ライティングメソッド
最終更新日:2022年2月23日
- おすすめしたプロフェッショナル
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阿部貢 / 宮崎日本大学中学校・高等学校
ライティングメソッド
啓林館
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
生徒が英作文をPCやタブレット、スマホなどで入力し、ネット上で海外の添削者に提出できる教材なので、日本人の教員では時間が掛かっていた英作文の添削の手間を省略できる。添削者は、出版社のトレーニングを受けた外国の大学生がメイン。顔写真が付いているので添削者の顔を見ることができ、生徒にとって「知らない国の知らない人だけど、こういう人が添削してくれたんだ!」という楽しみがある。一人一人にコメント付きで添削が返ってくるので、生徒たちのモチベーションが上がり、宿題としてやらされているという感覚は軽減される。
Q.困ったところや改善してほしいところ
提出から添削までの時間が掛かりすぎるのが問題。今年はコロナの影響で、現地の学生たちが自宅にいる時間が多く、添削が即日に返って来るなど、迅速に対応してもらえた。しかし、コロナが明けて普通の生活に戻ったら、コロナ前のように添削に1週間以上掛かることもあると思う。また、添削者はバングラデシュや東南アジアの学生たちが多く、イギリス式のつづりで添削されることがあり、生徒が混乱することがたまにある。出版社が、日本はアメリカ式の英語学習だと指導はしているようだが、さらに指導を徹底してほしい。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
本教材は、英作文に特化した教材で、英語進学科と特別進学科の1年生を対象に導入した。これまでは、ライティングは日本人の教員では添削が難しかったり、時間が掛かったりということが教員にとって課題となっていた。本教材は、生徒がPCやタブレット、スマホから、テーマに沿って英作文を入力し、ネット上で提出すると、外国の大学生が添削してくれる仕組みになっている。日本人視点の添削だけではなく、さまざまな背景を持つ外国人の視点で英作文力を評価してもらえる。
Q.実際の使い方
本教材は、1冊にレッスン1~10まであり、英語表現の授業の中で月に1回くらいのペースで扱う。1レッスンの構成は【①テキストで基本表現を学ぶ→②空所補充の問題→③語彙の並べ替え問題→④基本文を書く→⑤最後に自分で作文を書いて提出】という流れになっている。①~④までは、事前に宿題として家で行わせ、⑤の実際に作文を書く部分を、授業内でiPadを渡して書かせる。最初は30分くらい掛かっていたが、力が付いてくると10分~15分程度で書けるようになった。
⑤の部分は、各レッスンごとにテーマ(問題)が2つある。1問目はテキストに出ている表現例や単語を使って文章を作成する問題、2問目はそこから派生した類似問題で、すべて自分で考えて作文する。
例)基本表現:「My favorite subject is…」
作文テーマ:1問目:好きな教科は何ですか?それはなぜですか?
2問目:学校生活でいちばん好きな行事は何ですか?それはなぜですか?
どちらの問題を選ぶかは、生徒のレベルに応じて教員が決める。作文を書き終わったら、送信して、添削を待つ。添削が返ってきたら、間違えた部分は教員がチェックし、「リライト」機能を使って間違えた箇所の訂正をさせる。
Q.使ってみた結果
英語進学科の生徒たちから「英検の一次試験のライティング問題や、GTECのライティングのパートが苦にならなくなった」という声が上がっている。導入して2~3年が経過し、具体的なデータを出してはいないが、導入してからGTECのライティングの平均スコアは上がっていると思う。
Q.利用が向いているクラスや生徒
生徒のライティングの力を伸ばしたいけど、なかなか日本人教員では指導しきれない、時間が割けないという学校やクラスで、補助教材として用いることをお勧め。大学入試対策ではないので、進学校ではなくても利用できると思う。書くことに苦手意識がある生徒のハードルを下げることができる。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
すでに英文を書くことに抵抗がない生徒や高いレベルを目指す進学校だったら、もう少しレベルの高い教材が良いと思う。
- 阿部貢
- 宮崎日本大学中学校・高等学校