明解な文法解説&豊富な語彙が魅力!参考書感覚で使える教科書
最終更新日:2023年5月12日
- おすすめしたプロフェッショナル
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佐藤 啓 / 大阪薫英女学院中学校高等学校
NEW TREASURE ENGLISH SERIES Third Edition Stage1
Z会
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
一般的な検定教科書と比べると単語数が2.5倍ほど多いので、多くの語彙を学べるのが良い。文法項目がキレイにまとまっているので参考書のようで、生徒たちが後で見返す時にも使いやすい。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:7年前の平成27年に導入。
本校は中学3年生でほとんどの生徒が留学に行くため、使える英語を身に付けさせることを指針として、文法指導よりコミュニカティブな部分に比重を置いて指導を行っている。そのため、文法指導をできるだけ簡潔に分かりやすく行える教科書が望ましい。以前に使っていた教科書は、文法説明がシステマティックになっていなかったので扱いにくかった。状況(クラスの人数やレベル):
中学1年と2年で、Stage1とStage2を使用している。(中学3年は『Evergreen』を使用)
いずれの学年も1クラス20人×2クラス程度。入学時の英語レベルは幅広いが、3年かけて中学卒業までには準2級~2級を取得する感じのレベル感。他の類似教材ではなくなぜこれか:
本書は教科書の中で文法項目の整理がしっかりされている。本文の横に文法説明が載っていて参考書のようになっているので、生徒たちが後で見返す時に便利だと思った。また、掲載されている単語量が一般の検定教科書と比べるとかなり多いのも採用ポイントとなった。通常、公立の中学校で採用されている教科書の単語数は、新指導要領でも中学3年間で1200語ほど。それに対し本書は3000語の単語が収録されている。Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
全体で12のレッスンがあり、ほとんどのレッスンは3セクションで構成されている。1セクションは見開き1ページで完結する。左側上部に本文、下部に「Use&Check」というパターンプラクティスのセクション、右側ページはすべて文法解説で、1レッスンにつき3つの文法項目が扱われている。
(例:レッスン1-1「be動詞 肯定文」1-2「be動詞 疑問文」1-3「be動詞 否定分」)
各レッスンの終わりに「Read」(見開き1ページ)や「Action」などアクティビティで活用できる題材が載せられている。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
英語の授業は週5単位(1単位50分)で、授業構成は2時間で1セクション(1週間で2.5セクション)進む。加えて「Read」を扱うときは3~4時間かけるので、2週間で1レッスンを終えるイメージ。授業は基本All Englishで行う。1セクションは下記の流れで扱う。
1時間目:言語活動。授業の冒頭15分は帯活動があり、学年によってフォニックス、サイトワーズ、パターンプラクティス、1分間の即興トークなど、少しずつ内容を変えて行う。
その後、教科書のトピックに基づいて、教材は自作のプリントを使用する。まず教員がそのレッスンの文法項目を使ってSmall Talkを行う(例:世界の国の紹介、本校の先生たちの好きなこと、など)。次に生徒に質問をして、教員のトークを真似てアウトプット。さらにオリジナルのワークシートを配って、実際にその文法項目を使いながらアクティビティを行う。(例:中1で「Can」を扱ったときは、16分割のマス目にフレーズだけ入れたビンゴシートを使って、Canを使った文を作り、友達にインタビュー。早くビンゴした人が勝ち!など)
2時間目:最初に新出単語→教科書を開かず本文に関してのクイズを3題→ここで初めて教科書を広げてリーディング(内容理解をして、音読。音読は50分のうちの15分程度。リーディングメニューを30種類くらい作っているので、そこから5種類を選んで行う)→最後に文法解説を行う。解説の部分だけはしっかり理解できるよう日本語で行う。
指導する上での工夫:
レッスンに導入するときのSmall Talkによって、教科書の内容に対する生徒たちの興味付けを行うように工夫している。本校は中3で留学するので、それを念頭に置いて学年ごとのテーマを設けている。1年生は「自分の事や身の回りのことを話せるようになろう」というテーマで、例えば「Canを用いて自分や友達ができることを話す」ということから、3年生では「日本と海外の文化の比較」をテーマに「Canを用いて、日本人ができることを紹介しよう」という感じに、徐々に意識を留学に向けている。なお、通常の英語の授業に加えて、ネイティブ教員との英会話の授業が週2時間あるので、具体的なシーン別の会話はその時間に学ぶ。
Q. 使ってみた結果
本書だけで特別何かの力が伸びたかは分からないが、4技能という観点では、2nd Editionに比べたら、「Action」などのアクティビティを通してしゃべらせようという工夫が感じられる。ただどんな教科書も授業の展開方法が重要なので、教員たちの技量に掛かっているところが大きいとは思う。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
本文のトピックのレッスンごとの関連性があまりないところがあるので、ストーリー性がもう少しあると生徒たちも読んでいて楽しめると思う。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
語彙が多く、文法項目の整理が良いので、本書を採用している学校は英語力高めの学校が多い。そういう学校には向いていると思う。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
文法項目を押さえるのには良いが、文法そのものが苦手な生徒には向かない。そういう生徒にはもう少しアクティビティ多めの教科書の方が良いかもしれない。
NEW TREASURE ENGLISH SERIES Third Edition Stage2
Z会
- 佐藤 啓
- 大阪薫英女学院中学校高等学校
プロフィール
大阪府出身。在学中にアメリカ留学を経験し、英語を活かした仕事を目指していたが、教員に限定はしておらず当初はメディア関係のインターンを受けていた。 大学卒業後、京都府の公立中学校で2年間勤務。その後縁あって現在の勤務校である大阪薫英女学院中学校高等学校に勤務。今…