教育トーク : 英語が苦手な生徒も主体的な学びへ誘う方法 ~学力差があるクラスを指導する際のヒント~
最終更新日:2022年10月14日
プロフィール
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町田市立小山中学校 英語科教諭 小野塚千瑛
2012年より東京都公立中学校教諭として勤務。2014年外国語(英語)科教員等の海外派遣研修(カリフォルニア大学アーバイン校)に参加。2017年よりは町田市立小山中学校に勤務。 趣味はミュージカル鑑賞。
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こども教育宝仙大学・青山学院大学 五十嵐美加
2007年~和歌山信愛中学校・高等学校、2012年~慶應義塾大学社会学研究科修士課程、2014年~東京大学大学院教育学研究科博士課程、2020年~東洋英和女学院大学教職・実習センターを経て、現在、こども教育宝仙大学(実践英語担当)、青山学院大学(心理学応用演習担当)兼任。 修士課程在学中、英国オックスフォード大学への留学経験有り。
教育トーク : 英語学習におけるリテリングの有用性 ~自分の言葉で説明できるのは理解の証~でも述べたように、新学習指導要領(中学校2021年度、高等学校2022年度施行)では、これまで以上に主体的に学びに取り組む態度の育成が重要視されています。
しかし、英語が苦手な生徒の中には、学習活動に対して積極的に取り組むことが難しいという生徒もいるかもしれません。そのような生徒がクラスにいる場合の指導方法についてお悩みの先生方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、そのような生徒も自然と主体的に学習に取り組んでしまうような授業の雰囲気作りや指導の工夫について、東京都町田市立小山中学校の小野塚千瑛先生にお話を伺いました。(聞き手:五十嵐美加)
ちょっと強引にでも「全員が声を出す」雰囲気を作る
(五十嵐)小野塚先生は私立女子中高に勤めた後、その後東京都の中学校にお勤めされているということですが、私立から公立に移られて気づいたことや普段工夫していらっしゃることについて伺えたらと思います。
(小野塚)最初は茨城県の私立女子中高に2年間勤めていて、その後東京都の中学校で11年目です。特に、公立の先生になってから意識していることがあります。それは、理解するのに非常に時間がかかったり、かなり丁寧な説明が必要だったりする生徒たちに、一斉授業の中でどうやって英語を教えたらいいのかということです。つまり、そういう生徒たちが授業で退屈しないでついて来られて、授業にきちんと参加するという形を作るにはどうしたらいいのかということですね。
少し難しい文法の説明なんかにはついて来づらい生徒もいるので、教科書を繰り返して読む、1文だけでもいいから覚えて教科書を見ないで声に出して喋るというのを、やらせています。ちょっと厳しいですが、強制的なスタイルでやらせていますね。
教科書の本文を一文ごとに区切って各列に割り当てて、廊下側の1列はこの1文を覚える、隣の列は次の1文を覚えるというふうに割り振って、覚える時間を2分ぐらい取ります。
今度は横列で、一番前の人がみんな立って覚えたやつを順番に言っていく。全員成功したら終わることができる。
間違えた人がいたら、後でもう1回挑戦する、というのをやります。そうすると、意味はよく分からないけど、英語をとりあえず1回覚えて喋るので、授業を3年間受けたのに読み方が分からない、単語の発音が正しくないという子が出てしまうのを防げます。
意味が分からなくても、カタカナを振ってしまってもいいから、決められたことを覚えて言うだけなのでできない子も頑張れるんですよ。とりあえず「読める」「発音できる」というベーシックな部分ができていないと次に積み上がっていかないという実感があるので、そのような指導をしています。
最初の4月はみんな泣きそうになってしまうけれど、割り当てられた一文だけでも、カタカナを振ってでもとにかくやる、というのを3年間やると、1年生のときにやるような基本的なフレーズや単語はだいたい、見て音が分かって、発音ができるようになります。
読めない、発音できない、という人は出さないようにしたいし、正しく発音ができるようにはしてあげたいです。
連帯責任の要素も入れているので、これは賛否両論かと思いますが、意外と大丈夫ですよ。
教員側がクラスの割り振りに慣れてくると、出来ない子がどの列に座っているかがイメージできてくるので、そこにわざと短い文を当てるように計算して、細工して、みんなが成功できるようにしています。
チームで競ってゲーム感覚で英文を暗唱
(五十嵐)全員がきちんと参加できる、自分が学びの当事者として、受身ではなく参加するということを目標に、声を出す機会を強制的にでも与えて全員参加型の授業を目指しているということですよね。
その目的としては、単語の発音ができないと語彙の獲得にも支障が出てくるので、しっかり発音ができるようにさせることで、それが基本的な力、基礎になるだろうということですよね。
それで、連帯責任はちょっとかわいそうだなって思いましたが。。。答えられないときに助け舟を出すのは禁止なんですか。
(小野塚)隣の子がひそひそ教えたり、前に座っている子がこそっと言ったりしても、そこはうるさく突っ込まないようにしています。
あとは私も助け舟出して、結局全部私が言ったことを繰り返しただけで一文終わってしまったとしても良しとしていて、そこはちょっと緩くするようにはしています。
(五十嵐)その辺さじ加減が難しいですが、うまくチームで競ってゲーム感覚でやれたら楽しんでできるので良いなと思いました。
それはどのタイミングでやるんでしょうか。小野塚先生の場合はどんな感じで50分の授業を進めているのか教えてください。
(小野塚)帯でやることは学年の先生と相談しながら決めるので教材が様々なんですが、リスニング教材の短いやつを冊子で買ってそれをやるときもあるし、有名なビンゴをやるときもあります。あと必ずプラスしたいと思っているのが、会話する教材です。
今使っている教科書がHere we goという教科書で、後ろに会話教材がついているんですが、それを短い時間で横の子と喋る、大体の会話の内容が昨日見たテレビが何かとか自分のことが多いので、相手が一緒だと答えが一緒になってくるので時々ペアを変えて、それを帯でやっています。
それをやったら10分ぐらい経ってしまうので、そこから本編の授業に入って、最後に今日やった内容を確認して、終わりです。
新しい文法事項は本文に入る前にしっかり丁寧に解説
(五十嵐)本編ではどんなことをやっているんですか。
(小野塚)本編はオーソドックスで、新しい文法をやるときは、先に文法を説明したいです。
そうではない先生もいるんですけど、説明用のプリントを作って、説明したり解いたりして答え合わせをします。文法を扱う授業のときは、説明をしっかりそこは省かないようにしていて、問題を解いて答え合わせで解説して、次の時間の本編で教科書の本文に入ります。
そこで音読の練習をした後、教科書の右側の本文ではない場所に、リスニングやスピーキングやライティングといった活動があるので、やっています。
2時間で収まれば割と順調で、本文が長かったり、文法の内容が多かったり、本文にさらに別の文法内容が盛り込まれていたりすると説明が多くなって、1つのパートで2.5時間ぐらい使います。
(五十嵐)では、帯活動、会話、文法や本文の解説、音読、リスニングなどの活動、まとめ、というのが1つの授業の流れで、本編に当たる文法や本文の解説は一つのパートを複数の授業に跨って扱うという形式なんですね。
文法を先に説明するのは私も賛成です。学力的に厳しい場合や、小学校の時に受けてきた教育に差があるかもしれないし、塾に行っている行ってないでも差があるので、教えるところはしっかり教えて、教えられたことを使って自分でオリジナルの文を作ってみようとするのはいいと思います。
教えるところを教えて、それが理解できているかの確認も大事だと思いますが、説明してもすぐに理解するのが難しい子にはどのような対応をしているのでしょうか。問題を解いてもらって練習したときに、できている子とできてない子がいると思うんですが、できてない子へのフォローはどうしていますか?
また、理解確認はどんな形でやっているんでしょうか。
1問でも2問でもできれば良しとするゆとりも持ちたい
(小野塚)机間巡視することで、みんながどこをどう勘違いしているのかのパターンがなんとなく分かってきます。
でも、やはりクラスの1〜2%は答案用紙が真っ白で何もできない子もいて、授業ではこういう子たちのつまずきの全ては拾い切れません。そういう子については、近くまで行って、解けそうな問題だけを指さして、これを先にやってごらんと言ってやらせてみます。
あとは間違えているパターンを見ているとどこを解説しなきゃいけないかが分かるので、答え合わせのときに、説明を追加しながら、答え合わせで正解するために必要なことに気づいてもらいます。
個別対応というよりは、解いている段階で回って、解説のときに理解の支援をするという感じになります。
(五十嵐)それもとっても大事ですよね。あとは小野塚先生の10年以上やってきているという経験値もあると思うんですよね。
毎年の蓄積があって、こういうところでつまずきやすいとか、こういうところは理解が難しいとか、その想定があるから、机間巡視するときも、そこを中心に見れたりすると思うので、経験値が必要な作業なのかなと思いました。
新任の先生はそこまで余裕がないように思えます。子どもたちの実際に解いている様子やリアクションやその他の学習行動を見て、自分の説明することを臨機応変に変えていかなきゃいけないので、蓄積や経験値が必要ですよね。
だから新任の先生だから仕方ないじゃなくて、新任の先生は、自分自身の経験値を埋めるために、先輩の先生にいっぱい聞かなければいけないのではないかと思ったりします。
どこで子どもたちがつまずきやすいか、事前にその単元をやるときに、先輩の先生も忙しいかもしれませんが、指導してもらったりする必要はあるかなと。
ワークシートを理解確認のバロメーターになるように自作
(小野塚)自分でプリントを作ると、段階的に問題をだんだん難しくしていけるんです。少しずつ難易度を上げていって、どこまでスラスラ解けて、どこで手が止まってしまうのかがわかるように、ワークシートを作っておくと、理解確認のバロメーターになります。
(五十嵐)つまずきポイントの解説をした後、生徒たちの理解がきちんと修正されたかというのは、最後のまとめや振り返りの中で自分たちでさせるんでしょうか。
(小野塚)残念ながら、去年はあまり細かくはできませんでした。単元ごとに大まかに確認する程度でした。今年度はもう少しきちんとやりたいです。
教科書に付いている振り返りや確認って、多くが文法確認用ではないんですよね。
自分の〇〇を言えるようになりましたか?といった感じの振り返りや、自分で振り返りコメントで書いてそれを評価に生かすようなもので、CanDoリストをベースにやる感じになります。
実際にその文法が正しく使えるかを評価する場面は、小テストや単元の最後のまとめに付属している課題を解かせる場面ですかね。
(五十嵐)小テストは頻繁にやっているんですか。
(小野塚)最近は結構やっています。学習指導要領が変わって単語がかなり増えたので。単元毎に膨大な単語量で。解く方も結構きついと思うんですが、小テストやっています。
単なる暗記テストにしてしまわないためにしている工夫があります。教科書の中に、文法事項のハイライトになる基本文というのがあるんですが、それもテストで一緒に出して書けるか確認しているんですよ。それを丸付けする中でどういう間違い方しているかを見て、理解度を把握します。
(五十嵐)小テストは単元ごとにやっているんですか? 頻度と、範囲を教えてください。
(小野塚)1年生のときは、パートごとに基本文のテストをやって、2文書くだけで終わりです。あとは単語・基本文の単元テストをさらに単元の最後にやっていました。
2年生は、パートごとにやるのをやめて、単元テストのみ。単元テストの中にその単元でやった全ての単語と、その単元でやった全ての基本文を書くという、結構難しいテストをやっています。
(五十嵐)その振り返りテストで生徒たちは自分の理解を確認し、先生は自分の指導がどうだったか、説明が伝わっているか、覚えるモチベーションを与えることができたかという自分自身に対する評価をするということになるんでしょうか。
ちなみに単語はどうやって覚えさせていますか。
覚えてきなさいと言うものの、覚え方を教えてくれないというクレームが生徒の中から出るということがよくありますよね。
丸暗記でやっていかなきゃいけないと思っている子どもたちも多いので、覚え方を教えてあげないといけないのではないか思います。小野塚先生は単語を覚えるコツや工夫についてどのように指導していますか。
単語を教えるだけではなく、単語の覚え方を教える
(小野塚)例えば、luckyという単語をやって、unluckyが出てきたら、unがつくと反対の意味だね、このluckyはやったよね、というような解説をなるべく入れるようにしています。
一番分かりやすいのは、カタカナ語として日本語で浸透している言葉と重ねて、これはカタカナで使ったりするよねと言うと反応が良いので、指導の中に入れるようにしてます。
けれども、単語の説明でダラダラ授業で時間を使うと退屈なんですよね。苦笑
退屈させないように、たまに授業でゲームを取り入れたときに、単語しりとりをやるようにしています。
(五十嵐)確かに、単語の説明だけ淡々とやっていると飽きてしまうから、工夫が必要ですね。学習法の中で、知識のネットワークがいかに張れるかというところが大切だと思います。断片的な知識になると定着しづらいので。
ネットワークの張り方は2つあって、1つは既存の知識とどれだけ結びつけられるかというところなので、日本語で既に知っている外来語と結びつけて考えるというのは非常に有効ですよね。日本語と対比させて気づきを促すのは、非常に大事なことです。
もう1つのネットワークの張り方としては、1つの知識を得るときに、lucky・unluckyのように、naturalを覚えるときにnatureやunnaturalなどの反意語も一緒に覚える等、関連する言葉や派生語をまとめて覚えてしまえば、認知的な負荷が低いですよね。例えば、断片的にレッスン1でnature覚えてレッスン5でnaturalを覚えて、とやるよりも。
単語しりとりなどのゲームも楽しいと思いました。センテンスレベルの操作が難しい子でも、単語レベルで何か覚えたり、言ったり、品詞について考えたり、単語レベルだったら楽しんでできる子もいるかもしれないし、単語学習や単語の指導について、結構広がりがあると、今お話を伺いながら考えました。
音読はどういうところをポイントとしてやらせていますか?
音読は回転読みで退屈させない工夫と習熟度をモニタリング
(小野塚)音読の前に必ず、文の解説をしてからやるようにしています。
意味が分からないまま読むのは覚えづらいと思うので、必ず本文の内容は何なのか、単語の説明もして、何を言っている文なのか、ストーリーがどうなっているのかを、分かってもらった上で、1文ずつリピートします。
その後、発音の修正が必要なところを指導してから、シャドーイングをさせます。
その後、回転読みと言って、立って前を見て1回音読、右を向いて音読、後ろを見て音読、左を見て音読で4方向、4回の音読が終わったら座るというのをやらせてます。
その間、机間を回って、全然回っていない子や発音が違う子には声をかけて、皆が終わったら、割り振って暗記させます。2分間暗記タイムをとってから発表、という流れです。
このやり方は北原延晃先生という先生のやり方をヒントにしています。『英語授業の「幹」を作る本』という本を出している先生で、勉強が苦手という生徒でも受け入れやすい授業をイメージしてやっている方だとと思います。
(五十嵐)立ってくるくる回りながら音読するのも、ずっと座って読むよりは、退屈しないということを意識しているということですか?
(小野塚)あと、読むスピードが見ていて分かることも良いところです。
どこの向きを向いているかで今何回読んでいるのかが見て分かるので、いつまでたっても背中が見えない子が視覚的に分かって、何回かそれを授業でやるとだいたいこの子は苦手だなという把握が出来るんです。
(五十嵐)それは生徒たちが適当に発音しないできちんと読んでるという、性善説の指導法で、きちんと読んでるかなというのは見ないといけないですね。
(小野塚)私が発見したことで、ぜひ若い先生に伝えたいことがあります。
どうしてもリピートの声を出さない時期があるんですよ、2年生ぐらいになると、飽きてくるのか嫌気がさしてくるのか分からないですけど。
これは1年生のときから仕込むのが大事なんですけど、リピートするときに、リズムや音楽をかけるんです。
リズムが鳴っていると自然と声を出してしまうらしくて、それに合わせて何か言わないといけない気持ちになって一生懸命リズムをとっていると、声がだんだん大きくなってしまうらしいです。
(五十嵐)センテンスの音読はどうするんですか?
(小野塚)センテンスも、ある程度短く切って発音すれば、できないことはないと思います。
(五十嵐)いわゆる学力が高くない子でも、参加できて、知識を定着できる授業を意識されているということで、ここまでのお話の中でいろんな指導方法やテクニックについてお話しいただきましたが、他に何か工夫されていることはありますか?
英語が苦手でも安心して受けられるオールイングリッシュ※の授業
※「オールイングリッシュ」は英語としては不自然な和製英語です。本来であれば「オール・イン・イングリッシュ(All in English)」や「イングリッシュ・オンリー(English Only)」と表すべき指導法ですが、「オールイングリッシュ」という表現が浸透しているため、便宜的に使用しています。
(小野塚)一番大事なのは、パターン化する事だと思います。
1時間目はこれやって、2時間目はこれやって、音読のやり方はこれで、というのをパターン化すると、コロコロ活動内容や順序が変わる授業ではついて行きづらい生徒も安心して参加できます、例えば全部英語で指示しても、もう動き方を知っているので、全ての英語の指示を理解できなかったとしても、子どもがきちんと動いてくれます。
新しい事を取り入れるのもいいですが、なるべくパターンを崩さずにやると、分からない子も安心して取り組めるのかなと思います。
あとは、今後はなるべく教え合い、学び合いをもっと入れたいと思っています。
ジグソー活動や、長文を切って4つ程度に分けて、それぞれ担当して意味を確認して集まって、全部の意味を把握するといった活動など、みんなで力を合わせて文章を理解するような活動も入れると、授業がいい雰囲気になるかなと。英語が得意な子は尊敬を集めて、それがまた何か頑張ろうというモチベーションに繋がるとも思っています。
(五十嵐)連帯責任の話もそうですけど、柔軟性がポイントになってきますよね。
割り当てられてもできない子はできないから、できないときはできないって言って教えてもらう、自分から助けを求められる事が大切ですね。
恥ずかしくって言えないのが一番いけなくて、自分のつまずきポイントが分かっているのにつまずきを解消する機会を失って前進できなくなりますから。
それはもったいないことで、つまずきポイントが分かったのであれば、「ここでつまずいてますよ」ということをはっきり先生や英語が得意な子に伝えて、教えてもらうことがすごく大事なことだなと思います。教え合いの中でも、わからない子が恥ずかしい思いをしない雰囲気を作っていけるかという点が、先生の手腕が問われるところですよね。
小野塚先生は、生徒たちとの関係性を作るのも得意だからできるけれど、新任の先生が取り入れると大変かもしれないと思いました。例えば、ジグソーってとても面白い学習法ですが、取り入れるのが少し難しいと思うんですよね。学び合い、教え合いは、非常に大事だと思います。
分からない子も、先生よりは友達の方が聞きやすいこともあると思いますし、先生が喋る時間や説明する時間よりも、子どもたちが喋ってたり何か活動していたりする時間が長い授業の方が生徒たちは退屈しづらいですし、近年何かと話題の主体的な学びになりますよね。
(小野塚)そうですね。
ですが、今のところ、1年生は文法事項が多くてあまり余裕がなく、解説をするのに必死で、教え合いまで行かずに終わってしまうことも多いです。2年生の後半からやっと長文を読み解くだけの文法が揃ってき始めるので、そこからやり始めて、3年生からはどんどんやっていこうと思っています。
英語ができる子も飽きさせない授業を目指して
(五十嵐)苦手な子を意識して支援していくところに注力してしまうと、先生の指導のやり方によっては、できる子を足踏みさせてしまうことがあると思います。
できる子が全然関係ない塾の宿題やっていたり、他の教科の課題やっていたり、ということになってしまうと駄目ですよね。でも、教え合いの活動をすると、できる子が先生のように活躍するという役割が割り当てられて、できる子も飽きない、足踏みさせないということができるのかなと思いました。
教科書をなぞっただけの課題じゃなくて、ちょっと発展的な、授業で教えられた文法や長文の内容を踏まえた応用課題をグループに与えてみて、できる子を中心にグループで何か作り上げて発表するといった活動をすると、基礎的なところが身につくし、できる子は自分が活躍して率先してリーダーシップ張ってやる経験もできていいと思います。
(小野塚)そうですね、それが一番いいと思います。得意な子たちが、きっといい雰囲気を出してくれるので。
(五十嵐)いわゆる「できる子」もできるつもりになってて、問題は解けるけど、いざ先生役としてまだできていない子に説明しようとしたら、実はきちんと説明できないこともあります。分かりやすく言語化して苦手な子に教えてあげるのはなかなか難しいことなので、できる子にもしっかり思考をしてもらう良い機会を与えることになると思います。
得意な子も苦手な子もみんなが主体的に学習に取り組めるように、様々な工夫があるんですね。暗唱をチーム戦にしたり、授業をパターン化したり、教え合いを組み込んだり。今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。また先生の実践について伺う機会を頂けたらと思います。