New Total English Advanced
最終更新日:2022年5月28日
- おすすめしたプロフェッショナル
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永井年彦 / 中部大学春日丘高等学校
New Total English Advanced
Pearson
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
本書は多くのイギリスの語学学校でも実際に使用されている教科書であり、ネイティブの発想や文化的な背景を学ぶことができる。例えば、本教材には設問に対しての模範解答がなかったり、答えが1つではなかったりすることも多々ある。「正解のない問い」に対して自分なりの意見を考え、述べることは日本人の弱い部分であると思う。本教材を通じてカルチャーギャップを体感し、刺激を受けながら英語力を高めていける点が良かったところである。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
本書には、教材内で扱ったトピックに関連した映像を集めたDVDが付属されている。こちらの容量が重く、学校内でのPCではうまく作動しないことがあった。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
2021年4月より、国際コースの高2生向けに導入。今年から始まった選択授業である「資格英語」(学校設定科目)の授業内で本教材を使用しており、「資格英語」には国際コース30名中の11名が参加している。国際コースには、「大学生になったら留学したい」「将来は海外で働いてみたい」という目標を持つ生徒も多い。日本の教科書だけでなく、発想が違うような海外の教科書を使って学ばせてあげたい気持ちがあった。本書は、イギリスの語学学校で実際に採用されている教科書である。語学学校には学生だけでなくビジネスマンも多く通っており、本書も日常生活からビジネスの話題まで、幅広いトピックを扱っている。本書からネイティブの発想を多く学べるため、導入を決めた。
問題/課題:
本校の生徒たちは毎年全員が英検とGTECを受検しているが、国際コースの生徒たちは将来的にIELTSやTOEFLを受検し、海外に出ていく可能性も高い。そのため、4技能はもちろんのこと、GrammarやVocabularyも高いレベルが必要だと感じてきた。
状況(クラスの人数やレベル):
国際コースの高2生11名を対象に、今年から始まった選択授業である「資格英語」の授業内で本教材を使用。週3コマある。高2から始まる「資格英語」の授業は高3でも続くため、本書1冊を2年間かけて修了させる予定。国際コースには、英検2級を取得している生徒が多く、準1級を取得している生徒も一部いる。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
【本書の構成】
本書は1冊でUNIT1~10まであり、1つのUNITは14ページ程ある。ボリュームは日本の教科書と比べて3倍以上あるため、1年間でUNIT5つ分を進め、2年間かけて1冊を修了させる予定である。(付属のWork Bookも同様のペースで進める)1UNITは大きく3つのPARTに分かれるが、どのパートも、Can do・Grammar・Vocabulary・Speaking and Pronunciation・Listening and Readingの要素で構成されている。そのパートで学ぶべきことが4技能にバランスよく振り分けられている。
例えば、UNIT7のテーマは「Nature」で、そこから大きく3つ、「Animal instinct」「Going to extremes」「Perfect pets?」というPARTに分かれる。PART1「Animal instinct」の構成は以下の通りである。Can do:explain procedures
Grammar:relative clauses
Vocabulary:UNIT7のPART1はナシ。PART2、3にはアリ。
Speaking and Pronunciation:How to explain procedures
Listening and Reading:(R)Animals to the rescue(L)Explaining how to do somethingそれぞれの項目には、カラーで大きく見やすい写真がふんだんに使われておりイメージしやすく、選択問題や穴埋め問題もあり取り組みやすい。PART3まで終わると、プラスでVocabulary、Communication、Writing bankの選択問題、穴埋め問題、グループワーク用の題材もあり、1つのUNITだけでかなり多くのアクティビティーができる。例えば、Communicationのページにはグループワーク用の題材が4問用意されていて、2~4名程度の小さなグループでディスカッションしたりロールプレイングをしたりと、授業内のアクティビティーに活用できる。
指導する上での工夫:
基本的に授業進行は全て英語で行う。本書内には多くのアクティビティーがすでに盛り込まれているため、テキスト通りの順番で授業を進めていけば良い。また、日本の教科書とは教える内容の順番にも違いがある。例えばGrammarでは「過去・過去進行形・過去完了・過去完了進行形」を分けずに教える。これは過去のことを一括りにして考える、という極めてネイティブ的な発想である。(narrative tenses)日本人とネイティブの発想の違いを授業内で生徒たちに伝えることで国際基準を実感してもらい、その違いを「面白い!」と感じられるように工夫している。
Q. 使ってみた結果
教材のレベルは高いが、(CEFR: A1-C1レベル)生徒たちは授業についてきている。使い始めた頃は、多くの設問に模範解答がないことに対して「答えがないの!?」ととても驚いていたが、日本の教科書との違いにも慣れてきた様子。本書通りの順番で進めることで、ペアワークなどのアウトプット活動も多く実施できる。一方的な授業にならず生徒が積極的に参加できる。
また、本書は英語教員から視ても内容がバラエティ豊かで面白い。授業の準備をするのも楽しいため、教員のモチベーションアップにもつながっている。例えば、UNIT4では「Super Power(スパイダーマンやバッドマンなど)は実現可能だろうか?」というテーマであった。Listeningでは、スパイダーマンなどの漫画原作者・実写映画の制作総指揮を務めたスタン・リーのインタビューを扱っており、奇麗すぎない生の音声を聞いた生徒たちは多少の聞きにくさも含めて刺激になった様子であった。このUNITでは、スーパーヒーローたちをYouTubeなどで紹介しながら授業を進めるなど工夫したが、これらのアイディアを考えるのは教員にとっても楽しい時間になると思う。Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
少人数のクラスにて使用することをおススメしたい。英語が好きな生徒たちが選んだ「選択授業」などで本書を使用すると良いと思う。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
大人数でレクチャー式の授業、英語が苦手な生徒には合わないと思う。
- 永井年彦
- 中部大学春日丘高等学校
プロフィール
【最近気になること、興味のあること】 ・本校では、現高1生からタブレットを導入し始め、授業内外での活用が広がっている。タブレットなどのICTツールは非常に便利だと感じる一方で、生徒の解答用紙などを見ていると筆圧の弱さが気になるときがある。これまで通りのアナログ…