70個の英文に集約された頻出ポイントを集中的に習得できる!フォーカスを変えて繰返し学ぶことで重要事項が定着する
最終更新日:2023年7月5日
- おすすめしたプロフェッショナル
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岡山県私立高校 M先生 / 岡山県私立高等学校
大学受験のための英文熟考(上)
旺文社
- おすすめのポイント
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おすすめのポイント
たくさんのパターンを載せすぎると混乱してしまう、という生徒の課題を乗り越える。入試で頻出する重要な構文に絞り込み、似たようなパターンの英文を繰り返し学習することで、しっかりと定着を図るのに良い教材。
Q. 対象としたクラスの特徴(学年、人数、授業目標等)
学年と人数: 高校2年生Ⅲ類(医学・理系学部進学)がメインで利用。
英語能力のレベル感、動機付けの強さ:生徒の1割くらいが高2で英検準1級、9割が2級を取得するレベル。偏差値60~65くらい
授業目標:構文をたくさん覚えるのが良いわけではないが、毎回よく出て来るものを習得して、最低限読むための道具として本書を役立ててほしい。
個人的に達成したいこと・こだわりたいこと:書かれている文章が何を言いたいのかをちゃんと考えさせる事を意識している。最近では「Deep L」や「Chat GPT」などを使えば日本語をパッと英文に変えてくれるが、機械が訳したから正しいと鵜呑みにするのではなく、矛盾している点などに気付けるようになったらいいなと思う。ちゃんと情報として読み取れて、それに対して自分がどう思うのかというのを書けるようになってほしいと思っている。
Q. 課題意識、導入の経緯
8年ほど前(平成27年度頃)に導入した。
一般的には、1つの構文を教えるのに1つの例文を載せるので、100個例文があれば、ポイントも100個あると考える。しかしこの教材は、例文が70個あるが、ポイントは15個くらいに絞って扱っている。同じ英文をただ繰り返すのではなく、学習を図りたい構文に基づいて、似たような英文を少しずつ変化させることで理解を深め、定着を図っている。例えば、動詞なら動詞についてくり返し問われる。最初は自動詞か他動詞か、次は動詞になり得る複数の単語がある中で実際の動詞はどれか、など、動詞から文を考える。
実は初めてこの本を見たのは、私が学生時代に塾でアルバイトをしていたときで、その頃は私自身もそれほど英語が得意ではなく、この教材は難しすぎて生徒には使えない、と感じていた。たくさんパターンが載っていないから良い教材ではない…と思っていたが、実際に教師になり入試問題をいろいろ見ていると、出題される問題は同じようなパターンに絞られていると気付いた。全部をフラットで教えるより重要ポイントを集中的に教えられる教材の方が良いと思ったとき、この教材を思い出した。
ただ2007年の発行から15年たっているので、時代背景は古くなっている。例えば、中国の経済成長のことなど、当時の情報では成長中の段階。参考書としては化石になっているので、補足をしてあげる必要がある。ただ逆に、文章としてちゃんと読んでいる生徒は情報の違和感に気づくので、見極めるポイントにはなっている。Q. 実際の使い方
授業における展開:4月から9月頃までの期間、週4コマ(2時間×2)あるコミュニケーション英語のうち1コマで本書を用いる。やや難しい構造の1センテンス程度の英文が70題掲載されている。1週間で10題ずつ扱い、2カ月以内に70題すべてを1周する。それを3周行う。
1周目:単語に重きを置いて扱う。解説の中で重要ポイントになっている点を問う形で、穴埋めのプリントを教員が作る。訳が頭の中に入っている前提で、消えている単語を確認する。
2周目:解説を読み直して、比較的大事な文法事項を押さえる。
3周目:「この単語を使って文章を復元しなさい」など英作文を行う。直訳と意訳の区別が付いていない生徒が多いので、解説の意訳を見て、直訳がどうしてこういう意訳になるのか、文の成り立ちを考えながら行う。Q.工夫したポイント
授業準備で工夫していること(あれば):
その週の授業を行うまでに、予習課題としてその週の範囲の和訳の提出をさせている。丸付けをした解答を授業までに解説と一緒に生徒に返却する。その和訳のデータ(結果)をもとに小テストを作り、授業の最初20分くらいかけてテストを実施する。生徒の状況をよく見て、和訳の添削の際に分かっていなさそうなところを、授業で伝える。評価で工夫していること(あれば):
最初の和訳の添削で、正解かどうかだけでなく、分からないなりにどう工夫して書いたかを評価に含めるようにしている。Q. 実施した結果
生徒の成績の変化等:
本教材だけで成果が出ているわけではないが、同じポイントがくり返し出るので、生徒各自の弱い点の指摘がしやすい。読む力が付けば、入試の読解でも役立つ。
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