【第二弾】教科書作成のプロに聞く!「ZESTAR 総合英語」はこうして生まれた!

最終更新日:2021年6月20日

昨年度となる2020年度まで立命館中学校・高等学校でマイスターティーチャーを務め、今年の4月からは札幌大学の教授に就任。これまでに10冊以上の英語教材を世に送り出し、英語教育者向けセミナー「英語教育今井塾」も主催する今井康人先生に、ご自身の著書である『ZESTAR』と、「教材作成」についてお話を伺いました。第ニ弾の今回は、監修者自らが語る「『ZESTAR』のススメ」をお届けします!

( 全3回のうちの2回目。第一弾 / 第ニ弾 / 第三弾

 

今井 康人(いまい やすひと)

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札幌大学教授。1982年に北海道立高等学校教員採用試験に合格してから、北海道立上の国高校、北海道立札幌拓北高校、北海道立函館中部高校の3校で28年間勤務。その後、立命館慶祥中学校・高校(札幌市)に3年間勤務し、2020年度までの7年間は立命館中学校・高校(京都)に勤めた。

どの学校でも英語科主任として活動し、立命館慶祥中学校・高校と立命館中学校・高校ではマイスターティーチャー(指導教員)も務めた。

 

【教材の工夫①】英語を「内在化」「自動化」できる

会話をしているとき、単語が分からないからといって辞書を引く余裕はありませんよね。コミュニケーションが成立しなくなってしまいます。日本語であれば、音で聞いた情報を理解して、思考して、瞬時に返答して、という「聞く⇒考える⇒話す」を間髪入れずに行えます。それを英語でできれば日本語と同じように使うことができると考え、これを「英語の自動化」と僕は呼んでいます。

幼い子どもが話す日本語も、最初はたどたどしいですよね。「まま」、「ごはん」と最初は単語を覚え、「まま、ごはん、たべる」と単語の羅列ができるようになり、「ママ、私ご飯食べたい」と文章で伝えられるようになります。

英語を理解し、内在化し、発信する。このin-put、in-take、out-putの3点は、僕が教材を作るときの基本コンセプトです。「英語の自動化」についてはアルクから出版されている「英文読解Gトレ」や「英語を自動化するトレーニング」に詳しく書いてあるので、ぜひ手に取ってみてください。

 

さて、今までの英文法の授業は、新出文法の解説⇒演習問題を解く⇒答え合わせと解説 で終わり、という流れが多かったように思います。しかし、「ZESTAR」は英語の内在化のためのPPP(=Patern Practice Pair-work)が行えることが特徴です。

pppとは独自に研究開発した勉強法です。音声で英文法の問題を解く手法で、ペアワークにおいて生徒(A)が問題を読み、その答えを言う⇒生徒(B)が答えを見ながらその場で生徒Aの答えの良し悪しをジャッジする⇒次にAとBを入れ替えて再度行う、という方法です。

このPPPはSpeaking、Listening、Writingの3技能全てで行うことができるので、「ZESTAR」では短時間で効率的に学習できます。

 

【教材の工夫②】ネイティブ視点のコラムが充実

「ZESTAR」の特徴の1つである「Imai’s Room」、「Peter’s Room」というコラムには、「ネイティブはこのように英語を使っているのか」という具体的な豆知識が出てきます。「英語って面白い」という気持ちが出てきたら学びはそこから加速していきます。

「実際に英語を使っているネイティブの考え方を教えるコラム」が他の教材には少ないことから、「Imai’s Room」と「Peter’s Room」は、「ZESTAR」を使った先生方からご好評をいただいてます。これは、「ZESTAR」のコンセプトの1つである、「Situational Grammer」に該当し、「ある英文をその状況においてどう使うか?」を詳しく解説しています。

 

【教材の工夫③】物語設定で長期記憶にアプローチ

「ZESTAR」は地元密着型教材と言われることがあります。確かに、函館の地名や施設名が例文やストーリーの中にたくさん出てきますが、この理由は編集委員のほとんどが函館に住んでいたからです。検定教科書だと全国から編集委員が集められることもありますが、「ZESTAR」は、例文を作るNativeの先生も含め、函館や札幌で普段から一緒に教育活動をしている顔なじみのメンバー達とで作りました。

全国の英語学習者に向けて作ったので函館限定の教材ということはありません。しかし、今まで目にしてきた教材の中には、学習者から「かけ離れている」というか、「血が通っていない」印象のものもありました。そこで、「ZESTAR」は作っている人の生活感を含ませることも特色の1つにしていたので、自然と地域愛が表現されたのですね。

特に例文は、担当してくださったピーター・キーン先生が勤めていらっしゃる遺愛女子中学・高校での日々の出来事などを基に例文を作っているので、英文法をマスターする中で高校生が親しみを持ちやすい内容になっています。また、今までの教材は「ユニット1は新聞記者の話」、「ユニット2は地理の話」と、内容のつながりがないので短期記憶止まりになってしまい、生徒の頭に残りにくっかたのです。しかし、「ZESTAR」は1冊を通して例文がストーリーとしてつながっているので、物語としてコンテンツを覚えるので長期記憶になり、生徒の頭に残りやすくなりました。

 

『ZESTAR』のススメ

「総合英語」というのはどの本も分厚くて重くて、多くの場合、本棚でほこりを被っていることが多いようです。そこで、研究開発した手法が「教えない英文法」です。

あらかじめ「来週はこの章をやります」と生徒に伝えます。すると、生徒はその章の全てのページを読み、「なるほど」と気づいた部分をノートに書き出します。そのノートを教員が週に1回、授業で生徒が音読練習をしている間にチェックします。こうすることで、生徒は必ずこの本の全編を読むことになりますし、「ZESTAR」は全部で22章ありますが、1年間で1冊を終わらせることができます。

全22章のストーリーを徹底的に音読し、理解できれば、英語力が非常に上がると思います。また、高校生だけでなく、一般の方が大人になってから英語を学び直したいと思ったときにも使える一冊です。全体を通して例文がストーリー仕立てであることに加え、重要な英文は全てダイアログ(会話文)になっており、すぐ横に和訳も付いています。

私自身も「ZESTAR」を高校1年生で必ず利用しています。自信があるからこそ、著者自らこの教材を使っています。この本特有の解説や目的も伝えやすく、生徒も興味を持ちやすいです。

オンライン英会話、学習アプリ、英語教室など、たくさんのものに手を出すとお金も時間もかかり苦労しますが、本書1冊を徹底的に学ぶことで総合的な英語力は全てカバーできます。複数の技能が向上できる本書が1,450円で手に入るんです!

音声もダウンロード可能なのでいつでもリスニングすることができます。読んで使って、ぜひ多くの人に英語力を高めてほしいです。

 

【続きを読む】 【第三弾】教科書作成のプロに聞く!「ZESTAR 総合英語」はこうして生まれた!

 


今井 康人(いまい やすひと)

1960生まれ。北海道北見市出身。

 1982年に北海道立高等学校教員採用試験に合格してから、北海道立上の国高校、北海道立札幌拓北高校、北海道立函館中部高校の3校で28年間勤務。その後、立命館慶祥中学校・高校(札幌市)に3年間勤務し、2020年度までの7年間は立命館中学校・高校(京都)に勤めた。

どの学校でも英語科主任として活動し、立命館慶祥中学校・高校と立命館中学校・高校ではマイスターティーチャー(指導教員)も務めた。  

2003~2010年までの8年間、北海道立函館中部高校SELHi研究主任などを務め、音読・暗写を核とした英語学習法「HCラウンドシステム」をチームで開発・実践し、注目された。

2006年8月バスケットボール世界選手権(札幌)ではおいて通訳業務を行う。1996年から2013年まで実用英語技能検定面接委員を務めた。2006年6月東日本地区ALT約1000人にプレゼンテーションを実施し、好評を得る。英語授業研究学会会員。また、数名の有志と協力し、英語指導勉強会「METS Hakodate」を開催し、毎月一回土曜日に英語教員のための勉強会を開催していた。

 2021年4月から札幌大学 地域共創学群 人間社会学域 英語専攻 教授に就任。

現在、英語教員を目指す学生とともに効果的な英語教授法を研究開発している。過去38年間、高等学校で教鞭をとってきた。2014年6月に新英作文指導法「SSCC(同時自己添削英作文)とCOC(連鎖意見英作文)」を研究開発。その指導法は全国に広がっている。また、各出版主催の英語教育セミナーを全国(東京、大阪、札幌、仙台、名古屋、福岡など)で1年に10回程度行ってきた。さらに、「北の英語大学」を毎年1月の上旬に開催し、2泊3日の合宿には日本全国の英語教育関係者が参加し、さまざまな授業手法を学び、教員のスキルアップにつなげている。2020年度はオンラインのウェビナー形式で開催。

さらに、英語教育今井塾(現職英語教員対象)を展開し、1年に3回程度英語教育セミナーを開催し、後輩の育成に尽力している。趣味はJAZZ、コーヒー焙煎、写真撮影。日々、教育実践、著作、講演活動を行っている。

 

著書

英語の発信力を強化するレッスン』(青灯社)(単著)

英文読解 Gトレ(標準編)』(アルク)(単著)

英文読解 Gトレ(応用編)』(アルク)(単著)

ゼスター総合英語』(監修・分担執筆、Z会出版)

英語力が飛躍するレッスン』(単著・青灯社)

Hokkaido – A wonderful world』(共著、文英堂)

DVD『北の英語大学~英語教育実践の達人から学ぶ~(今井康人先生の講義)』(ジャパンライム)

COMET英単語』(数研出版)(執筆)

『Rapid Reading Level 1~3』(美誠社)英文速読教材(単著)

Active Writing』(啓林館)英作文問題集(監修・分担執筆)

文部科学省検定教科書 Departure English Expression Ⅰ(平成24年4月検定済み)

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