マーフィーのケンブリッジ英文法 初級
最終更新日:2022年2月23日
- おすすめしたプロフェッショナル
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居村俊子 / 中村学園 女子中学高等学校
マーフィーのケンブリッジ英文法 初級
ケンブリッジ大学出版
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
生徒たちに自学させるのに良い教材だと思う。問題の中にイラストが多く記載されているので、学んだ文法が実際に使われる場面をイメージしながらマスターでき、社会に出て使える生きた英語を学べる。楽しみながら学べるので、生徒の潜在能力を引き出すことができ、より頭に入るのだと思う。教えるのは少しで良い、あとは使ううちに言葉は身に付くものだ、ということを実感している。
Q.困ったところや改善してほしいところ
解答が音声で流れる機能が付いていたら良いと思う。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
4年前(2017年度)から中高一貫の生徒たちを対象に、ケンブリッジ教科書を導入した。それに伴い、本教材を中学1年から3年を対象に導入。(同時に高校では「マーフィーのケンブリッジ英文法 中級」を導入)それまでは検定教科書を使っていたが、難しい構文を学んでも、それを使って話せない生徒が多く、使える英語を学ばせるのが課題だった。
本教材は、検定教科書とは順番が異なり、意思疎通をするのに必要な文法読解を先に学べる。会話の中で実践に役立つ生きた文法を学べるので、実際に使われる自然な表現を使えるようになる。英語の4技能がマッチしているというのを体感してほしい。
Q.実際の使い方
ケンブリッジ教科書の補助教材として、主に家庭学習用に用いている。教科書は、リアルライフのビデオを見せ、リスニングを行い、それに対して会話をし、その時に出てきた文法を復習するという流れが1ページに収まる構成なっている。その補足として、本教材で文法の練習問題を行わせる。
本教材は、1ユニット見開き2ページで、左側に解説、右側に問題が25問程度という構成。授業の中で問題を解く時間を取ることはほとんどない。週1回、毎週月曜に、前の週の総復習としてテストを行い、間違いが多いところだけ授業内で解説したり、小テストを行ったりする。中学は1学年に2クラス(国公立大学を目指す「一貫スーパー特進Ⅴコース」10名、海外進学を目指す「アクティブコース」20名)あるが、いずれのクラスでも本教材を用いている。中学3年の1学期に高校進学の認定試験を行っており、そのための中学1年~2年の総復習にも役立つ。
テストは、知識のテスト(単語、文法を覚えて使いこなせるか)と、読解のテスト(初見の英文を読ませる)の2種類。そのため、特定の範囲だけ勉強しても解けない問題もある。テスト対策は「いついつまでにこれができるようになりなさい」という目安だけ与えて、どこを勉強したらいいか、生徒に自主的に行わせる。
Q.使ってみた結果
ケンブリッジ検定試験のA 1 Movers(英検3級レベル)で全員が8割以上のスコアを取っている。中学2年の終わりでB1(英検2級レベル)を取った生徒もいる。また、中学生学力推移調査では、偏差値60くらい取った生徒もいる。
ただ、模擬試験の偏差値で測ると、日本の英語教育特有の文法問題では、点数は思うほど伸びないこともある。しかし、海外の人とコミュニケートしたりプレゼンしたりする力は確実に付いている。例えば、1枚のイラストを見せて会話をさせると、1分以上会話が続けられる。中学1年から、テーマを決めてプレゼンを発表する機会を授業の中で設けているが、その場ですぐに文を作成して発表することができる。ALTの教員からは、本教材を利用して教えた生徒たちの英語力が非常に高いと評価されている。
現状は英語力を模擬試験の点数で評価することが多いが、“英語の力”はどうやって測るのか?というのは日本のこれからの課題だと思う。
Q.利用が向いているクラスや生徒
コミュニケーションのための使える英文法を学びたい、4技能をバランス良く付けていきたい学校や生徒。中学1年生~高校1年生くらいまで幅広く使える。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
現状の受験のための英語学習を目指す学校にはあまり向かないかも。
- 居村俊子
- 中村学園 女子中学高等学校
プロフィール
30年に渡る教員生活の中で、さまざまな学校で教鞭をとってきた。 公立中学・高校、私立の中高一貫校・高校・大学・短大、男子校、女子校、共学を経験。 現在は、九州初のCambridge Englishを教えていくために初心に返り、教授法の勉強をしている。(手に持っ…