【part3】生徒のアプリ利用率を高めるノウハウ!~英語の音読アプリを例に知る最新事例~
最終更新日:2021年12月17日
市川中学校・高等学校/梅村先生
(越智)最後の3人目の先生は、市川中学校・高等学校の梅村先生です。
(梅村)市川中学校・高等学校の梅村と申します。私は今高校2年の担任と英語を見ています。
(越智)過去にどれくらい先生をされているのですか?
(梅村)2014年からなので今8年目ですね。中学1年から同じ学年で一緒に上がってきている状況です。
(越智)梅村先生から見て、市川中学校・高等学校はどんな学校ですか?
(梅村)実は私も市川中学に通っていました。中学2年の夏休みから家庭の事情で大学卒業までアメリカにいたので卒業はしていないのですが。当時は男子校で、まあまあできる生徒が何人かいる程度でしたが、共学になった今は本当にみんな優秀で、男子校のときとは全然別の学校という印象があります。
(越智)なるほど。ガラッと雰囲気も変わりましたか?
(梅村)校舎も変わったので、全く母校という感じがしないですよね(笑)。
(越智)なんかちょっと変な感じがしますね(笑)。ありがとうございます。
「RepeaTalk」、「Libry」を導入したきっかけとは
(越智)現在使用されているアプリが「RepeaTalk」と「Libry」ということですが、それぞれの導入きっかけをお話しいただいてもよろしいでしょうか?
(梅村)中学1年、2年のときは、英語についてなら何でもいいのでノート1ページに自習自学をして毎日提出させる「自学ノート」という取り組みをしていました。自学帳のチェックは、当日預かったノートを空き時間に教員が見て当日返していたのですが、生徒がいる間に添削をして帰る前に返さなくてはならないので大変でしたが、それを空きコマではなく放課後の時間でもチェックできるという利点が「RepeaTalk」にはあります。iPadでも学習ができて、効果も高いということで、当時中3担当だった同僚がたまたまインターネットで見つけて導入した、というのがきっかけです。
(越智)「Libry」の方はいかがでしょうか?
(梅村)「Libry」はiPad制度を導入した初めの頃からですね。実は「Libry」の社長がうちの卒業生で縁があって、うちの学習スタイルやニーズに応えてくれるということで、学習記録も取れるので、当時のiPad担当の教員が自学用のアプリとして導入したというのがきっかけです。ただ英語科としてはさほど利用率が高いアプリではありません。数学や理科の教材として使っています。英語で「Libry」に入れているのは文法書だけなので、文法を確認するときに、分厚い本を持ち歩かなくてもすぐに見れるという点で「Libry」を使っています。
(越智)「Libry」みたいにiPadで全部集約されていたらすごく楽ですよね。
「RepeaTalk」を導入した際の苦労点とは?
(越智)「RepeaTalk」を導入したとき、苦労した点というのはありましたか?
(梅村)我々が初めて導入した学年だったので、試行錯誤はありました。最初にご提案していただいたステップの構成でやってみたのですが、やはり生徒から「難しい」という声があり、導入初期に、今やっているウェビナーのような座談会、当時はコロナの前だったので対面で座談会に参加させていただきました。そのときにご登壇された先生が今のステップを提案してくださったので、それを使ってからの効果はすごく良いです。
定着率については、授業では使っていませんが、課題に利用しています。市村先生と同様に、提出したら点数を上げる、成績に入れるというふうにしています。
(越智)定着させるまでに、どのような工夫をされましたか?
(梅村)「やらなきゃいけない」というところが生徒にはあまりモチベーションが上がらないというか、やらされてる感があるというか。なので社長の小泉様にいろいろと相談させていただいて、それまで教員の添削画面にしか出なかった一致率を、どうにか生徒にも見えるようにできませんかとお願いしました。そうすればやる気が出るというか、生徒にとってはカラオケ感覚で、自分の発音が何点なのか見えて、良くなっていくのもわかるし、発音が悪かったら「なぜ発音が悪かったんだろう」と考えるきっかけになるので。我々が添削する時間があまりないときでも、生徒自身がその一致率の数字を見るだけで、そのときのパフォーマンスが良かったか悪かったかわかるのですごく助かっていますし、先ほどお話させていただいたようにカラオケ感覚で生徒が気楽にできるので、そこからは定着率が上がりました。
(越智)なるほど。「なぜこんなに点数が低いんだ」「何を間違ったんだろう」という気づきのきっかけにはなると思うのですが、おそらく何かそれだけではなく、先生なりの工夫が他にもあったのかなと。他に思いつくことはございますか?
(梅村)他の学校の先生方がどうされているかわからないのですが、最初は添削画面にコメントをただ入れるだけだったのが、一致率の数字が入って、また生徒が読み上げた声を自動文字化してそのコメントに入るので、生徒も「自分の発音ってこう聞こえるんだな」とわかるようになったのが、定着率が上がったきっかけじゃないかと思いますね。
(越智)授業でも使用されていますか?
(梅村)授業内では使っていませんが、授業の教科書を入れていただいています。我々は『NEW TREASURE』を使っていたのですが、学校が終わってすぐに家で音読をさせたいわけです。ただ、「RepeaTalk」は日本語が見えてしまうので、授業で使う前にはレッスンを配信しなかったですね。授業が終わったらクラスに配信して、レッスンができるようにする。授業が終わったらだいたい3日程度以内に提出しなさいと指示を出したり、ちょっと軽くして、例えば今画面上に出ているようにレッスン9が終わったとしたら、レッスン9か、1個前のレッスンを提出して成績に入れるということにしていました。レッスン10をやっているときに8の練習をずっとやっていてもあまり効果がないというか、授業で学習した直後に音読をしたいので、そんな感じでやっています。
(越智)今お話されたように、梅村先生の場合は授業の進捗に合わせて生徒たちが見れる・見れない、とかなり設定にこだわっていらっしゃる印象を受けました。梅村先生の方で試行錯誤されて、この設定にしていこうと決められたのですか?
(梅村)そうですね。レッスンが授業で終わった後、セクション単位ですぐにやりたかったので細かくしています。レッスン8-1が終わったらすぐそこだけ練習させて、8-2をまだやっていないときは日本語を見られると困るので伏せておいて、という流れでやっていました。
あとは、長く読むところは生徒が読める時間を1秒、2秒単位で伸ばしたりしていましたね。「時間が足りない」と文句があったので(笑)。
(越智)文句が来るのはちゃんと取り組んでいるからですよね(笑)。実際2年半ぐらい使用していらっしゃると思いますが、導入する前と後の変化は、梅村先生はどのように感じていらっしゃいますか?
(梅村)導入前も、授業内でペアワークや音読、あとは中学の場合は学期ごとにスピーチを発表させたり、話す方に力を入れていました。「RepeaTalk」を使うと、自分の発音が良いかどうかという評価があるので、非常勤の講師の先生や複数学年出ている先生からは「『RepeaTalk』をやってる学年は発音がいい」というのも聞きました。
生徒に私が言っているのは、「RepeaTalk」を使うときには絶対にヘッドホンをしないようにと言っています。イヤホンをしてしまうと、ボイス再生するときにお手本の声が録音されないんです。イヤホンでお手本の声がここに流れていて、iPadのマイクにはお手本の声が録音されない。生徒が喋った後にボイス再生すると、自分の声だけが聞こえる。そうすると、交互にお手本の声を聞いて、自分の声を聞いて、自分の声とお手本の声がどう違うのかという比較ができなくなってしまうと本当にもったいないので、「RepeaTalk」をするときはヘッドホンを外すよう生徒に伝えるのをおすすめします。スピーカーからお手本が出るのをそのまま録音にも入れるのが一番いいですね。
(越智)大事な例を伝えていただいてありがとうございます。
保護者や他の教員からの理解は?
(越智)保護者や他の教員の皆さんからのご理解という点はいかがでしょうか?
(梅村)保護者からは特にマイナスのご指摘もないですし、逆にプラスのフィードバックを何件かいただいていてます。タブレットを中3から使っていると、保護者としては遊びとか、ゲームや漫画を心配してしまうのですが、自宅で「RepeaTalk」を使う時は、自分の部屋やリビングでブツブツと英語を言っている姿を見て「あぁ、やってるんだな」というのが保護者にも見えて「良かったです」という声も聞いています。
教員の理解も、先ほどお伝えしたように、発音がプラスになっているというところもあるので、理解は得られています。
(越智)では、校内での予算という部分はいかがでしょうか?
(梅村)うちの学校もまとめて積み立てというか、学年費で計上しているので、その都度、事後で集めるわけではないので特に問題はないです。年度末に、新年度に使う教材を選んで、その金額も年度ごとに保護者に通知しています。
(越智)「次はこれぐらいかかるのね」というところが事前にわかる状況を学校としても作り上げていらっしゃるのですね。
ということで、梅村先生のお話でした。先生の「RepeaTalk」に対する熱い思いもありつつ、授業に合わせたスタイルや、復習としての機能を充実させていらっしゃるなという印象を受けました。本当にありがとうございます。
松岡先生、いかがでしょうか?もしご質問とかご感想があればぜひ共有お願いいたします。
(松岡)我々も「Libry」をちょうど入れようとしていたところで、そういった成功事例をお聞きできて嬉しかったです。また、ヘッドホンをしないようにというお話は、私も徹底しようと思いました。
質問ですが、判定の設定を教えていただきたいと思います。また一致率など、どのぐらい縛りを設けているか教えてください。
(梅村)最初は厳しめに判定をつけていました。だいたい5ステップぐらいで、全ステップで録音1回とボイス再生1回が必須。で、提出ステップまでやって提出です。なので1回、15~20分は最低でもかかりますね。どうしても間違えたまま出したくないとこだわる生徒は40〜50分かけて出しますが、ただ全部のレッスンを録音して、ボイス再生して、一通りやると20〜30分はかかるので、出さない生徒は出さないです。
成績に加えていますが平常点なので、それを捨ててしまうともったいないので、少しハードルを下げて、今は全ステップ必須ではなく、提出ステップだけを、録音とボイス再生品質にして提出すればOKということにしています。ただ、自分が喋ってる録音時間は最低10分はやってくれと言っています。10分未満の場合は不備として減点扱いにしています。
私のほうでもまだシステムが詳しくわからないのですが、「最低10分」という判定をしても、11分でも「もう一度」となることがあるので、右側に出る録音時間を全部目視で確認しています。あとは、9分40秒で減点するのもかわいそうなので、そこはもうOKにしていますね。というのも、生徒側にはどのくらい録音したか見えないんです。自分で時間を見て、自分で測らなくてはならないので、そこは多少ゆるく判定しています。
(越智)ありがとうございます。市村先生、お願いいたします。
(市村)ヘッドフォンについてのアドバイス、大変参考になりました。実は以前、「RepeaTalk」を使用されている先生方の座談会に私も参加したことがあるのですが、その時には「イヤホンやヘッドホンを使うことをおすすめします」と言われたんです。その理由というのが、生徒が取り組んでいる背後で家庭の音が全部聞こえてしまう、という。お母さんが兄弟を怒っている声とか、プライバシーが漏れてしまうので、ぜひ使わせた方がいいという話でした。でもやはりヘッドホンを使わない方が、モデルの音声と本人の音声を比べられるので良いというのは、お話を伺って納得できました。
梅村先生は今高校2年生をご担当と伺いましたが、高校2年生の取り組み状況はいかがですか?定着率は学年が上がるごとに低下していくと思うのですが、とはいえ高校2年生は頑張りどころの学年ですよね。定着率が下がるのをどう防いでいらっしゃるのか、もし何か工夫があれば教えてください。
(梅村)出さない生徒はどんなに言っても出さないですね。ここは私も他の先生方に意見を伺いたいですが。「RepeaTalk」も、中3から高1まで出さないのが癖になっている子たちは、高2になっても出さないです。ただ、成績に入れる判定を、本当は20分、30分かかるものを10分にしたので、少し気楽に取り組んでくれています。
あとは一致率で自分の点数が見えることで、今まで全然出さなかった生徒も、毎回出すわけではありませんが、たまに出すようになってきています。「気楽にちょっとやってみるか」という気になってくれたのかな、と思っていますね。
(市村)あまり出さない生徒にも、「やったらちょっと上達したからまたやってみよう」というような気持ちの変化は見られましたか?
(梅村)多分そこまで感じていないと思います。少し感じていればもう少し出してくれると思うのですが。
また、定期考査を「RepeaTalk」をやっていたら完全有利になる問題にしています。本文の文章をそのまま使う問題では、その場で読んでいては絶対に終わらないぐらいの問題数を出すんです。「RepeaTalk」は、覚えてしまうぐらい読むレッスンが多いので、「本文を音読して、口で覚えていればすぐに解けるよね」という問題を定期考査に入れています。前置詞の空欄補充や並べ替え問題は「RepeaTalk」をやっていれば絶対にすぐ解ける問題なので。まず暗記して、その後に暗記した文章の一部を他の単語に自分で変えられるとか、文法構造がわかるというところが最終目標ですが、ただ「RepeaTalk」をやれば定期考査にも有利だということが高2になってわかり始めて、「昔は出していなかったけれど今は出している」という生徒は何人か、本人から聞いています。
(越智)やっていない、または出さない生徒もいらっしゃるというお話がありましたが、市川中学校・高等学校の平均学習時間は、高校1年生で48.7分、高校2年生で58.3分なので、ほとんどの生徒が取り組んでいらっしゃるのかなと思っています。ありがとうございます。