大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス
最終更新日:2022年2月25日
- おすすめしたプロフェッショナル
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中川 勝彦 / 福岡県立育徳館中学校
大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス
KADOKAWA
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
さまざまなトピックがカバーされていて、読んで新しい情報が得られる。英語以外の知見を広められる。たとえば、移民の受け入れ、女性の社会進出、高齢化社会の闇など、今の時代に重要な社会問題が扱われている。共通試験でも長文が増えている。4技能統合で、読んだことに関して自分の意見を書いたりする試験が今後ますます増えていくと思う。本教材は、読んだ内容に関して自分の意見を書くのに必要な情報量が十分にある文章となっている。また、作り込みが細やかで丁寧。たとえば、問題編が別冊に分かれているところ、解答の解説・構文解析の後に音読用に問題を全文再掲しているところ、音声教材がダウンロードできるところなど。
Q.困ったところや改善してほしいところ
別冊の「問題編」の背表紙が弱くて破れやすい。また、リスニング教材の入手先が分かりづらく、スマホに直接ダウンロードできないため、一度PCに落とす必要があり手間が掛かる。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
九州大学や早慶など難関国公立および難関私立大学を目指す進学校である前任校において、高校3年生を対象に導入していた。英語力の高い生徒は学習スピードが早いため、夏休み頃までには、文法などの基礎的な学力は身に付けてしまう。夏休みからは実践に向けての演習問題を多く行わせたいが、大学別二次試験の過去問や大学別模試の過去問は、なるべく入試直前に行わせたい。そこで過去問に取り組む前の教材として良い教材を探していた。本書は、最新の入試問題を徹底的に分析し、実際に入試で出題されそうな12のジャンルに的を絞った問題集となっている。夏休み前~夏休み中の時期に利用する教材として適している。
Q.実際の使い方
本書は自学目的なので、生徒各自で学習を進める。
レッスン1からレッスン12まであり、各レッスンに610語から1180語程度までの長文が1題課されている。各レッスンの設問は、選択問題が8問程度。問題文と設問は別冊の「問題編」にまとめられている。本書には、設問の解答と解説が数ページ、その後にレッスン内の重要な文法の「構文解析」が数ページにわたってある。
生徒は「本書の使い方」に記載されている下記の4つの「ステップ」に従って各自で学習を進める。
ステップ1:問題にチャレンジ
ステップ2:解説をチェック
ステップ3:構文解析をチェック
ステップ4:復習する
各レッスンの最後には、長文の原文が「英文再掲」として載せられている。さらに全文の音声データが付いていて、ダウンロードしてリスニングができるようになっている。復習の際には、それを聞きながら音読も行うよう指導している。
添削も生徒が各自で行う。分からないところは、課外や放課後の個人指導のときに個別で対応し、解説を加える。学習範囲や期日は特に指定しないが、もともと学習意欲の高い生徒のため、各自で進めている。
Q.使ってみた結果
筆者の意図通り、上記の4つのステップに従って学習を進めれば、文章を読み解く力を伸ばせる。音読用の音声教材も付いているので、リスニング力や読むスピードも上がる。九州大学や大阪大学などの難関大学の入試にも十分対応できる。本書の利用で「過去問よりも力が付いた」という生徒の声も上がっている。
Q.利用が向いているクラスや生徒
学習に対する意識が高く、力もある生徒。九州大学、大阪大学などの難関国公立大や早慶等の難関私立大を目指す高校3年生が、夏休み前~夏休み中の課題として用いるのにお勧め。教員側にとっては、個別、または少人数制指導に向いている。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
本書の長文は難易度が高いため、入試の二次試験で英語があまり重要ではない学校を受験する生徒には不要だと思う。
- 中川 勝彦
- 福岡県立育徳館中学校
プロフィール
平成元年神戸大学教育学部初等教育学科卒業、同年より平成28年まで、宇部高校、防府高校など山口県立高校、中等教育学校及び広島県立広島高等学校教諭。平成20年山口県優秀教員表彰(教科指導:英語)平成28年度より梅光学院中高へ転籍、平成29-31年度、同校副校長。令…