「自分の意見を書ける」喜びを知ろう!基本の型から書き方をマスターできる、レベル別の英作文教材
最終更新日:2023年3月7日
- おすすめしたプロフェッショナル
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對馬 洋介 / 宝仙学園中学校・高等学校共学部
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
ライティング指導を通じてネイティブ教員の力をさらに発揮してもらえるようになった。本教材を導入したことで個別にプリントで教材を作成する手間や負担が減り、その分生徒の書いた文章をチェックする時間にあてられる。また、生徒たちのライティングへの意識が高まったことや、授業内で生徒の活動する時間が増えたことが良かった点である。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
レベルの上がってくる中3には本書のAdvancedシリーズを使用しているが、テーマについてリサーチしてから書くという形式になってきて英検に繋がりにくくなっているかもしれません。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
大学入試から逆算して中1から高3までの6年間を考えたとき、英語において、基礎基本を学ぶ「中学英語」は非常に重要である。中学英語と高校英語は繋がっているからだ。高校を見据え、本校の定期試験では中1からリーディング中心の試験(100点分)に加え、リスニングとライティングのテストもそれぞれ50点分ずつ実施される。ライティング指導は今後特に力を入れていきたく、指導の体系化を進めているところである。これまで、ライティング指導はどうしても担当教員の指導力に左右されてしまう部分があり課題に感じてきた。本校のネイティブ教員と相談しながら教材の選定をした際、本書は「英語の型を自然と覚えられ、教員にとっても指導しやすい」とのことで、今年度(2022年4月)より導入することになった。各学年一人ずついるネイティブ教員の力を存分に発揮してもらいたい、という狙いもある。状況(クラスの人数やレベル):
中1から中3まで、English Communicationの授業(50分)で本書を使用。本校では英語の習熟度別にクラスが分かれているが、本書もいくつかレベルが分かれていて選ぶことができるため、それぞれの学年やクラスに適したものを使用している。(Essential10、20、50、Advancedを利用)他の類似教材ではなくなぜこれか:
中学生用のライティング教材で、レベルに分かれ、シリーズ化しているものがなかなか見つからなかった。比較対象は多くないが、本書はレベルが自由に選べて使いやすい。また、プリント学習ではなく冊子を持たせることによって冊子ならではの重厚感があり、「しっかりやろう!」という前向きな姿勢を生徒が持ちやすくなる。Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
本教材のシリーズは以下にレベル分けされている。
- Basic:「Alphabet」「Phonics」
- Essential:「10」「20」「30」「40」「50」
- Advanced:「Three Reasons」「Around the World」「SDGs」
それぞれ難易度や目標が違うため構成も異なるが、見本となる型(定型文)を参考にし、単語を変えたりしながら、自然に英作文の力を高められるようになっている。
(例)Essential TAGAKI20
【目標】
「肯定か否定か、はっきり述べる」(メンタル)と「英語1文ではなく3文で書く」(英語)【トピック数】
1トピック見開き1ページで、合計30トピック。「First Day of School」、「Pets」「Winter Vacation」など中学生にとって親しみのあるテーマが多く並ぶ。【1トピック(見開きページ)の構成】
左ページにSample Sentences①②(定型文)とPhrases A・B(単語、例文)、右ページにWriting Timeの欄がある。例えばPetsのトピック回では、定型文①が「I have…」から始まり、定型文②は「I don’t have…」から始まる。それぞれの定型文には2箇所空欄があり、そこにWords and Phrases A・Bから選んだ単語を入れて、自分の文章を作成する。Words and Phrases A・Bの中には、ペットに関する好きなことや好きではないこと(take care of it、play with itなど)、ペットを飼う理由や飼わない理由(exciting、funなど)が4つずつ載っている。ペットを飼わない意見の場合は、I don’t like toの後が空欄になっているので、〜するのが好きではないという文章を作ることができる仕組みである。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
1トピックはStep1~5の順で進めると良い。(公式HPより)
Step1:それぞれ3行程度のSample Sentences①②(見本文)を見ながら自分の意見を決め、Words and Phrases A・B(単語や短い例文)から使いたい英語を選ぶ。
Step2:Sample SentencesとWords and Phrasesを音声アプリでチェックする。
Step3:選んだWords and Phrasesを当てはめて全文を書き写す。
Step4:書いた英文を見ないでもう一度書く。
Step5:書いた英文を覚えて声に出して言う。進め方(年/学期単位、授業単位):
現在、中1から中3まで、English Communicationの授業(50分)で本書を使用している。中1は週2コマ、中2・中3は週1コマあり、1年で1冊を終わらせるイメージ。ネイティブ教員が担当する授業のため、基本的にオールイングリッシュでの授業である。他の教材や年間指導計画との兼ね合いもあるため毎時間確実に取り組めている訳ではないが、内容を選択したり自宅課題としながら継続して取り組んでいる。指導する上での工夫:
授業だけでなく、定期試験で実施するライティングテストで本教材の形式を取り入れ、定着するようにしている。また、英検を1つの大きなモチベーションにしている生徒も多くいるが、「英検に合格するために英検対策をさせる」という指導ではなく、「授業で学んだ結果、合格できる力がついた」と生徒が感じることが大切であり、そのためにも教員間の目線合わせが大切である。特にネイティブ教員と日本人教員間でこれらの意識を共に持てるよう、働きかけを意識している。Q. 使ってみた結果
継続的にライティングに取り組むことで、「書ける!」という生徒たちの自信や書くことが当たりまえという意識変革につながった。本校では「自分の意見を大事にしていこう」という目標を掲げており、この目標にも合致している。また、生徒たちの書いたライティング答案を採点していると、普段の姿とは少し違った「顔」が文章から読み取れる時もあり面白い。単に〇や×で採点したり判断せず、等身大の彼らの考えに寄り添うことを心がけている。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
ライティング力を高めたいと考えている人。教材はレベル分けされているので皆に向いていると言える。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
「何のためにやるのだろう?」「この教材を使ってどんな力を伸ばしたいのだろう?」と考えない、導入目的のない場合には合わないと思う。
- 對馬 洋介
- 宝仙学園中学校・高等学校共学部
プロフィール
2016年より本校へ。現在は教務部長・英語科主任を務める。 自らが受けてきた英語教育に疑問を持ち、「自分が習ってきたように教えない」「生徒主体の授業をする」「常に自らが学習者である」ことをモットーにしている。いかに英語嫌いな生徒をうまずに知的好奇心を喚起する楽…