夢をかなえる英単語 新ユメタン1 大学合格必須レベル
最終更新日:2022年2月25日
- おすすめしたプロフェッショナル
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匿名先生
夢をかなえる英単語 新ユメタン1 大学合格必須レベル
アルク
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
「1日に◯◯個の語を覚えましょう」ではなく、たとえば今週のテスト範囲が50個なら、今週は毎日その50個を復唱、暗唱、書き取りなどで取り組み続けた。「完全に脳内にインプットしましょう」、というこの単語帳の構成はエビングハウスの忘却曲線の理屈にもかなっており、金曜日に新しく覚えた単語と入れ替わりで火曜日に学習したものは完全に忘却のかなたに追いやられる、という虚しいプロセスの繰り返しを回避できる。付属音声CDもその想定で録音されているため、テンポよく日々の授業で50個を網羅できた。どうでも良いと言われるかもしれないが、表紙のカバーの紙質がさらさらのツヤ消し仕様なので紙の端がクルクル丸まらないのと、手に持ったときの感触が良いのが個人的に好みである。
Q.困ったところや改善してほしいところ
一括採用すると無料で使えるスマホ用単語確認アプリがあるが、あまり使い勝手が良いとは言い難い。一方、有料の使い勝手の良いアプリがあるのだが、価格が高校生のお小遣いで買うには少々高い。実際生徒にダウンロードを勧めてみたが「高い」と一蹴された。せめて一括採用した学校には無料あるいは割引価格で購入、ということは技術的にムリなのでしょうか…と思ってしまう。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
高校1年生入学時の1冊目の単語帳として学年全体で採用。大学入学共通テスト(旧センター試験)や大学入試で必須となるコア単語の定着を狙った。単語集は各社から山ほど出ているが、本書は100語/1ユニットが「標準スピード」、それを半分にした50語を「楽々スピード」として設定できてキリが良いところと、構成のコンセプトが面白かったので学年採用とした。
Q.実際の使い方
1年間で最低2周できるよう年度当初に計画し、学年一斉のテスト日を決めた。1周目は50個を毎週覚えるペース、2周目は100個を毎週復習するペース、長期休業中はそれまでに扱った全ての語を再度学習できるよう、休業明けテストの範囲とした。
毎回、コミュニケーション英語の授業の導入部分6〜7分をかけて、その週覚えるべきユニットを音読した。例えばその週の最初の授業時は単語のみの音読、週内2度目の授業からはフレーズの音読とし、授業開始のあいさつとともに音読を始め、完全ルーティン化した。行事等で短縮授業になるときは正直1分でも時間が惜しかったが、「語彙力のなさは悲劇の根源」と生徒に言い聞かせていたため、語彙に対する意識付けの意味も込めて、音読時間は学年終了まで死守した。また、授業内の音読だけでなく、家庭での復習を繰り返し促し、朝学習の時間には次回テストの練習問題を配信するなどした。
授業が3段階習熟度で行われていたため、上位の生徒は8割、中位では7割、下位では6割と段階的にテストの合格点を設定し、少しでもそれを下回った生徒には土曜日の終礼後に再テストを行った。合格できないといつまでも再テストに追われることになる仕組みで、「こんなことになるなら素直に普段から頑張ろう」と思わせる作戦。テストは選択式で訳や適語を選ぶものではなく、フレーズ内の当該語を書かせる問題形式のみ。定期テストにおいては、それまで小テストで消化した語についてフレーズを変え、形式を変えて出題し、とにかく繰り返さざるを得ないような状況を作った。
Q.使ってみた結果
次第に半数以上の生徒は、隙間時間を活用して少しでも覚えようと取り組む姿が見受けられるようになった。一方でムリだと放棄する者も現れ、この単語帳だからと言って起こる問題ではないものの、二極化傾向が見え始めたため、ランキング制度を導入した。
あらかじめ教員と本人のみが知る「秘密の名前」を登録させ、前週の順位と今週の順位の比較、小数点第3位までを計算した累積得点率によるランキング表を作り公開し始めたところ、少しでも得点率を上げ、ランキングの上位に食い込もうとする生徒が目に見えて増えた。意外にもこのランキング表を楽しみにしていて、たまに多忙によりテスト返却と同時にランキングが更新できなかった時は不満を漏らす生徒もいたほどなので、一定の効果はあったと言える。
Q.利用が向いているクラスや生徒
今回レビューしているのは「新ユメタン1」だが、本書のラインアップは「0」〜「3」まである。中高一貫校では中2後半あたりから「0」に取り組ませ、高2で「2」まで完全に終えるというシリーズ使いもできる。
余談になるが、同じシリーズの本を使うと生徒にもその本への愛着が芽生えるらしく、「単語帳」ではなく「ユメタン赤」とか「黄ユメタン」(赤、黄は表紙の色)、と呼ぶようになり、常に手元にある相棒のような気持ちで使い込む。もっとも、別にこれは本書に限ったことではないが。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
教員のやり方次第なので、合う・合わない、は主観になるが、大半の生徒の進学先が東大・京大・旧帝大・最難関私立を占めるような学校では内容的に物足りなさを感じることもあるかもしれない。いわゆる「単語」に特化した本であり、コーパスを意識したようなフレーズ重視、またはパッセージの中で語彙を増やす、というものではないので、そういう方法をお好みの先生方の中にはお好きでない方もおられると思われる。
- 匿名先生