前半が中2文法、後半が中3文法
- 技能:長文読解(多読・速読)を中心に、音声を使ったリスニング・音読にも展開できます
- 出版社:浜島書店(問題集)
- 分量:100題(各80〜120語程度)、全部読むと1万語
- 向く狙い:授業冒頭の帯活動で毎回短い英文を読ませ、「長文への抵抗感」を減らしたいクラス
読みトレ100とはどんな教材か
出版社の紹介文によると、アメリカからやって来た15歳のビル君の日本滞在記を読み進めるうちに多読・速読の力がつく教材で、英検一次試験や入試問題の長文を読む力につながるとされています。毎回3分間の練習で長文に慣れる設計で、英文レベルは前半が中学2年の文法、後半が中学3年の文法です。100題(各80〜120語程度)を全部読むと1万語に達します。
題材例として School Trip、Sports Festival、Natto、Setsubun、Japanese English、Animal Sounds、High School Uniforms、Valentine’s Day、Women-only Cars on the Train が挙げられており、学校生活や日本文化を表す英語表現の習得に役立つ内容です。
解答形式は「下線方式」で、問いの答えにあたる部分を本文中から探して下線を引くため、短時間で確認できます。巻末には追加問題が各3〜5題あり、和訳にはスラッシュリーディングを採用しています。巻末のWPM記録表と早見表で WPM(words per minute)を簡単に計算でき、読むスピードの向上を生徒自身が実感できる仕組みです。
音声は教師用音声CD付きで、本誌のQRコードからも再生できます。付属品は教師用解答(ハギトリ式)、生徒用解答(有料・トジまたはバラ)、教師用音声CDです。
実践レポートを寄せた先生によると、本誌は見開きの左右ページにビル君が書いたという設定の見聞録が載り、各ページ上部にタイトル、下部に1題の質問がある構成です。1〜17話の質問は日本語、18話以降は英語になります。主な登場人物はビル君とホストファミリー、ガールフレンドのあおいちゃんで、友達とのやりとりや恋心、テストでショックを受けたことなど、生徒が経験しそうな親しみのある内容が含まれているとのことです。
現場で迷うポイント——どんなクラスに向き、どんな場合は別の選択か
2件の実践レポートはいずれも中3での利用で、一方の先生は中2・3年生で使用できるとし、「英語が苦手な生徒でも日々の積み重ねで少しずつ英文を読むことに慣れていける」と述べています。1冊を通してストーリーが続き、季節の行事や学校行事など生徒になじみのある話題が多いため、内容を理解しきれなくても想像や推測で読み進められる点が採用の決め手になったそうです。
合わないケースとして挙げられているのは次の2つです。
- 英語での日常会話がある程度成立するような上位校では物足りない
- 「学びは学び」と割り切っていて「楽しみながら学ぶ」ことに抵抗のある生徒(ただし「なかなかいないとは思う」との補足つき)
また、書いてある英文が全くわからない生徒(特別支援学級に在籍し通常授業で一緒に学んでいる生徒など)には難しい内容だという指摘もあります。小規模校の先生は、その年の生徒のレベルに合わせて教材を選んでおり、翌年度の2年生では採用しなかったと述べています。学年一律ではなく、その年のクラスの実態で判断している例です。
「困ったところ」は両先生とも特になしで、「とにかく読んで長文に慣れる」ことに重きを置く使い方であれば不足を感じにくいようです。逆に、文法や語彙を体系的に扱う教材として期待すると、想定した用途とずれるかもしれません。
授業での使い方——導入・展開・宿題への組み込み
2件とも授業冒頭の帯活動として使っており、所要時間は5〜10分程度です。手順はほぼ共通しています。
- 2分程度で本文を読ませる(音源を先に聞かせて内容をさっと把握してから黙読させる先生もいます)
- もう一度読ませる。ALT来校時はALTがその場で音読、それ以外はChromebookで音声を流して通し読みを聞かせる
- 各話に1問ある質問について、答えになる部分に下線を引かせる
- 1〜2分経過したところで、下線を付けるべき文を全員で確認する
- 早く読み終わった生徒には巻末の追加問題(各回3問)に取り組ませる
解説は5分ほどで、以前に習った文法が再登場したときに「いつ習った表現か」、類似表現や反対語を簡単に説明する程度です。新出項目は英文の下に日本語がヒントとして部分的に書かれているので、理解しきれていなさそうなもの以外は特別に解説を加えないそうです。全体の意味を捉えることを重視し、多少わからない部分があっても文章の意味がわかればよいとしています。
音読か黙読かはクラスの様子で切り替えています。ある年の3年生は音読しながらのほうが意味を取りやすいと感じて音読していましたが、別の年の2年生は教室で声を出すことに抵抗のある生徒が多く、黙読に切り替えたとのことです。
WPM早見表は両先生とも活用しており、「100以上を目指そう」と声をかけ、生徒によっては個別により高い目標を設定させています。詳しくは先生の実践レポートを参照してください。
家庭学習への広げ方
さらに学習したい生徒には、英訳付きの別冊解答を渡して家でも反復練習するよう促す、といった追加対応をしている先生もいます。個々の理解が積み上がることでクラス全体の底上げにつながる、という感触が語られています。
使ってみた結果
先生たちは、初見の英文を「訳す」のではなく「読む」ことができるようになると述べています。質問の答えを速く探すためにさっと読む習慣がつき、速い生徒は100語程度の英文を20秒程度で読み取るそうです。黙読中に思わず笑い出す生徒がいるのは英語が英語のまま理解されている証拠だ、との見方も示されています。1年間で100話を読み終えると1万語を読破したことになり、生徒の大きな自信になるとのことです。北海道内学力テストで長文が少し速く読めるようになっている手ごたえがある、という報告もあります。
編集部からひとこと
多読・速読で「読む力」を育てるリーティング教材
先生の実践レポートから
- 実践レポート(匿名の先生):小規模校で1学年1クラス約15名。導入2年目で、前年度は中2で「読みトレ50」、中3で「読みトレ100」を使用。授業冒頭10分以内の帯活動で運用し、以前習った文法の振り返りにも有効と評価。
- 実践レポート(匿名の先生):中3で継続導入5年目。担当教員が変わっても教材は変えていない。授業の最初に5〜7分使い、読んだ内容を「話す」「書く」活動につなげるための速読力養成として位置づけている。





