英語を楽しんでから復習する学習スタイルが実現できる、自然と生徒が発話するようになる中学教科書
最終更新日:2023年1月18日
- おすすめしたプロフェッショナル
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M.S先生 / 名古屋女子大学中学校・高等学校
Sunshine
開隆堂
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
2021年4月より本書を使用し1年半が経過した。昨年度中1だった生徒を現在も持ち上がりで指導しているが、個人的に大きな目標としている「英語嫌いな生徒を減らす」ことが実現できている実感がある。生徒たちから本書での授業に不満の声を聞くこともなく、楽しそうにコツコツと取り組んでくれていて非常に嬉しい。アクティビティーが中心の教材だからこそ生徒の姿勢も前向きになるのだと思う。確認テストで日ごろの授業の定着度も確認しているが、大きな問題もない。また、リーディングのテーマは世界を身近に感じられるようなものも多く(例、世界のストリートフードや祭りについて)英語の授業を通じて世界に目を向けるきっかけになるのではと感じる。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
6コマ漫画と簡単なリスニング、ライティング部分のScenesからリーティング部分Thinkへのリンクが弱いところがある。それぞれ独立したパートなので仕方ないのかもしれないが、できればもう少し内容がつながっているとリーディングがしやすいと思う。また、mayやshouldなどの助動詞が細かいところであっさりと登場し見落とす可能性がある。とても重要なので授業内での補足説明等が必要だろう。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
以前はZ会のNEW TREASUREや東京書籍のNEW HORIZONを使用していた。難易度が高かったり、逆に必要最低限の内容にやや不安になったりと、しっくりくるものがなく試行錯誤をしていた。令和3年度より中学校では新学習指導要領が導入されることになったので、このタイミングで改めて教科書選定を校内で行い、単語レベルが高く「協働学習」の要素が多かった本書を導入することに決めた。英語を基礎から学ぶ中学生にとって、「英語を嫌いにならない」ようにすることは非常に大切だと考えている。協働学習を中心に学べる教材を採用することで、少しでも英語を楽しく学んでもらえればと思った。実際のところ、導入を検討していたあたりからコロナ禍になってしまい、現在も多くの制限がある。
状況(クラスの人数やレベル):
2021年4月より、中1から中3にて本書を使用。本年度は中2を担当している。本書はシリーズ1~3まであるため、学年ごとに1年に1冊進めている。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
導入にあたり、本書の著作者の一人である上越教育大学の大場浩正教授にオンラインでお話を伺った。教材の魅力を直接お聞きできたことで、「教員にとっても生徒にとっても使いやすい教材である」と確信を持つことができ、自信を持って本書での指導にあたれている。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
1冊は8つのプログラム(ユニット)で構成され、1つのプログラムは大きく5つに役割が分かれている。とびらから最後のInteractまででおよそ9~10ページ。(見開き5ページ)
①とびら:導入。テーマに関するリスニングや、そのプログラムの目標(Goal)を確認する
②Scenes:左ページには2コマずつ、計6コマのカラー漫画。右ページは簡単なリスニングとライティング
③Think:70字~100字程度の短めな会話文が3題、コラムや絵とともに。内容理解を深める
④Retell:音読、絵や写真を見ながら自分の言葉で話し、伝える
⑤Interact:左ページにてライティングやサマリーなどの即興のやり取り。右ページは文法説明欄
②Scenesのカラー漫画は、1 2 3 の3パートに分かれており、それぞれ2コマずつある。分かれてはいるが、 1~3 までストーリーがつながっており登場人物も同じなため、スムーズに読める。2コマでもちょっとした落ちのある内容のため生徒たちが楽しめているようだ。
(例)プログラム3「Taste of Culture」 2 より
ベン:Your dance steps are great!
亜美:Thanks. I enjoy dancing every day.
ベン:We have a math quiz today.
亜美:Please stop talking about it.
また、4技能5領域を活用しながらパフォーマンス力を高めるためのアクティビティーとして、Our Projectが用意されている。これは本書のシリーズ1~3の合計で8か所配置されており(1年次と2年次に3つ、3年次に2つ)「3年間で最終的にどのような力を生徒たちに身に付けさせたいか」を示してくれるので、教員は逆算して考えながら各学年の指導に活かすことができる。例えば1年次には「あなたの知らない私」をテーマに自己紹介の方法について学び、実際に自己紹介を行う。2年次には「夢の旅行を企画しよう」のテーマでグループプレゼンテーションに挑戦する。そして3年次の最後、Our Project8では「あなたの町を世界にPRしよう」というテーマで、外国人に地元のものをPRするプレゼンテーションを実施する。始めは自らに向いていたベクトルも、徐々に周りの人や「世界」に向きながら広い視野を学べるようなテーマになっている。生徒たちはOur Projectにも真面目に取り組んでいるが、実際に海外の方と交流をする機会がこの数年なかったことが残念であった。今後は直接の交流や体験も取り入れ、実体験として学びを楽しんでもらえたらと感じる。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
現在、本校の中2では1コマ45分の英語の授業を年間150コマ実施している。1つのプログラムのおおよその進度は、①とびら②Scenesで3コマ、③Think④Retell⑤Interactで9コマ程度の、合計12コマで学期ごとに2,3のプログラムを進めるイメージ。授業中に他の副教材も扱うことがあるためコマ数は多少前後する。
指導する上での工夫:
本教材を購入すると使うことができる「教員用指導案」や「ワークシート」が大変使いやすいため、これらを上手に活用しながら授業を進めている。指導案には授業中に使える小ネタとして、Small Talkが載っていて参考になる。ワークシートは本書のディクテーションやライティング箇所でそのまま使用でき、準備が楽になった。私は指導案を参考にしながら授業用のPPTを自作しているが、そうすることで授業中の板書時間を減らし、生徒とのコミュニケーションに多くの時間を確保できるように工夫している。また、担当学年である中2は、まだノートを書くのがゆっくりなことも多い。重要なことをしっかりと書けるように急かさずに待つことを大切にしている。
Q. 使ってみた結果
協働学習含むアクティビティーが中心の教材なので、教員ではなく生徒たちが英語を話す時間が自然と増えた。成績にどのように反映されているかは詳細には調べていないためわからないが、生徒たちも不満を持つことなく前向きに授業に取り組めている。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
本書はシリーズ1~3(中1から中3用)と徐々に内容も難しくなっているため、続けていけば無理なく英語力を高められる。高校に向けて英語力の基礎を固めたい中学生に向いていると思う。テキストの構成もシリーズを通して変わらないため安心感もあり、生徒たちの吸収力も上がっていくと感じる。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
使用されている単語レベルは平均的な検定教科書よりもやや難しいと感じるため、単語を覚えることに不安を感じる生徒が多いクラスには向いていないかもしれない。
- M.S先生
- 名古屋女子大学中学校・高等学校
プロフィール
大学院卒業後本校での勤務を始めて今年で12年目。中学時代は英語が苦手で嫌いだったが、高校に入って文法を理解した頃から英語がわかるようになり、好きになった。自らの経験により生まれた「英語嫌いな生徒を減らしたい」という大きな目標を胸に、日々生徒と向き合っている。 …