見開き1ページに4技能を凝縮。興味深いトピックで、英語力+背景知識も身に付く検定教科書
最終更新日:2023年1月23日
- おすすめしたプロフェッショナル
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平川慧 / 日本大学明誠高等学校
Power ON
東京書籍
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
重要な情報だけがコンパクトにまとめられていて、余計な情報がない。各パートにたくさんの写真が散りばめられていて、写真を使って内容理解を深めたりRetelling活動を行うことができる。活動に必要な写真がたくさん含まれている。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
QRコードは単語と本文の音声のみ入っていて、「Listen」の問題の音声がない。教員用のデータがCD-Romで与えられているが、教科書から直接QRコードの形で引っぱり出せるようにしてもらえたらもっと使い勝手が良くて助かる。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
昨年度(令和3年度)までは『World Trek』を使用していた。新課程になって教科書変更のタイミングで、見開き1ページでパートが完結し、4技能が見開き1ページの中で扱える本書がこれまでの教科書と似た作りで使いやすいと思った。また、興味を引くトピックが多く収められているのも引かれた。
状況(クラスの人数やレベル):
高校1年生 普通コース 1クラス40人前後×7クラス
他の類似教材ではなくなぜこれか:
本校の普通コースのレベル(偏差値50程度)に合っていた。また、新しい教科書なので、扱われている話題が新しく、生徒の興味を引きやすい。音読のスクリプトがQRコードで付いているので、すぐに音読の準備ができて使いやすい。見開き1ページで一つのパートが完結する構成も扱いやすいと思った。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
全10レッスンに加え、Reading題材が2つ。各レッスンの構成は以下のとおり。
- 導入:最初の見開き1ページは、レッスンの内容に関係する写真が掲載されており、写真を見て話し合い、テーマへの関心を高める。この部分にあるQRコードに、各パートのNew WordsとReadingの音声が入っている。ここでは特に音声は聞かず、進んでいく中で随時必要に応じて扱う。
- 本文:パート1~3に分かれ、各パートは見開き1ページ。左側に本文の内容理解に関する設問やカギとなる文法項目があり、右側に100字程度の本文が載せられている。
左ページの設問部分は、4技能を鍛えられるよう基本的に下記の流れとなっている。
「Guess」本文を読む前に、挿絵を見て内容や語句を推測する。
「Read」本文を読んで、穴埋め問題に答える。
「Listen」英文を聞いて、本文の内容に合うものをTrue/Falseで答える
「Speak/Write」本文の内容に関連した簡単なアウトプット活動
「Grammar」1パートにつき、1つの文法項目を掲載
- 「Reveiw」:見開き1ページで、各パートのSumarryが穴埋め問題形式で載せられていたり、VocabraryやKey Expressionsなど、本文内容の復習を行える
- 「Action」:学んだことを実際に使って、聞く、書く、話す活動を行える
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
週に3単位の英語コミュニケーションで使用。1パート2時間で扱う。
1時間目:「Guess」の絵を見せて、思いつく英単語を考えたり、意味の推測を行ったりして、新出単語の学習→インプット活動として、オリジナルのプリントを作って本文の内容理解を深めさせる。5~6問の質問を載せ、まずは質問文を読ませてから本文のリーディング、もしくは内容によっては本文の音声を3回ほど聞かせて、内容の把握をさせる。→その後生徒同士ペアで5~6分間プリントの答え合わせを行う。
2時間目:口頭で単語チェック→全体でプリントの答え合わせ→教科書の「Read」/「Listen」を用いて本文理解の復習→アウトプット活動としてオリジナルの課題を設ける。例えばレッスン1では日本の文化について扱ったので、「日本の文化とは何か?」について個人で調べ(5~6分)→ペアワーク(5~6分)→ロイロノートで提出して、クラス全体でシェア(5~6分)。授業の中で、ランダムに数人の画面を共有して公開採点する。
指導する上での工夫:
上記で述べたアウトプット活動の点だが、各レッスンのテーマについて、本文の内容以上に詳しく知るため、調べ学習を取り入れている。上記とは別の事例として、レッスン2は「発光生物」についての題材だったので、教科書には出てこなかった光る生物について各自で調べ、レッスンで学んだ単語や表現を使ってレポートを作成し、ロイロノートで提出させる。扱う流れは上記と同様。
Q. 使ってみた結果
生徒からの「難しい」「分からない」などの声は上がっていない。具体的なデータは出していないのでテストの結果に直結しているかは分からないが、生徒にとっては文量が良いとは思う。教員としては、内容理解を深めるため、同じような題材の文章をもう少したくさん読ませたい。類似した文章にすぐにアクセスできるように工夫が必要だと感じている。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
英検準2級~3級レベル、偏差値45〜50程度で、中学の基礎をある程度押さえている生徒。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
本文の語数も100語程度と少ないので、英語力の高い生徒には物足りない。
- 平川慧
- 日本大学明誠高等学校
プロフィール
早稲田大学第一文学部卒業後、電機メーカーの人事総務部に4年勤務。その後、千葉県立公立中学校に4年、千葉県私立高等学校に非常勤講師として2年勤務。現職に至る。田尻悟郎先生を信奉し、田尻メソッドを習得・実践すべく奮闘する日々。