GTEC 2週間でスピーキング・ライティングの力が面白いほど身につく本
最終更新日:2022年8月25日
- おすすめしたプロフェッショナル
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守屋佑真 / 河合塾講師
GTEC 2週間でスピーキング・ライティングの力が面白いほど身につく本 Type-Advanced
KADOKAWA
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
【本教材の魅力】
民間試験の良さは、学校の中の評価軸を超えたところに評価軸を持つことができることである。学校の外での自分の実力を知ることにより、学生のモチベーションにつながる点にもある。また、学校の定期試験だけでは感じられなかった成功体験や、「英語が好きかも」「得意かも」と思えるような機会にもなり得る。
本書での学習を通して、「普段の学校の授業がGTECの学習にいかに役立つか」「どういう視点で授業を受けたら良いか」、ということを学生自身が分かることで、GTECへの学習意欲も、学校の英語学習への意欲も高めることができる。
「今書いているメール手紙型の設問は、大学受験でも出てくる可能性はあるからそういう意識をもって学習に取り組みましょう」という、すべての学習がつながっているという意識を持たせるようなことが書かれており、学生のモチベーションが上がる点が魅力的である。
Q.困ったところや改善してほしいところ
特になし。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
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問題/課題:
【本書を編集した目的・コンセプト】
多くの学校において民間資格試験が導入されているものの、多くの学生が、学校での英語と、民間試験への英語、大学試験への英語の知識が頭の中にバラバラに格納されてしまっている。つまり、同じ「英語」であるはずなのに、橋渡しができていない現状がある。
例えば、英検は英検だけの学習をしてしまっていて、英検準2級取得のための学習が、大学入試の何に役立つのか理解できていない。民間資格試験の点数が大学入試の条件である場合などは、イメージが湧くかもしれないが、本来ならば、民間資格試験の対策は、学校の英語の学習と結び付けられて良いものである。
実際、英検2級は高校3年生レベルの語彙が範囲となっているため、英検2級の勉強をしっかりすれば、語彙に力を入れた問題を多く出題する「共通テスト」で必要な語彙力は身につけられる、と理解して良いはずである。
また、資格試験は、学生にとって、「きっかけ」である。自分が勉強するときの「きっかけ」。自分の到達を確認して軌道修正して自信をつけるための「きっかけ」。資格試験そのものがゴールではない。学習そのものはその先も続いていく。GTECの勉強が、GTECの試験が終わってなくなってしまわないように、どう生かせる英語力としていくか。資格試験が、学習プロセスに溶け込んでいくよう、民間資格試験と、学校と、入試の3つの橋渡しとなる、「つなぐ」ことをコンセプトとして、学生たちのために編まれた対策本である。
「GTECの対策は何やったらいいですか」と学生に言われたときに、問題をいっぱいやるよう勧めるのではなく、「とりあえずこれをやったら?」と先生方が安心して勧められるような一冊にしたいという思いで編んだ一冊。
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状況(クラスの人数やレベル):
GTECを受ける学生に対して、どのような利用の仕方でもアプローチできる。 -
他の類似教材ではなくなぜこれか:
GTECの問題を通じて鍛えるべき力を鍛えて、それを普段の英語学習に反映させるということがあってしかるべきだが、GTECの公式問題集を解いても、GTEC以外のところで、「これはGTECの勉強でやったものだ」「学校の英語学習と同じだ」と日常生活の中で気づけない学生が多い。それを気づかせて、GTECへの学習も、学校英語への学習と「つながっている」と感じることで、学習意欲を高めることができる点が、この教材の魅力。
また、ベーシックとアドバンストは共通する問題もあるが、同じ問題に対する解説でも、解説の難易度が変わっている点も利用しやすい。
Q.実際の使い方
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本教材の構成
【本書構成】
ベーシックもアドバンストも同じ構成になっている。
DAY1~4はSpeaking Part別攻略法
DAY5~8はSpeaking 徹底トレーニング
DAY9~10はWriting Part別攻略法
DAY11~12はWriting 徹底トレーニング
DAY13~14は模擬テスト
となっており、14日間で力がつくような構成となっている。
Part別攻略法は、
・「オリジナル問題」(時間指定あり)
・「試験のときに気を付けるべきポイント」
・「スコアアップの必須ポイント」
・「いますぐ/これからポイント」
・「例題」
・「気を付けるポイントのチェックボックス」
・「気を付けるべきポイントに合わせて例題の解説」
・「解答例」
・「日本語訳」
・「パートのまとめ」
が盛り込まれている。
徹底トレーニングは、実践問題演習ができる内容となっている。
最終日は、ライティングとスピーキングの模擬テストが1回分と解説が入っている。
内容の具体例)
スピーキングの出だしの「いますぐポイントとこれからポイント」としては
・単語学習は音とセットにしましょう。
・リーディングの練習でも音声を使いましょう。
・音のまとまりを意識しよう。
などが示されており、それぞれその意味やそうする際のアドバイスなども言及されている。
例えば、音読するときに意味のまとまりで読むのが大事だと理解するために、ネイティブが一単語ずつ切って音声にしている。各単語の発音の仕方が分かると同時に、ばらばらに読まれると文の意味が余計に分からなくなってしまうということも理解できる。
そうすると、「いかに意味のまとまりを意識して音読するか」というのは普段の授業でも意識できるようになっていく。学校の授業でも緩急をつけて音読できるようになるので、リーディングの力も、スピーキングの力も相乗効果で向上すると言える。
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授業の進め方
【活用方法】
生徒にそのまま配布してGTECにむけての自学に用いても良いし、学校の授業の中で同じ学習項目に連動させた例題などを解かせるなどといった方法で用いても相乗効果があることを生徒たちが実感できて効果的。
Q.使ってみた結果
英語スキルを、ランゲージスキルとテストスキルに分けたときに、GTECではテストスキルが求められるが、当然そのときにはテストスキルの前提にあるランゲージスキルが必要。
ランゲージスキルに重きを置いた学校英語授業における学習をどのようにテストスキルに反映させることができるのか、を実感させることができる。
Q.利用が向いているクラスや生徒
GTECを受ける人には誰にでも適している。
特に中高生向け。ライティングとスピーキング力をつけたい生徒向け。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
特になし。
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- 守屋佑真
- 河合塾講師
プロフィール
1981年生まれ。河合塾講師。難関国公立・難関私大などトップ層の講義を多数担当。民間英語資格試験の指導にも精通した人気講師。高校2年次に米国Moses Brown Schoolに1年間留学。早稲田大学法学部卒。英検1級。TOEIC対策関連書籍を複数監修。保育士…