30日で英文読解のテクニックが身につく!パラグラフ・リーディングの技法を学んで英語長文を読めるようになる高2におすすめのテキスト
最終更新日:2022年10月17日
- おすすめしたプロフェッショナル
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小山礼芽 / 拓殖大学第一高等学校
英語長文を読むためのパラグラフ・リーディング 高校中級用 発展
日栄社
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
主題や要旨を問う設問や文章の構成を問う設問がほとんどなので、英文全体の主旨を把握させるという目的にかなっている。
英文読解の授業では、和訳ではなく英文の主旨を把握する読み方を指導することを目的としている。そのため、和訳や語形変化を問うといった、文法に特化した問題がない本テキストを使うことにより読み方に特化した演習ができる。
ユニットが進むにつれて掲載されているパラグラフ数が増えていったり、使われている単語の難易度が上がっていったりなど、徐々にレベルが上がっていくので、生徒の英語の習熟度も段階的に上げていける。
テキストの前半に出題されていたような「パラグラフの要旨を問う問題」が後半にも出てくるため、同じような出題形式の問題を反復して演習できるところも良いと思う。
また、ほとんどが高2レベルの比較的簡単な単語が使われていることや、難しい単語には注釈がついていることなどによって、わからない単語でつまずいてパラグラフ全体を見られなくなるということがない。
英語が得意な生徒にとっては物足りないかもしれないが、そもそも要旨の把握が授業の目的なので、英語が苦手な生徒にはちょうど良いレベルだと思う。
教員にとっては、パラグラフのテーマや主旨を読み取るための読解ポイントを教える際に使える英文を探すのが大変だ。しかし、本テキストには読解のポイントに沿った演習問題が収録されているため、問題として使う英文を探す手間が省けるという利点もある。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
ほとんどない。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
近年の入試問題は「超」長文化しており、共通テストのリーディングに対する情報処理能力も求められているため、英文を速く正確に読む必要性がある。しかし、これまで英文の「読み方」を指導する場面がなかった。
入試問題などに出題されている英文を使って、その都度読み方のポイントを教えていく方法もあるが、まず英文の構造や読み方のポイントを知った上で、ポイントに合わせた英文を読むという体系的な学習方法の方が生徒にもわかりやすいと考えていた。
状況(クラスの人数やレベル):
普通コースと特進コースのうち、高2普通コース(2学年13クラス)のうち最難関私大志望2クラス(文1・理1)の英文読解授業に導入している。各クラスの生徒数は32〜35名。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
現在、本校の高2の英語の授業には英文読解・英語表現・コミュニケーション英語の3つがあり(来年度からは英語コミュニケーションと論理・表現の2つ)、語彙や文法は英語表現やコミュニケーション英語で学んでいる。そのため、英文読解では英文の読み方を徹底的に学ぶ授業を行いたいと考え、本テキストはその意図に合っていた。
ほかにも入試に出題されるような読解問題が多数掲載されているテキストはあるが、本テキストのように読み方にこだわって作られているものはあまり見かけない。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
入門編・基礎編・標準編・応用編の4つのユニットに分かれており、30日で1冊終わるように構成されている。
・ユニット1 入門編(パラグラフの構成):第1日~8日
・ユニット2 基礎編(パラグラフの展開):第9日~16日
・ユニット3 標準編(複数のパラグラフの展開):第17日~24日
・ユニット4 応用編(文の論理的なつながり):第25日~30日
見開き1ページで1日分。
各ユニットの冒頭にユニット全体の学習ポイントが記載されている。毎日の演習ページの最初にその日のポイントが書かれ、その後にポイントに沿ったパラグラフと、パラグラフ1つにつき、要旨を把握させる設問が1~3問程度出題されている。パラグラフリーディングに入る前に、簡単な予備練習問題(羅列された単語から主題を見つけるなど)が2問ほど出題されている日もある。
掲載されているパラグラフの数は、入門編で1日2〜3。レベルが上がるにつれてパラグラフの数が増えていく。
「解答」「語句解説」「全訳」を収録した別冊の解答書付き。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
週2回の英文読解の授業で使っている。1回の授業で行う範囲は見開き1ページ(1日分)。1つのパラグラフを読んで問題を解くまで3~4分ほどかけており、1回の授業範囲の見開き1ページを10~15分程度で終わらせている。
テキストに書かれているその日のポイントをまず確認し、その後、ポイントに沿ったパラグラフを読んで主題や主張などを問う問題の演習を行う。
生徒が各自でそれぞれのパラグラフに出題されている問題を1問ずつ解き、その都度正解と解説をしていくという流れで進めている。
授業の始まりに本テキストの演習を行い、その後は別の長文読解のテキストを使った授業をしている。授業時間内にその日の演習を最後まで終われなかった分は、宿題として自宅でやらせることもある。
指導する上での工夫:
英文を速く正確に読むために必要な技術のうち、主に「構文解釈」「ディスコースマーカーの理解」「主題や要旨の把握」の3つを習得するために本テキストを使っている。
ただひたすら読解演習させるだけでは読み方の習得につながりにくいと感じているため、パラグラフを読む前に、その日のポイントや読み方のコツを押さえてから読解演習させている。
例えば、主題の要旨を把握するコツとして「逆説の後に主題がある」ということがその日のポイントとして紹介されていた場合、それを確認した上でパラグラフを読むことによって、主題や主張を的確に把握できる読み方の習得につながる。
英語が苦手な生徒には、演習に配点されている点数で自己採点させ、学習へのモチベーションをあげるよう工夫している。
Q. 使ってみた結果
高2のうちに本テキストを使って学習しておくことで英文の読み方が身につくため、高3になって英文読解の授業に入ったときに、パラグラフの主題や根拠などを自分で理解できるようになっていた。
生徒の英語習熟度によって差はあるが、今までなんとなく英文を読んで内容を理解していたと思っていた生徒も、読み違いをしていたことに気づくなど、内容を正確に読み取れるようになった。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
基本的には、高2の読解演習に入る前の段階での指導や、英文の読み方を体系的に学ぶための教材として向いているだろう。
しかし30日で1冊を終える構成なので、「模試で点数がとれない」「英文が読めない」と感じている高3の生徒にとっての短期集中学習にも使えると思う。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
演習がかなり進んでいる高3などには必要ないだろう。
- 小山礼芽
- 拓殖大学第一高等学校