さくさくWriting
最終更新日:2022年2月25日
- おすすめしたプロフェッショナル
-
森田剛志 / 滝川第二高等学校・中学校
さくさくWriting
浜島書店
- おすすめのポイント
-
Q.良かったところ
【使いやすさ】
本教材は、「書き込み式」の英作文問題集であり、1冊およそ50ページと薄手で扱いやすい。シリーズ1・2・3がそれぞれ公立中学校の学年に対応したレベルになっており、文法項目も習得順になっている。教員にとっては授業にリンクして使いやすく、自作教材の手間も省くことができ、負担を減らすことができる。また、生徒にとっては、薄手の1冊でまとまっているため書き込みやすく、プリントなどと違って紛失しにくい。
【幅広いレベルの生徒に対応できる】
特に英語を学び始めたばかりの中学生は、クラス内でレベルの差が大きく出てしまうことも多い。しかし本教材には、扱うトピックに関する定型文やモデル文が多く書かれており、英語が苦手な生徒はそのモデル文を参考にしながら英作文を書くコツを易しく学べる。自分で書く際は、少し単語を入れ替えたりするだけでモデル文のような文章を書くことができ、自信につながった。また、チャレンジしたい生徒は、何も参考にせず全て自分の力で英作文を書けるため、それぞれ指導がしやすい。
Q.困ったところや改善してほしいところ
中学生版だけでなく、高校生版もあればありがたい。ただ、中学生版の内容であってもしっかりとやる込むことで、十分に受験や外部試験対策にもつながると感じている。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
2020年度まで担任をしていた中学生のクラスでは、週合計7コマの英語授業があった(英会話1コマ、検定教科書を使ったReading中心の授業2コマ、文法問題集を使った文法中心の授業4コマ)。英語においてWritingやSpeakingなどのアウトプット練習は特に大切だと考えており、本教材を文法中心の授業の中で導入することを決めた。これまでも自作プリントなどを使ってWritingには取り組ませていたが、プリントはバラバラになってしまい結局なくしてしまう生徒も多く、その点でも冊子である本教材は役立つと考えた。また、教材作成の手間や時間がかからなくなり、教員の負担が減ることも導入理由の1つである。ちなみに、過去に視察のため行った他校での授業参観にて、本教材を知った。
問題/課題:
特に英文法の授業では、生徒が淡々と問題を解き、教員が解説をするという授業になりがちであった。「もっと中学生の生徒たちが興味を持って主体的に取り組みながら、4技能を高められる授業をするにはどうしたら良いか?」と課題を感じていた。
状況(クラスの人数やレベル):
中学1年生~中学2年生で使用。1クラス40名弱。本教材には「1・2・3」のシリーズがあり、それぞれ公立中学校の学年に対応したレベルになっている。本校では、中学1年生の間に本教材の1・2の途中まで修了させ、中学2年生の間にシリーズ3まで完了できることを目標にした。授業の進度をみながら本教材の使用箇所を決め、活用していった。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
文法項目が学年ごとのレベル、習得順になっており、さらに時系列や季節も意識された作りになっている。例えば、シリーズ2のレッスン1では「過去形を使って春休みのことを説明してみよう」、レッスン2では「過去進行形を使いながら、ある1日のことを日記に書いてみよう」、レッスン3では「be going toの表現を使って、夏休みの予定を書いてみよう」など。本教材の進行と実生活の季節がリンクしているため、中学生にとって教材内容が身近に感じられ、取り組みやすい。
Q.実際の使い方
【本教材の構成】
本教材には「1・2・3」のシリーズがあり、それぞれ公立中学校の学年に対応したレベルになっている。1冊あたり約50ページほどのボリュームのため、薄手で取り組みやすく書き込みやすい。1冊の中にレッスンが10あり、1レッスンが見開き2ページ×2の合計4ページ分で完結するように作られている。ステップは以下の通りである。
トピック「一度は行ってみたいところ」、文法項目「不定詞」
Step1:トピックと文法項目を確認し、掲載されている「不定詞」の簡単な選択問題と穴埋め問題を解く
Step 2:「書いてみよう」の欄に、2、3文程度の短い英文を書く。欄の上の部分には、定型文や英単語(場所を表すものなど)が数個書かれており、生徒たちはこれらを使いながら英作文を書く練習をする。
Step3:90~100語程度のモデル文(見本)をよく読む。
Step4:空欄のスペースを使い、生徒たちは自分の力でトピックについての英作文を書いていく。
文法中心の授業で本書を活用し、2、3週間に1度くらいのペースで使用した。
指導する上での工夫:
授業内で生徒が書いた英作文は、その後必ず「添削」して生徒へ返すようにしていた。また、定期テストでも過去に扱ったトピックの英作文をいくつか出題し、知識を定着させるよう工夫した。時には書いた英作文を皆の前でスピーチ形式で発表させたり、教室内で皆のテキストを回し、一人一言ずつコメントを残してみたりなど、「共有」することも大切にした。生徒たちのモチベーションも上がり、活気につながったと思う。学校では、ただドリルなどの問題演習を一人ずつやるのではなく、「皆で一緒にやる、その場にいる」ことの意味を大切にしたいと考えている。中学3年生向けのシリーズ3になると、「あなたの大切なことを1つ選んで書いてみましょう」や「尊敬する人を一人選んで書いてみましょう」というハートフルなテーマも出てくる。皆で書いたものを共有すると、さらに良い機会になるかもしれない。
Q.使ってみた結果
英作文を書くことへの抵抗感が減り、年間3回受験している模試ではWriting項目の点数が伸びた。具体的に述べると、10月と3月に受験したベネッセの学力推移調査において、Writing(記述)項目では中学2生の3クラスが、平均6%~8%の伸び率を記録した。
Q.利用が向いているクラスや生徒
一般的な中学生向けの教材であり、英語が苦手な生徒や得意な生徒まで幅広く向いていると思う。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
特にないと思う。本教材は教員が添削指導を行うことでより効果を発揮するものだが、それを負担に感じる教員にとってはあまり向かないかもしれない。
- 森田剛志
- 滝川第二高等学校・中学校
プロフィール
大学卒業後、神戸市の公立中学校に2校、合計16年間勤務。その後「大学進学やその先を見据えた指導をしたい」という思いから、縁あって現在の勤務校である滝川第二高等学校・中学校での勤務を開始、今年13年目に入った。中学校のサッカー部顧問を務めており、自身も好きなサッ…