【第三弾】教科書作成のプロに聞く!「ZESTAR 総合英語」はこうして生まれた!

最終更新日:2021年6月26日

今井康人先生の旗印のもと、「ZESTAR」制作には教育への熱い情熱を持った先生方が集まりました。著者の一人として、比較や仮定法などのパートを担当されたのが瀬戸伸晴先生です。大学在学中にアメリカのイリノイ州立大学への留学を経験され、帰国後は函館NHKラジオ英会話への参加、さらには函館の私立高校での特進コース開設の責任者、進学指導部長、教務部長、教頭を務められました。現在は、3つの高校で非常勤講師として授業を持ちながら、裁判での通訳なども務めています。多様なご経験を持つ瀬戸先生から、「ZESTAR」のご紹介はもちろん、英語教育へのこだわりや思いをお聞きします!

( 全3回のうちの3回目。第一弾 / 第ニ弾 / 第三弾 )

 

瀬戸 伸晴 (せと のぶはる)

南山大学 外国語学部 英文科卒業。大学在学中にアメリカ・イリノイ州立大学へ留学し、Political Scienceを専攻。

帰国後は函館大学付属有斗高校にて英語教員として24年間勤め、2010~2014年までは教頭も勤める。

退職後は市立函館病院看護学校でも非常勤講師として勤める傍ら、函館善意通訳会の会員として、外国客船の歓迎式典の通訳や外国人観光客の通訳ガイドなどを行う。

現在は、函館ラ・サール高校、函館白百合学園高校、遺愛女子高校にて非常勤講師として学生への指導に当たっている。

 

今井先生に誘われて『ZESTAR』へ

今井先生が以前主催されていた「METS」という勉強会に私も参加していました。毎週土曜日、函館市内の中学・高校の英語教員、ALTの先生、そして、函館未来大学のネイティブの先生など、10名程が集まり、英語の研究会や研究授業を行っていました。そこで執筆参加に誘われたのが、「ZESTAR」作成に携わることになったきっかけです。

「ZESTAR」では、比較と仮定法、否定、代名詞の章を担当しました。特に比較と仮定法は一番難しいとされている部分で、著者6名のうち、誰もやりたがる人がいなかったんですよ(笑)。Z会から「他の出版社の定番文法書に勝てる内容で」というリクエストもあり、自分の勉強にもなるかなと思い引き受けました。

他の文法書にない特徴は、例文を担当されたピーター・キーン先生が、各章の表現を使った会話文を1冊通してストーリー仕立てにして書かれている点です。高校生が日本全国を旅行するストーリーになっているので、学生にとって親しみやすい内容です。

 

僕が比較や仮定法を担当したように、章ごとに担当者がいて、それぞれ担当箇所の原案が出来上がった段階で、全員で確認と意見交換を行いました。そこで一番こだわったのは分詞構文でした。日本の文法書における分詞構文は、副詞的にさまざまな意味があって難しいのですが、アメリカの文法書では「主語にかかる形容詞句」と、とてもシンプルに書いてあります。これを主張したところ、「確かにそれは事実だが、日本で必要とされる説明とは異なるので、Peter’s Roomに載せよう」ということになりました。Peter’s Room、 Imai’s Roomにはそういった豆知識が織り込まれています。

今は非常勤講師なので使っていませんが、現役の教員だったときは特進クラスなどを対象に「ZESTAR」を使っていました。「ZESTAR」の「Grammer Lesson」という演習問題集から宿題を出したり、小テストの問題にしたりしていました。残念ながら、現在、函館の私立高校で「ZESTAR」を使っている学校は恐らくありません。しかし、教員になった教え子と再会したときに「『ZESTAR』が一番分かりやすい」と言ってくれたときはうれしかったですね。

 

大事なのは『勉強の仕方』

教育現場によっては、文法をあまり教えず、ただ「単語の意味だけを暗記しなさい」と指導したり、1つの英単語に対して1つの和訳しか覚えさせない、品詞を教えない学校や塾などがあります。しかも一昔前の教え方にこだわり、「言葉は後ろから前にかかっている」と英文を行ったり来たりしながら全文を和訳させたりまします。

しかし単語は品詞も一緒に教えなければ、高度な文章で単語が複雑に変形するときに理解できません。さらに実際に英語を使う場では、その都度、全ての長文を和訳する時間はありません。これでは立教大学の鳥飼久美子先生がおっしゃるように「日本の英語教育は崩壊」してしまいますよ。長文を読む際には、語順の通りに意味をつかんでいくことも大切です。僕は生徒に「前から文節ごとにスラッシュを付けて、必要なときだけ和訳すれば良いんだよ」と指導しています。

英語を教えるときに大切なのは、勉強の仕方を伝えることだと僕は思っています。ただ「教材を渡す。暗記させる。解答を渡す。」で終わらせていては、本当の意味での英語力は身に付きません。

そのために、生徒には英英辞書を参照する大事さを伝えています。”improve”は英和辞典だと「上達(する)、改善(する)、向上(する)」ですが、それ以外にも英英辞典に記載されている”get better”,”become better”というイメージを持っておくことが大切です。

さらには、国語力の育成も重要です。国語の先生ともよく、母語である日本語の力を付けた上で英語を学ぶ必要性を議論しています。例えば、国語力があれば、“have”は「持つ」という意味だけでなく「いる/ある」という存在を示す単語だとすぐに理解できると思います。逆に、国語力がなければ言葉の持つ概念を理解することが難しく、その結果、英語がしっかり身に付かない可能性があります。

その他にも、生徒に興味を持ってもらいやすいように、エンターテイメントも積極的に活用しています。仮定法や関係代名詞など、授業で扱っている文法が出てくるシーンを中心に、“Back to the Future”や“Star Wars”などの映画を活用しています。音楽も、Beatlesや、Karen Carpenterの発音が聞きやすいCarpenters、イギリス英語の勉強にはQueenが使えますね。

 

文法書を選ぶ教員、学習者たちへ

言葉は変わります。最近、ネイティブに聞いてみたところ、昔と意味が変わっている言葉がありました。古い辞書の中の意味と相違点があるとか、指導方法が変わってきたとか、変化は往々にしてあります。教材もそれに対応していかねば。

センター試験から共通試験に変わったことによって、試験範囲から文法・語法はなくなりましたが、長文を読むためには最低限の文法知識は必要です。しかし、ただ細かく書いてあるだけでは分かりにくい。定番を選んでも良いし、少しレベルの高い「ロイヤル英文法」も良いと思います。ただ、大切なのはシンプルで分かりやすい文法書であることだと思います。個人的には単元の最初に「〇〇とは…」と説明が書いてあるものが良いと思います。

 

大学入試で問われる内容が変わり、長文の読解やリスニングが必要な試験に臨むために、生徒自身が読んで分かりやすいと思える文法書を選んでください。

 


瀬戸 伸晴 (せと のぶはる)

1957年生まれ。北海道函館市出身。

南山大学 外国語学部 英文科卒業。大学在学中にアメリカ・イリノイ州立大学へ留学し、Political Scienceを専攻。

帰国後は函館大学付属有斗高校にて英語教員として24年間勤め、2010~2014年までは教頭も勤める。その間、NHKの番組で外国人タレントが函館近郊の大沼湖畔で収録をする際の通訳や、国体の水泳大会が函館の市民プールで開催され、北海道チームの合同練習にアメリカの元ナショナルヘッドコーチを呼んで合宿した際のレクチャー時の通訳を勤めた経験もある。

退職後は市立函館病院看護学校でも非常勤講師として勤める傍ら、函館善意通訳会の会員として、外国客船の歓迎式典の通訳や外国人観光客の通訳ガイドなどを行う。

現在は、函館ラ・サール高校、函館白百合学園高校、遺愛女子高校にて非常勤講師として学生への指導に当たっている。

ZESTAR監修の今井先生とは長年交流があり、今井先生が立ち上げたMETS Hakodateという英語教育研究会には立ち上げ時から参加し、現在は今井先生主催の「北の英語大学」にて事務局長も勤めている。

 

著書

ZESTAR 総合英語 (Z会)

Active Writing (啓林館)

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