豊富な時事トピックを掲載!実際入試で出題された過去長文問題で速読力を鍛える
最終更新日:2022年12月26日
- おすすめしたプロフェッショナル
-
中澤元 / 土佐中学校・高等学校
アップリフト 英語長文読解
Z会
- おすすめのポイント
-
Q. 良かったところ
扱われている題材が時事的な問題が多いので、生徒が興味を持ちやすい。(中には、あまり興味がなく、読むのに困難を覚える文章もあるようだが、「興味がないものでも最初から最後まで読めないと入試ではできないよ」と指導している。)同シリーズで、レベルが4段階あるので、生徒のレベルに応じて使い分けができるのも良い。別冊の解答集の解説が非常に丁寧で、自学にも向いている。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
総合問題(1つの大問の中に和訳や穴埋め問題があるもの)は大学入試でも減ってきているので、速読の訓練だったら、パラグラフごとに設問があったりすると、文章を途切れず読めるので良いかもしれない。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
本校では長年にわたり、高校3年生を対象に、英語必修の5単位に加えて、読解や英作文など多岐にわたる選択授業を、週2~3時間行っている。選択授業なので、甘やかすことなく、わりと難しめな文章を読ませたかった。
状況(クラスの人数やレベル):
この選択授業の中の「読解」の授業で、入試対策の一環として2年前の令和2年度から活用。選択する生徒の人数は、30人のクラス×3クラス分くらい。生徒のレベルとしては、最終的に英検準1級~2級に到達できる程度。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
同シリーズで、「入試準備」・「入試演習1・2・3」の4段階のレベルがあるので、生徒のレベルによって流動的に使えると思った。高3の選択の授業なので、わりと英語を勉強したい、英語が得意な生徒が集まって来ると思い、上から2つ目のレベルの「入試演習2」(300~460語程度)からスタートしている。時事的な問題がふんだんに盛り込まれているのも良かった。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
全体で20題。実際に入試で出題された頻出テーマに基づき、7つのジャンル(地球環境/文化・人間/自然・科学/言語・コミュニケーション/情報・科学技術/社会・経済/医療・健康)に分かれている。各テーマが始まる前に、入試で取り上げられやすいトピックの例が、見開きで紹介されている。
それぞれのジャンルごとに2~3題の長文が掲載されており、1つの問題は見開き1ページ(左側に長文、右側に問題。訳、穴埋めなど)。別冊の解答集は、1題につき4ページくらいを割いて解説している。全訳・要約や、段落ごとのまとめも付いていて、とても丁寧。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
高校3年の4月から2学期末頃までの期間、週に2時間ある選択授業で利用している。1単位(50分)で1題を扱う。授業の前に各自予習として、長文を読み、問題を解いて、和訳も自力でできるところまでやって来させる。授業では、まず文章の構造、語彙、イディオムをチェックしながら訳を確認→問題の答え合わせ→内容の要約を行う、という流れ。
指導する上での工夫:
本文の内容を日本語で100字くらいに要約してもらう。全訳はできても、要約となるとどこを抜粋すれば良いのか迷う生徒たちがいたので、ポイントをつかむ力を付けるため要約を活用している。
要約は私自身がそもそも苦手で、大学受験時にはマーク中心の私大を専願して、要約の訓練をしなかったため、教員になっても苦手意識があった。生徒たちが国公立二次試験で必要となった場合、入試直前に付け焼き刃的に対策を行うのではなく、早い段階からある程度の数をこなすことが得策だと思った。
文字数がすぐ分かるように、エクセルの升目を使って150字(25文字×6行)程度のシートを作って配り、予習として自宅でやってもらう。短い時間で処理するよりはじっくり考えてほしいので、特に時間は指定しない。授業では、教員が書いたモデルアンサーを見せて、まったく同じでなくて良いので概要が合っているか各自で答え合わせを行う。
Q. 使ってみた結果
問題数をこなすことによって、長文に対するアレルギー(抵抗感)がなくなってきた生徒が多い気がする。読むときに時間を計り、掛かった時間と理解度をメモしながら、予習では1回、復習では2~3回は読むように指導している。
時間の目標は「100語で1分、300語なら3分は切るように」。1回目は5分掛かっても良いので、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目とスピードを上げて読めるように取り組む。長文読解が苦手であればあるほど、他の生徒が2回読んでいれば自分は3回、他の生徒が3回読んでいれば自分は4回、と多く回数をこなすよう指導している。新たな文章を次々読むよりも、前に読んだことがある文章をくり返し読んで理解するのが速読力を上げるコツだと思う。速読力が付けば、テストでも長文を読み切れずに未回答で提出する、ということはなくなる。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
難関大学を目指す生徒たち。実際に載せられている問題も大学の過去問から抜粋されているので、実践練習になる。レベルが、ステップアップしていく
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
難関大学を目指していない生徒には、ここまで負荷の大きな教材ではなくて良いと思う。
- 中澤元
- 土佐中学校・高等学校
プロフィール
英語教員であった祖母の影響を受けて、自らも英語教員になることを志す。 関西学院大学文学部英文学科卒業後、高知県の公立高校に期限付講師として赴任、翌年に採用。 二校で教鞭をとったのち、私立土佐中高等学校に着任。2020年より英語科主任を務める。 趣味は音楽。同校…