Conversation Strategies
最終更新日:2022年2月23日
- おすすめしたプロフェッショナル
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M先生 / 大同大学大同高等学校
Conversation Strategies
Pro Lingua Associates
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
本書は、全て英語で書かれた洋書であり、実際のコミュニケーションをより円滑に行うための戦略が紹介されている。導入部分には面白いイラストや漫画も書かれていて親しみやすい。全て英語で書かれている洋書だが難易度は高くなく、中学生レベルの基礎的な英語力があれば十分に取り組める。英語を学び始めたばかりの生徒であっても、本書の中の簡単な表現やアクティビティーならば楽しめるだろう。また、ストラテジーを学ぶ過程には設問問題や穴埋め問題、ペアワークなどが組み込まれているため、知識を整理しながら無理なく英語のアウトプットができる。本書には楽しく英語アウトプットを行うためのヒントが多くつまっており、授業内での指導に活かせる点が良かったところである。「まずは英語をそれっぽく使ってみよう!」という働きがけを生徒たちにすることができた。
Q.困ったところや改善してほしいところ
特にない。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
本校では「自分の意見を英語で伝えられるよう、アウトプット中心の英語学習を」という共通の目標に向かって指導している。これまで中学校で学んできた英文法などの基礎知識を、どのように現実の場面に落とし込めるか考えていたとき、書店で本書に出会った。本書には、実際のコミュニケーションをより円滑に行うためのFollow-up Questions、Confirmation Questionsといったストラテジーが多く紹介されている。完璧な英語を求めすぎるのではなく、「まずは英語をそれっぽく使ってみよう!」「何となくでも英語でコミュニケーションをとるのは楽しいことだよ」というメッセージを生徒に伝えたく、本書を参考にして自作プリントを作成し授業で一部使用した。
問題/課題:
普段授業で習っている英文法の知識や単語を、実際にどのような場面で使うことができるのか、生徒たちにイメージさせることが大切だと感じてきた。特にまだあまり知識も語彙も多くない生徒にとっては、英語で何かをアウトプットするのは簡単ではない。そのコツを示すものとして本書が役立つのではと考えた。
状況(クラスの人数やレベル):
本校の、大同大学進学コースと文理進学コース、高1生クラスで3学期に使用した。1クラス35名~40名前後。英語表現の授業内で使用したが、副教材のメインとして本書を生徒に購入させたりはせず、本書を参考にして作った自作プリントをもとに指導した。2つのコースには内部進学や推薦入試利用を希望している生徒が多く、「英語基礎力を身に付けながら、英語を使えるようになる」というコースの目標にも本書は合致していたと思う。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
類似教材は見当たらなかったのと、本書の中身に魅力を感じたため。
Q.実際の使い方
【本書の構成】
本書は、全て英語で書かれた洋書である。全150ページの中に、コミュニケーションを円滑にするためのストラテジーが20ほど掲載されている。1ストラテジーを約4ページ使って解説するが、ただ説明文が載っている参考書のようなものではなく、いくつかのステップで、実際の使用場面に落とし込まれている点が特徴である。授業時間内で、1ストラテジーに掲載されている全てのアクティビティーを実施したり、問題を解き切るのは難しいが、一部であっても十分楽しんで授業に取り入れることができた。
(例)「幸せなとき・悲しいとき」というストラテジーの回
まず初めの1ページで、シチュエーションに合ったイラストが示される。 ”I Think I made the football team.” と言いながら入ってきた青年に対して母親らしき女性が、”That’s terrible!” と言い、父親らしき男性が ”Terrific!” と褒める。このイラストの下に、【Happy】【Interested】【Sad】【Surprised】のカテゴリーで、それぞれの感情を表現できる単語がいくつか紹介されている。
残りの3ページでは、内容を深めるためフォローアップの質問があったり、穴埋め問題のエクササイズ問題が並ぶ。最後には、自分で相手への質問を考えたり対話の切り返しを考えたりする項目もある。
指導する上での工夫:
一番大切なのは、生徒のレベルに合ったストラテジーを提示してあげることだと感じる。難しすぎるアクティビティーでは「楽しさ」を感じにくいため、少々簡単なものから始めるのがおススメだ。1ストラテジーの内容全てを完璧に取り組ませるのではなく、一部でも構わない。基礎文法の知識に絡めて指導すると、生徒は英語をより身近なものに感じ楽しく学習できる。
Q.使ってみた結果
本書で ”Oh, No!” の使い方をシチュエーションをもとに改めて学習したところ、授業内のさまざまな場面で生徒が ”Oh, No!”を多用してくるようになった(笑)。もちろん、このフレーズ自体はすでに知っていたと思うが、使う機会が普段なかったように思う。使いやすいものであれば、生徒から自然と使うようになることが実感できた。
Q.利用が向いているクラスや生徒
まだ英語を学び始めたばかりの小学生~大人まで幅広く使用できる。英語でコミュニケーションをとるうえで重要な、会話内のリアクション方法や質問方法が多く載っているので、実践しながら「楽しく」学べる。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
受験英語に特化した学校や、大学入試対策に力をいれている進学クラスなど。本書を使っても受験対策には直接結びつかないが、普段の授業のスパイス的に使用するのは良いと思う。また、全て英語で書かれた洋書のため、英語力がない生徒が自身の力だけで読み進めるのは難しいかもしれない。教員のサポートが必要である。
- M先生
- 大同大学大同高等学校
プロフィール
大学卒業後、公立高校へ勤務。その後カナダでの語学学校留学やワーキングホリデーを経験した。帰国後、現在の勤務校である大同大学大同高等学校にて勤務を開始し、現在6年目。英語科の主任として高2生を担当している。 【最近気になること、興味のあること】 読書:現在自分の…