【part1】生徒のアプリ利用率を高めるノウハウ!~英語の音読アプリを例に知る最新事例~

最終更新日:2021年12月17日

授業の限られた時間の中で生徒全員に音読を指導することは至難の業。また、添削においても、生徒一人一人にコメントを考えていると時間がかかってしまうという難点がありました。教員向けの音読指導アプリ「RepeaTalk」は、教材による授業連動や50パターン以上ある練習方法のカスタマイズ、AIによる教員のフィードバック業務サポートなどを実現します。

今回は「生徒のアプリ利用率を高めるノウハウ!~英語の音読アプリを例に知る最新事例~」と題して、「RepeaTalk」を導入された3人の教員の方に以下3つの内容についてお話を伺いました。

①アプリの定着率はどう上げる?

②保護者や教員の理解は?

③校内での予算確保は?

それでは、それぞれのお話について見てみましょう。

 

先生方のご紹介


本日は、私立学校に勤務されている3名の先生にご登壇いただきます。左から、城西川越中学校城西大学付属川越高等学校の松岡由晃先生、大妻中学校高等学校の市村麗先生、市川中学校・高等学校の梅村嘉彦先生です。

「英語教材ナビ」を運営するコトバンク株式会社では、英語教材がそのまま使える音読指導アプリ「RepeaTalk」というサービスを提供しております。

先生が「これを音読してきてね」と課題を設定し、その後生徒たちが音読したものを提出して先生がそれをチェックする、という一連の流れをサポートするアプリです。

教材はいろいろなものの中から選ぶことができるのですが、例えば、『クラウン』のレッスン1を選択するとします。録音開始を押すと、お手本の音声が流れるので、それに合わせて生徒たちが音読の練習をしていきます。

ここでさまざまなステップを先生方のほうで設定することが可能です。チャンクもそうですし、センテンスの設定、そしてシャドーイングの設定もできます。

最後にはチアリーディングという形で生徒たちに最終の提出をしていただきます。音読の正答率はAIが自動採点してくれますが、先生たちは実際に聞くこともできますし、生徒たちにフィードバックという形でコメントすることもできます。

このようなアプリを英語学習の一環としてご使用いただいているのですが、中には、「アプリを導入したものの、生徒たちの定着率や実施率がなかなか上がらない」という声や、「他の先生方からの理解が得られない」という声、また「導入にあたっての予算が……」といったお悩みの声も伺っております。

城西川越中学校・城西大学付属川越高等学校/松岡先生

(越智)まずお一人目は城西川越中学校、城西大学付属川越高等学校の松岡先生にお話を伺います。松岡先生、ご自身の教師歴や、今どの学年を担当されているかなど、簡単に自己紹介をお願いします。

(松岡)城西川越中学校、城西大学付属川越(高校)の一貫校で英語を教えております、松岡と申します。

(越智)先生は7年目でいらっしゃるのですよね。元々、先生は城西川越の卒業生でいらっしゃると伺いました。先生からご覧になって、城西川越はどのような学校ですか?生徒時代の印象でもいいですし、もしくは先生になってみての感想でも結構です。

(松岡)男子校で、生徒たちが自分の趣味に没頭し、のびのび生活をしています。

(越智)事前に打ち合わせをさせていただいたときも、たまたま近くに生徒さんがいらっしゃって、「すごくのびのびと学んでいらっしゃるんだろうな」というのは私も感じておりました。

 

「RepeaTalk」導入のきっかけ

 

(越智)アプリ・サービスに関しては、弊社の「RepeaTalk」だけでなくGoogle Classroomやロイロノートなども使用されていると思います。導入のきっかけや目的をお伺いしたいのですが、まずは「RepeaTalk」のきっかけをお聞かせください。

(松岡)私は今、中学1年生の担任であると同時に、英語も教えております。また、ICT委員会にも所属しておりますので、いろいろな営業の方から「こういうアプリはどうですか」とたくさんのご紹介をいただきました。

我々、城西川越中学校の英語の授業では、教師が教える時間よりも、生徒が英語を使う時間を重視しています。音読したり、ペアワークで日本語に対応する英語を答えてもらったり、フラッシュカードでそういった活動をしたり、日本語を見て英語を書いたり。授業の初めに10分の導入として時間を設けるのですが、10分では収まらず授業が進まないこともしばしばあり、それは悩みでもあるのですが……本校の生徒、中学生に関してはそのように英語に取り組んでいます。

授業でそういった音声活動をしている一方で、宿題では問題集の丸つけや授業の予習復習がメインでした。でも、生徒が自宅で読んだり聞いたり、そしてそれを自分で英語で話してみたりするような活動を宿題でも出したいなと思っている中、ちょうど「RepeaTalk」さんからお話をいただいたんです。

正直、我々の授業にかなりマッチしているという印象でした。授業では、教科書に載っている例文を一覧にして、日本語と英語の対訳で載せたプリントを生徒に配布しています。

音読の目標としては、「全て覚える」というところに置いています。「日本語を聞いてそれを英語で言えるようにする」というステップを踏みまして、最終的には同じ文法の単元で、グループ対抗戦を組みます。「瞬間英作文」とクラスでは呼んでいますが、教員が前で日本語を出題して、早押しで英語を答える。そこまでを授業の中でやりたいと思っていまして、授業中に練習しているものが、家でも英語で聞けて、それを繰り返し練習できる。そして提出して採点もできるというところで非常に魅力を感じて導入しました。

(越智)授業の最初に生徒たちが10分以上話していて先生が話さないというのはすごいですね。それだけ生徒たちも意欲的に、主体的に取り組むことが根付いてきているのですね。他のサービスはどういったきっかけで導入されたのでしょうか?

(松岡)コロナが流行して以来、おそらくどの学校も「学校で学ぶ」という点に苦慮されているかと思います。我々もかなり悩みまして、その中で始めたのが、Google Workspaceです。授業を配信したり、提出物を集めたりするのに役立ちました。ペーパーレス化しようと思って始めて、結局その後にiPadを導入したという流れで、Googleのサービスに関しては今も継続しています。

本校の中学生は、授業が終わるのがだいたい4時頃で、その後に部活動をします。部活動の後、以前は7時間目というものをやっていたのですが、コロナ禍で学校に残れなくなりました。そこで、国数英の授業をGoogle Classroomで配信したり、課題等があれば回収したりという使い方をしています。

もう一つはロイロノートです。宿題が出ていたとして、当日の朝に焦って人の宿題を写すことがありますよね。私も経験があります。また、Aくんは宿題を提出したけれどもBくんは提出していないとか、時間内に出せたかどうかとか、そういった記録が残るように、ノート作りを宿題に出したり、文法問題集の解き直しを出したりしています。提出日の前にロイロノートで提出日を設定して、必ず授業に来る前に回収しきる。授業でその一覧を見て、出せているかどうか確認することもできますし、課題の管理においてはロイロノートのおかげで非常に助かっています。

自分でチャートを作ってロイロノート上でそれを先生に共有するという活動もやっていますので、かなりiPadは活用していると思います。Google Classroom、RepeaTalk、ロイロノート、この3つのサービスは、十分に使えているという印象はあります。

 

導入されて苦労した点とは?

(越智)中学1年生を担当していらっしゃるということですが、中学1年生って前年まで小学生だったわけですよね。定着させるのはなかなか難しそうだと個人的には感じますが、導入したときの苦労はいかがでしたか。

(松岡)最初の授業で必ず話しているのは、「英語は喋れないと駄目だし、書けないと駄目」ということです。たくさん喋ってたくさん書く練習をしようねということから始まり、授業自体も先生が教えるのではなく、君たちが使う中で覚えていきなさいという話から始まっているので、たくさん書かされる、たくさん読まされるというのが、彼らには当然のことだったのかなと思います。

「RepeaTalk」は、我々は夏休みなど主に長期休みの宿題として使っておりました。日常の授業の中では音声活動がほぼメインなので、家に帰って宿題となると、文法問題集や教科書の予習復習などかなり手一杯で、正直「RepeaTalk」までやりなさいとは言えない状況です。

夏休みには、我々がスケジュールを組み、一学期にやった教科書の単元から宿題を割り振りました。夏休みの何日までにこの範囲、次の提出日はこの日、最後の提出がこの日という形で、夏休みに入る前に宿題として生徒に課しました。その1ヶ月間、彼らは「RepeaTalk」のアプリで英語を勉強していきました。1ヶ月の平均学習時間が、多いクラスで1人当たり193分とか……。

(越智)すごいですね!弊社としては、よくやっているところで1ヶ月20分というイメージなのですが、その8倍以上ですよね。

(松岡)1ヶ月間だけなので。我々としては、従来の「宿題を出して、文法問題集で再チェック」という宿題に限界を感じている中で、多くの子がしっかりやっているなと感じます。最後に書き込みをやっていないから、解くだけになっていないかなというところに対して生徒の取り組みが見えて、しかもそれがiPadを使うことで、授業でやっていたような「読んで覚えて翻訳する」という活動を夏休みの宿題として取り組めたことが非常に良かったと思っています。

定着率というか、平均193分まで出せたのはおそらく、添削を早く返してあげたからだと思います。生徒から添削が上がってきたら添削バックをしてあげる。早ければ早いほど、生徒の中では「熱が冷めないうちにもう一回やろう」と、ゲーム感覚でクリアしていく意識に変わっているのかなと思います。

夏休みに入ってしまうと、次に会うのは夏休み明けです。ですから、顔が見えない分、こういうアプリで学習の成果も見えて、かつ見えないからこそ、すぐに出てきたらすぐに添削し返してあげるというのが一番定着率を上げる大きな要因だったのかなと思います。

(越智)毎週確認していたことで、生徒にとっても「先生が見ているから頑張ろう」というモチベーションに繋がるだろうなと想像してお話を聞いていました。毎週ちゃんとチェックするという点には松岡先生にもそれなりに負担がかかってしまう部分があったかと思いますが、そのあたりのバランスはいかがでしたか?

(松岡)添削の仕方は本当にシンプルで、添削にかかる労力はほとんどないですね。教員がやるのは頻繁にその画面を見て、溜まってきたら、添削ボタンを押してあげる。5、6回出し直している生徒がいれば、それこそ生徒の音読したものが文字で出るじゃないですか。文字起こしされたものを「彼はここでつまずいてるんだな」と見ることができます。部活指導の空き時間を使って見ることができたので、そこまで負担に感じることはなかったです。

(越智)先生の余裕がある時間をうまく使っていらっしゃったということですね。勉強になりました。

 

保護者や他の先生方の理解度は?

(越智)いろいろなアプリを使用されていると思いますが、保護者や他の先生方の理解度はいかがですか?

(松岡)保護者の方からは、このアプリに関して否定的な声は聞いておりません。機械であるとか、AIが採点するという部分でのネガティブな言葉はないですね。

(越智) ロイロノートなど他のアプリを入れるときには、先生同士でどう使うか議論などはあったんですか?

(松岡)はい。それはもう、本当にわからない中で、いろいろな先生方と議論していました。

(越智)もう一つ気になる点だと思いますが、本来での予算確保という点ではいかがでしょうか?

(松岡)予算の確保は非常に難しいと思います。ちょうど私がICTの担当だということもあって、アプリの導入が一番しやすかったということはあると思いますが、予算を確保する上で、新しいことを始めるとか、あるいはアプリのように日々利用料がかかるものに関しては慎重な先生方もいらっしゃいますので。「RepeaTalk」に関しては、今回はEdTechの一環として使用できるということで、要はお試し版感覚で始めました。これから費用対効果を考慮に入れていこうと思っていますが、現状、生徒たちの取り組みを見ると、やっていけそうだなという印象はあります。

 (越智)夏休みという期間を利用して、毎週生徒たちがちゃんとやっているか確認しながら進めるという仕組み作りが素晴らしかったですね。また、最初に「なぜやるのか」という濃い意義づけを丁寧にお伝えしているという点が、生徒たちにとっても「そういうふうに取り組めばいいんだな」という意識に繋がるのだな、本当に素敵だなと思ってお話を伺いました。先生ありがとうございます。

では、ここで市村先生と梅村先生にも、松岡先生のお話を聞いての感想もしくは質問をお話しいただけたらと思います。市村先生、いかがでしたでしょうか?

(市村)松岡先生に質問です。添削にはあまり手間がかからなかったとおっしゃっていましたよね。また、生徒の家庭学習への負担を考えられて、「RepeaTalk」は夏休みなどの課題としてお使いになったということでしたが、文法などのエクササイズのような取り組みは、授業よりも家庭学習の方に任せているのでしょうか?

(松岡)文法の説明は授業で必ず行っています。新しい単元に入ったときは必ず文法を説明して、同時にキーセンテンスという形で、彼らが覚えるべき英文をまとめたものを配り、文法を教えた後にすぐ、音読して覚える作業に入っていくという感じです。

(越智)梅村先生はいかがでしょうか?

(梅村)中学1年からiPadを使ってるというのはすごいなと思いましたが、「RepeaTalk」と「ロイロノート」以外で何か使っているアプリはありますか?

(松岡)使っているアプリは「RepeaTalk」と「ロイロノート」、「Google Classroom」ですね。それ以外のアプリは入れていません。

(越智)やはり中学1年生から使用しているというのはすごいですよね。

 

 
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