CLIL英語で学ぶSDGsの基礎
最終更新日:2022年8月25日
- おすすめしたプロフェッショナル
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高木先生 / 県立高校教諭
CLIL英語で学ぶSDGsの基礎
三修社
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
英語を用いてSDGsを学び、世界に目を向けることができる。視野を広げて、実生活を考えることのできる一冊。
SDGsの存在は知っているものの、SDGsの具体的な内容や、世界の実態までは十分な理解ができていない学生にとって、興味をもって、「今」「未来」の世界を考えることができる。
アクティビティのしやすい内容になっているため、探究学習にも適している。
英語や探究学習のみに限らず、社会科の分野や情報の分野など、多岐にわたって総合的な学習ができる点は、昨今の教育目標に即している。
Q.困ったところや改善してほしいところ
特になし。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
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問題/課題:
言語習得は、インプットのみならず、アウトプットすること、他者とその理解を相互に深め合うことが効果的だと考えている。
総合的な学習、教科横断的な学習が求められている現代、英語を用いて社会を多角的に学ぶことのできるようなテキストがあると良いと考えていた。
昨今注目されている「SDGs」は、学生たちにとって興味を持ちやすいテーマだと思い、取り上げるに至った。
英語の検定教科書での学習を進める中で、教科書から派生して、現代や社会について視野を広めたいという際に、SDGsについて触れることは、国際理解にも通じる。また、教科横断的な学習ができると考え、執筆に取り組んだ。
本書は、総合学習・探究学習などに役立つ、英語でSDGsについて触れることのできる一冊。
SDGsが世界に掲げられて以降、多くの人に認知されているものの、その実態についての知識は浅く、また実生活と結び付けることのできない学生の多い現状である。
本書は、英語を用いて、SDGsに興味を持てる、SDGsを知ることができる、SDGsでの学びを実生活に活かすことのできるものであり、今を生きる学生に、是非触れてほしい内容。
発売直後のためまだ利用していないが、今後の授業に活かしていく予定である。
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状況(クラスの人数やレベル):
英語の授業はもちろん、探究学習や総合の学習でも用いることができる。
Q.実際の使い方
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本教材の構成
・全Unit1~14課で構成されている
・各UnitでSDGsの17の目標のうち、1~2個が扱われている
(例:Unit 1「Live together ともに生きる SDG 4 / SDG 10」)
・各Unitの構成➔以下に具体例を示す
【構成具体例】
Unit 12「Promote our decent work 豊かな働き方をする SDG 8 / SDG 9」の場合、【SDGsの8・9目標について学ぶ】ことができる。
構成としては以下の8つの項目で1つのUnitが成り立っている。
①SDGsの目標8・9についてのミニクイズが4つ程度
クイズは、具体的には(【豊かな働き方をする】の場合)
⑴世界の中で一番長い育児休暇をとれるのはどこ?
⑵育児休暇を一番とっている国はどこ?
⑶オランダの税金はどれくらいか知っている?
以上のような興味がわくような内容で、日本と他国との違いを意識したり、世界における日本の状況や他国の状況を知りたくなるようなクイズが易しい英語で記されている。
②キーワードとダイアログ(易しい会話文形式)
③グラフ
【豊かな働き方をする】の場合では、日本の育児休暇の取得率(男女比較・他国との比較)などがグラフで提示されている。
④目標の中の具体的な取り組みについての紹介文
例えば、Unit12の場合では、SDGs8・9目標【豊かな働き方をする】についての内容を知ることができる
文章が提示されている。
⑤アクティビティ
例えば、SDGs目標8の中にも、5~6項目の具体的な目標設定がされている。その各ターゲットのについての
アイコン(ロゴ)を自分で作って発表しよう、というようなタスクが示されている。
⑥ファクトリーディング・具体的な本文読解
さらに理解を深めるための本文読解
【豊かな働き方をする】がテーマの場合は、オランダの子育ての紹介文。
⑦視野を広げた、関連する話題の提示
【豊かな働き方をする】がテーマの場合は、他にも、ワーキングプア・児童労働などの問題があるといったような視野を広げられるような話題が示されている。
⑧まとめのポスター発表をしよう
アウトプットできる活動の提示。
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授業の進め方
<授業展開>
①クイズ
クイズは、誰もが興味を持てるような内容となっているため、予想を言い合ったり、答えを踏まえた感想を英語でスピーキングする時間があっても良い。
②ダイアログ
ペアワークなどしやすい設定になっているため、アクティビティをしやすい。
③グラフ提示
グラフの読み取り力や、グラフを読み取ることによって考えられる事柄を想起するなど、様々な活動ができる。
④紹介文
英文によって、具体的なSDGsの内容を知ることで知識のインプットができる。
⑤アクティビティ
ターゲットのアイコンを作ることで、具体目標の内容をより深く認知することができるだけでな
く、想像力をもってアウトプットできる活動となっている。
⑥ファクトリーディング
英文読解だけでなく、SDGsについてより深く知ることができ、視野を広げることができる。
高校生なら1時間程度で読解できる内容。
⑦関連話題に触れる
一面的でなく、多面的な視野を持てるような視点が散りばめられているので、興味の幅が広げられる。
⑧まとめポスター発表
インプットした内容を探究しアウトプットすることで情報や知識の整理をし、他者と共有できる。
本書に限らず、【CLIL授業の流れ】は、
■内容の基本的情報の提示
■表やグラフから現状分析
■協学を通じて視野を広げる
■学習内容(文法含む)を用いて自分達のアイデアを発信
■振り返り&自己評価
という流れが基本となっており、以上のように授業の流れをパターン化すると英語が苦手な生徒でも授業に参加しやすくなり、意欲的に学習を継続することができる。CLIL授業は、自主的な学習、協学的な学習、教科横断的な学習ができる。
Q.使ってみた結果
発売直後のためまだ利用していないが、今後の授業に活かしていく予定である。
Q.利用が向いているクラスや生徒
高校・大学生向き。
特にSDGsについて学習している高校生・大学生に適している。
探究学習に力を入れている学校にも適している。
教員が、探究学習などの引き出しとして利用するのも良いと考えられる。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
特にないが、教科横断的なテキストであるため、受験に重きを置いた学校においては、利用方法や頻度は調整したほうが良いと考えられる。
最後にメッセージ
他の先生と共に編集したことによって、新たな気づきもあり、自分自身も視野も広がり、大変勉強になった一冊です。
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- 高木先生
- 県立高校教諭
プロフィール
英語科教諭、日本CLIL教育学会員、上智TESOL修了。公立高校でCLILの授業実践をして5年目。 毎年CLIL学会で実践発表をしています。著書『CLIL英語で学ぶSDGsの基礎』(三修社)。