難しく感じる英文法もパーソナライズが定着のカギ!身近な文章で身に付けるタフな英文法問題集
最終更新日:2023年3月31日
- おすすめしたプロフェッショナル
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家中 潤 / 久留米大学附設中学校高等学校
新Aクラス 中学英語問題集1年
昇龍堂出版
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
いろいろな形の問題があり、演習量が多い。説明も適切で、細かすぎることもない。問題集は大学の教員が作っているものが多い中で、本教材は、中高の現場にいらっしゃる教員が編集に多く関わっている教材なので、説明が中学生にとって適量である。文法学習は通常あまり楽しくないかもしれないが、その中でも、本教材は身の回りの場面で実際に使う表現が多く含まれているので取り組みやすいと思う。また、同じ文法項目の中でも問題のレベルの難易度は何段階かあるので、生徒のレベルに合わせて難易度の低い問題から高い問題へと段階を踏んで学習させることができる。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
今年度(令和4年度)中学1年生を受け持つことになり、教科書と副教材を探すにあたって、どんな教材が良いか考えていた。できるだけEnglish Richな教材が良い一方、生徒の文法力をどうやって担保をするかが課題だった。状況(クラスの人数やレベル):
中学1年生 40人×4クラス。本校は中学入試で英語を課していないので、生徒の英語レベルは幅広い。小学校で英語を習ってきた生徒や帰国子女もいるが、中学受験のため塾に通っていてた生徒が多く、英語まで手が回っていない生徒もいる。英検4級に届くかどうかというレベル~2級レベルの生徒までいる。他の類似教材ではなくなぜこれか:
本校の数学科が同じシリーズの『新Aクラス中学数学問題集』を長年にわたり使っているのでなじみがあった。また、文科省の英語教育推進リーダー研修に参加した際、本書の著者の一人である市川学園の山本永年先生とお会いしたことがあり、実践力もお考えも素晴らしい先生だった。そのような著者の方を存じ上げているので、教材の使い方などを伺うチャンスもあり、しっかり生徒に力を付けることができる教材だと思い、採用を決めた。Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
全体構成としては、中1で学ぶであろう英語を網羅している。アルファベットを書くところからスタートし、Be動詞など文法事項を1から挙げている。全部で12章あり、1章あたりは20ページ程度、全体で220ページくらい。1章に1つ~2つの文法事項を収めている。
例:There構文を扱った章では、まず文章(否定分・疑問文)の紹介(12~13センテンスくらい)→演習問題(穴埋め・書き換え・並べ替え)→和文英訳・英作文、という流れ。演習問題は1章につき100題程度ある。Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
授業で扱う教科書『NEW TREASURE』の進度に合わせて、教科書の単元が1つ終わったら、そこに出てきた文法項目に該当する章を扱う。1レッスン7~8時間(週4時間の授業なので2週間くらい)で終わる。そちらが終わり次第本教材を挟むという流れ。
授業では5分~10分くらいで基本的な説明をして、問題は課題として出題する。生徒は各自で問題を解き、解答解説を見て答え合わせをしてくる。次回の授業で5~10分用いて、間違いが多そうなところだけピックアップして生徒に答えさせ、大事なポイントだけ説明する。ピックアップする箇所は、今までの経験と同僚教員からの意見に基づいて決めている。
授業内で解説するときは『解答解説』には載っていないプラスアルファの情報を加えるようにし、授業で扱う意味を持たせている。同じ文法項目の中でも問題のレベルの難易度は何段階かあるので、生徒のレベルによってどこまでやらせるかは教員のさじ加減で調整が可能。指導する上での工夫:
文法問題集なので退屈しがちではあるが、なるべく生徒が退屈しないように心がけている。そのために、文法を教えるためだけの、「二度とこんな文章は見ないだろうな…」というような文章はなるべく避けたい。
自分の身の回りのことについて使う英語は記憶に残りやすい。本教材は、英作文の一番最後に「自分自身について次の英語で書きなさい」という問題があるので、それを活用して、自分自身や身の回りのことを書かせている。Personalizeすることが定着のカギだと思う。Q. 使ってみた結果
なかなかタフな教材ではあるが、文章として古臭さがないので、生徒はそれなりに楽しんでやってくれている。「覚えるべきことをしっかり覚えさせなければいけない」ということと「あまり細かいことを言いすぎて英語嫌いを作らない」ということをどのように両立させるかが悩みどころではあるが、メインの教科書の方でなるべく話す活動をして、本教材は文法を定着させるために使っている。
本校は理系の生徒が多いので、もともと英語にあまり興味がない生徒が多い。そういう生徒にどのように英語を好きになってもらうかが今の課題だと感じている。Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
中1段階で、英語をしっかり身に付けたい生徒たち。特に私立の学校で、ある程度英語をしゃべらせる授業を行う中で、進学を視野に入れた学習を担保したい学校におすすめ。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
日本語で十分に解説が書いてあるので、All Englishで授業を行う学校には合わないと思う。
- 家中 潤
- 久留米大学附設中学校高等学校
プロフィール
久留米大学附設中学校・高等学校 英語科主任(中学1年生担当) 略歴 大学卒業後、民間企業および県立高校勤務の後2003年4月より現職。 もうすぐ勤務20年になりますが、生徒指導部長、文科省英語教育改革推進リーダー研修など様々な学びの機会と全国に熱い想いを持つ仲…