【英語指導最前線】「TANABU Model×音読アプリ」実践レポート〜ICTが可能とした新たな音読練習指導法とは〜

最終更新日:2021年8月19日

奇跡の英語授業モデルと称され、2017年にアルクから書籍が出版されるや否や、大きな反響を呼んだ「TANABU Model」。教科書をベースにしながらも、各Lessonの扱いに濃淡をもたせることでアウトプット活動を充実させるその方法が、注目を集めました。

一方で、良質なアウトプット活動のためには良質なインプットが不可欠です。「TANABU Model」の基礎とも言えるインプット = 音読練習を授業だけで十分に行うのは難しく、授業以外で徹底的に行うには、ICTツールの普及を待つ必要がありました。

しかしGIGAスクール構想が実現したいま、ようやく音読練習を宿題としてアプリに任せた反転授業が可能になり、「TANABU Model」のポテンシャルを120%発揮できる環境が整ってきました。

今回の 英語教材ナビ×TALK! では、最新の音読アプリを使って「TANABU Model」を実践する麗澤瑞浪高等学校の浜村先生に、音読アプリ・リピートークを開発・提供するコトバンク株式会社・代表取締役の小泉がお話を伺いました。 

※このイベントは2021年7月に開催されたものです。

 


◆まずは…麗澤瑞浪・浜口先生のご紹介から


(小泉)まず最初に、教員になったきっかけについてお聞かせください。

(浜村先生)私自身がここの卒業生ということが大きいですね。もう帰ってこないだろうと思っていたんですけれど(笑)。留学をしてみて「どうやらここの教育っていろいろすごいんだな」と思い、戻ってきた感じです。

 

(小泉)昔から教員志望というか、教育に関わりたいという気持ちはあったのでしょうか?

(浜村先生)そうですね。ずっと興味はありました。

 

(小泉)留学をしたということは、もともと英語はお好きだったんですか?

(浜村先生)英語は、小さい頃から好きでしたね。

 

(小泉)留学はいつ頃、また留学先はどのあたりですか?

(浜村先生)大学生の頃に、アメリカ・カリフォルニアのデイビスというところで1年間ほど留学しました。

(小泉)そうなんですね。ちなみに、英語が好きになった理由はなんだったのでしょうか? 

(浜村先生)まだ英語の知識が全然ないとき、それこそ小学1年生くらいの頃から、英語への関心はかなりありました。

子供の頃、自宅に「101匹わんちゃん」のビデオがありまして。「日本語の吹き替えと原語の英語を同時に再生したら、英語がわかるようになるんじゃないかな?」って思ったりするような子供でした。まぁわからなかったんですけどね(笑)。

もうちょっと大きくなってからも、英語を勉強することで、それまでまったくわからなかったことがわかるようになる、という喜びがありましたね。

 

(小泉)では、英語の知識が全然ない頃から、海外への憧れというか、英語圏の文化について興味を持たれていたことも、英語への関心が強くなった大きな理由ということでしょうかね。 

(浜村先生)そうですね。学ぶうちに、英語がどんどんわかるようになるのが、とにかく楽しかったですね。 

 

(小泉)今生徒への指導で心掛けていることなどあれば、ぜひ教えてください。

(浜村先生)やっぱり「使える英語」ですね。聴けるように正しい発音で言ってもらったりとか、モチベーションが下がりそうなときはアメリカンコメディをみんなで見たりしながら、「ゴールはここなんだよ」というのを、常にみんなで共有しながらやろうと意識しています。

 


◆「TANABU Model×音読アプリ」の実践法を3部にわけてご紹介


(小泉)それではこれから、英語指導最前線「TANABU Model×音読アプリ」実践レポートということで、お話を伺っていきます。今回は3部にわけて話を展開させていただきます。

1番目が、麗澤瑞浪の英語教育改革。先ほど浜村先生にお話を伺ったところ、まだ教員になって5年目ということでした。そんなフレッシュな立場で改革を担うという重責を負うことになった、浜村先生のストーリーが2番目です。その改革において重要な役割を果たすことになる「TANABU Model」について、いろいろとお話をお聞きします。

そして最後は「TANABU Model」の音読パートにおける、音読アプリ・リピートークの活用法についてです。

 


 ◆麗澤瑞浪の教育改革プラン「5本柱」とは?


(小泉)貴校について少し教えていただけますでしょうか?

(浜村先生)大自然に囲まれた風光明媚な場所にあります。ちなみに全学生の約6割が寮生でして、そのため全国各地から学生が集まっています。最近は保護者が海外在住で、本人も日本人学校から当校に移ってくるというケースがあったり、実家がそもそも海外にあるという生徒もいたりします。地方にありながら人の多様性がある学校ですね。

 

(小泉)母校で教鞭をとることになり、いきなり教育改革という話があったそうですが、その経緯についてお聞かせいただけますか?

(浜村先生)今は少子化が急速に進んでいますよね。そこで当校も、その中で生き残りを考えなければならないという話になりまして。30年、50年ほど先のことを考えると「今から改革を進めた方がいいだろう」ということで、英語教育がその筆頭として挙げられたわけです。

(小泉)少子化が進む中で多くの学校が、それぞれ特色を出し、いかに他と差別化を図るか模索していますよね。貴校では、探究活動・キャリア創造・寮生活・英語教育・ICT活用の計5つの柱を軸に、学校運営を行っていくプランがあるそうで。


●教育改革5本の柱(1)探究活動

(浜村先生)そうですね。今行っていることを挙げると、自分たちで土づくりから始めて、野菜を育ててみるとか。生徒が行うので肥料の与え方などもあまりうまくいかず、枯れてしまうこともあります。では「なぜ枯れたか」を自分たちで考えて調べて、もう1回育ててみたり。

あとはモデルロケットというものを使い、「いかに高く飛ばせるか」を何回も試していたりもします。火薬を使って飛ばしたりなどといった活動を土曜日に実施しておりまして……そういったことが当校の探究活動ですね。

 

(小泉)お話を伺っていると、探究活動は英語教育改革に通じるものがありますね。 

(浜村先生)おっしゃる通りですね。

 

●教育改革5本の柱(2)キャリア創造

(小泉)キャリア創造はどういった感じでしょうか?

(浜村先生)キャリア創造も探究活動とかなり似たところはあるのですが、実際に社会で働かれている方に話を伺って、職業体験をする機会があります。

例えば、動画を作っているクリエイターの方に見てもらいながら動画を作ってみたりとか、おもちゃを作っている会社の代表の方に来ていただいて、おもちゃ作りを実際に体験してみるなどといった感じですね。

(小泉)それは面白そうですね。 

(浜村先生)そうですね。そのときの仕事の視点とか、こう見たらもっと面白く見えるだとか、そういうのを教えていただきながらやっています。

 

●教育改革5本の柱(3)寮生活

(小泉)そして寮生活。これは先ほどもお話に出ましたね。

(浜村先生)そうですね。当校として、これからもっと寮生を受け入れていこうと考えております。寮があるというのは当校の大きな特徴です。寮には寮長がおり、これは生徒が任されています。生徒の自主性を育むいい機会でして。掃除から何から全部生徒が運営していく、という感じでやっています。

(小泉)それは素晴らしいですね。そして最後がこれからお伺いする英語教育とICT活用となるわけでしょうか。

 

●教育改革5本の柱(4・5)英語教育・ICT活用

(小泉)英語教育の改革について現状とゴール、そのゴールを達成するための具体的な行動について教えていただきたいと思います。まずこの教育改革の出発点において、教員の皆さんの現状認識というのはどういう感じだったのでしょうか?

(浜村先生)「英語教育で売る」といきなり言われても、担当教員がそれぞれのやり方でやっていたこともあって、「麗澤瑞浪の英語教育とは何か?」と聞かれたときに、即答できないもどかしさはありましたね。

自分たちの英語教育に自信はあったんですけれど、うまく説明できないというか。これもいいし、あれもいいし……といった感じでしょうか。

 

(小泉)教員同士における英語教育方針の統一が、必要だったということですね。では皆さんのゴールはどうだったのでしょうか? 

 (浜村先生)国公立大学やSGU(スーパーグローバル大学)などに生徒を送り出そうということ、また受験だけではなく、将来的に仕事などで使える英語を生徒に学んでほしいということがありますね。

(小泉)そのゴールを達成するための行動というのが……

(浜村先生)それが「TANABU Model」だったわけです。 

(小泉)すみません、引っ張って(笑)。

(浜村先生)「TANABU Model」と5ラウンドでした(笑)。


◆「TANABU Model」 と5ラウンドを取り入れたきっかけ

(小泉)ありがとうございます。ちなみにこれっていろんなアプローチがあると思うんですけど、その中で「TANABU Model」 と5ラウンドをやろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

(浜村先生)アルクの応援マガジンの愛読者なのですが、そこに掲載されていた記事を目にしたことがきっかけでした。

そこには「『TANABU Model』を活用したら、GTECの伸び率が全国で2位になった」といった記載がありました。これは面白いなと思いましたね。そして同僚のベテラン教員もたまたまその記事を読んでいて、お互いに興味があったということもあり、「TANABU Model」を採用してみようという話になりました。

 

(小泉)そういう教員同士の連帯感って、大事ですよね。例えば何か新しいことを始めようと思っても抵抗勢力がいたりすると、進めるのが難しいと聞きます。先生の母校だったということもあるでしょうが、ベテランの先生と意気投合したということも大きかったでしょうね。

 

(浜村先生)とはいえ何もなくすんなり、というわけにはやはりいきませんでした。もともと皆さんの指導方法がバラバラでしたし、皆さんがそれぞれいいと思うやり方でされていましたので、ひとつに統一するというのはさまざまな議論を呼びました。

ですが当校の場合、ベテランの先生と若手の先生が皆さん共感してくださったこともあって、ここまでやってこれました。

 

(小泉)一筋縄ではいかなかったけれど、この2つを核に据えてやっていこうという話にはなったんですね。 

(浜村先生)そうですね。ネイティブの先生も、「これすごくいいね」と後押ししてくださっていたので、それも大きかったですね。


◆「TANABU Model」 と5ラウンド以外に検討した指導法は?

(小泉)ちなみにですが、「TANABU Model」と5ラウンド以外に検討した指導法って、他にあったりするんでしょうか?

 

(浜村先生)そうですね。あとはオンライン英会話を入れたり、音読アプリのリピートークも活用したりといった感じです。 

(小泉)ありがとうございます。オンライン英会話も「岐阜で初めて採用した」とお話を伺いましたが。

 

(浜村先生)はい、そうですね。採用したのが、まだオンライン英会話自体がそれほど普及していない時期でしたので、いろいろ大変でした。今のようにシステムもしっかりしていませんでしたし。


◆そもそも「TANABU Model」と5ラウンドとは?

(小泉)セミナーをご視聴の方はご存じかもしれませんが、「TANABU Model」と5ラウンドについて、今一度ご説明いただけますでしょうか?

 

(浜村先生)「TANABU Model」は、英語教科書の扱いにメリハリをつけ、アウトプットの時間を生み出し、発表活動に取り組むことを重視する学習法です。教科書を1年で1周するのがなかなか難しいので、精読する部分を作ったり、リスニングと軽いリーディングだけで次に進む……といったようにレッスンごとに濃淡をつけています。

5ラウンドは、文字通りレッスンを5周します。最初はリスニングだけで1周し、次はまた違う形のリスニングだけで1周し、3周目で音読、4周目でライティング、5周目でスピーキングというように、「教科書を5周する」ものです。

「TANABU Model」は、一度ざっと読んで内容をなんとなくわかってから、じゃあ実際どうだったんだろうかと精読していきます。5ラウンドも最初にリスニングをし、実際に音読したり書いたりして、こういう意味だったんだというのを学んでいきます。

(小泉)実際のコミュニケーションに近いですよね。

(浜村先生)そうですね。なんとなく理解して、生徒が「あれ、これどういう意味なのかな?」と思ったタイミングで文法などを説明していくっていう感じですね。

 

(小泉)ちなみに浜村先生は、現在中学、高校のどちらを担当されていますか?

(浜村先生)両方ですね。中学2年生の担任をし、中学2年生に英語を教えながら高校3年生の国公立クラスを担当しています。

(小泉)中高一貫校ならではですね。


◆麗澤瑞浪における「TANABU Model」の運用法


(小泉)ここまで、麗澤瑞浪の英語教育改革についてお話を伺ってきました。続きまして、その中核として位置付けられた「TANABU Model」について、実際にどのように運用されているのかをお聞きしたいと思います。

『レッスンごとに教科書の扱いを変えるTANABU Modelとは』(アルク刊)という本がありますが、浜村先生もこちらを読まれたそうで。

(浜村先生)はい、読みました。

 

(小泉)これはわかりやすい良書で、理論と実践みたいなものがそれぞれ書いてあります。パラっと見てもすぐ活用できる情報が書いてあり、すごく使いやすいのではないかと思います。

そして先生が先ほど「レッスンごとに濃淡をつける」とおっしゃっていましたが、「超こってり」「こってり」「あっさり」「超あっさり」というように濃淡をつけることで、普通だと手が回らないような学習にも着手できるそうですね。

(浜村先生)はい。

 

(小泉)先ほどの本の中に、シートがあるんですよね?

 (浜村先生)はい、そうです。

 

(小泉)それが、A(概要把握:Paragraph chart )、B(概要把握:Summary)、C(内容理解:Comprehension)、D( Vocabulary )、E( Reading practice )、F( Dictation sheet )、G( Story reproduction sheet)です。

「超こってり」だとABCDE、「こってり」だと全部「あっさり」と「超あっさり」だとあまりやらない、といったような感じでしょうか。先ほどの「TANABU Model」と5ラウンドに共通する概要把握から詳細理解みたいなところが、AからGの流れになっていて、だんだん理解していく。そして音読をして最後は表現、Reproductionという流れだと思うのですが……。

貴校でも、基本的には同じ流れで行っているのでしょうか?

(浜村先生)流れは一緒ですけど、全部のシートを使っているかと言われると、そうではないですね。


 ◆現在は「こってり」だけを採用…その理由は?

(小泉)「超こってり」なものを2つやって、「超あっさり」なものをいくつかやって……といった感じで運用されているのでしょうか?

(浜村先生)最初はそうだったんですがいろいろ試した結果、今は「こってり」だけで進めています。

 

(小泉)「こってり」だけですか!?

(浜村先生)「こってり」だけにして、授業で教科書1周するのもやめました。これとこれとこことここだけっていうのを決めてしまって、それを「こってり」でやっています。

 

(小泉)なるほど。「超こってり」とか「超あっさり」でバランスをつけて、どれもまんべんなく平均的にやるのではなく、「こってり」だけで、手が回らないものはバッサリ切る、と。

 (浜村先生)そうですね。

 

(小泉)その心は?

 (浜村先生)「超こってり」も「超あっさり」も試してはみたんですけれども、最後にアウトプットがあって、そのアウトプットのために一生懸命読んだりする活動が生徒の理解につながっている、というのを実感しましたもので。Story reproductionがある「こってり」だけでやっていこうということになりました。

 

(小泉)このGがあるからこそ、他のAからFが引き立つ。

(浜村先生)そうですね。


◆起こりがちな誤訳の問題…

(小泉)わかりました。これが浜村先生が作った麗澤瑞浪流「TANABU Model」みたいなところですかね。

(浜村先生)そうですね。さらっとリーディングをし、本文の内容を辞書を使わずにざっと把握し、100字に要約をしなければいけないんですが、辞書を使わないのでけっこう変な訳になってしまうんですね。例えば「子供が家を失ってしまった」っていう英文なのに、「子供が迷子になった」みたいな和訳をしてきたり(笑)。

(小泉)Lost問題!

 (浜村先生)そうです。結構笑いが起こるんですけれども(笑)。でも、「あれ? なんで違うの?」って生徒が疑問に思ったタイミングで、「じゃあ辞書使っていいよ、調べてみようね」っていうところで、1文1文丁寧に辞書を使いながら見ていきます。

 そこで文法とかも全部確認をします。そして次はレッスンの内容を最終的に全部10分間で文字に起こさないといけないので、そのために、音読を集中してひたすらやると。

さすがにローマ字を最初から最後まで丸暗記なんてできません。和訳をわかっていないといけないし、話の流れもわかっていないといけないし……っていうところで、すごく集中して音読ができるわけです。

 

(小泉)そうなんですね。アウトプットを前提としてインプットしていくイメージですね。

(浜村先生)そうですね。


◆実際に使用されているシートをご紹介

(小泉)ここから実際に使っているシートに関して、サンプルの画像をいただいたいのでご紹介していただければと思います。こういったものは、教科書についてくるものなんですか。

 

(浜村先生)そうですね。

(小泉)Paragraph Chartが付いてきていますね。そうするともう皆さんご存知の、いつものやつなんですね。

(浜村先生)扱っている方からすると「ああ、これか」って感じだと思います(笑)。

(小泉)ではこのSummaryというのは?

(浜村先生)Summaryが、先ほどお話しした100字要約ですね。辞書を使わずに、そのセクションの内容を100字でまとめる、というものです。

(小泉)これは、こういうチャートがついているわけではなくて、ここからオリジナル、というわけですか?

(浜村先生)このページはオリジナルですね。

 

(小泉)ここから秘伝のタレになってくるんですね。

(浜村先生)そうですね。でも、先ほどの本に載っていたものとほぼ同じ……。

(小泉)本にレシピが載っている(笑)。

(浜村先生)そうですね。本に載っていたものとほぼ同じですね(笑)。

 

(小泉)ではこれ、2番目はなんでしょう?

(浜村先生)2番目は、辞書を使って単語の意味を調べるものです。左側に英語を書いて、右側に日本語を書いてっていう感じですね。

 

(小泉)授業の中で?

(浜村先生)課題にしてしまうことが多いですね。

 

(小泉)先ほどの話の誤訳珍訳(笑)みたいなものって、2番目をやってから上をやっちゃうと基本的には起こらないものだと思いますが……。「ちゃんと上から下の順番でやりなさい」という指導をされているということでしょうか。

(浜村先生)そうです。絶対に順番は変えちゃいけないので。

 

(小泉)なるほど。そういうことだったんですね。1番下のところが……これは質問ですかね?

(浜村先生)そうですね。これは本文の内容に関する質問でして。その質問が教科書に載っているので、それをそのまま書いただけですね。生徒は、その答えを英語で書いて持ってくる、というものです。

 

(小泉)セミカスタマイズというか、ゼロから全部考えなければいけないわけではなくて、すでに提供されているものを組み合わせていく、みたいな感じでしょうか。

(浜村先生)そうですね。

 

(小泉)続いて、こちらがComprehension。これはどういったアクティビティなんでしょうか。

(浜村先生)英語が書いてあったり日本語が書いてあったりするんですが、もともとは日本語だけで英語が全部消えていて、この日本語に該当する英語の部分を、教科書から抜いていくっていうのが内容理解なんですね。

 

(小泉)抜いていくんですね。英作文などではなくて。

 

(浜村先生)英作文ではないです。抜くだけなんですけど当校では、この文法はちゃんとやりたいよねっていうところがあれば、日本語を抜いて英語だけっていうのを出していったり、っていうことをしていました。

 

(小泉)なるほど。日本語が抜いてあるところは……これは和訳?
 

(浜村先生)和訳をしてきてね、ということです。

(小泉)わかりました。これで概要だけではなく、1つ1つ内容を理解していく、ってことですね。

 

(浜村先生)はい。

(小泉)そして最後に、これが肝心なところということで……Story reproduction。

 (浜村先生)はい、そうですね。今の内容理解で1文1文、意味のまとまりごとに理解ができたら、最後にこれがあるので音読しましょうっていう流れになります。上に10個の小さなフレーズがあるんですけれども、それはキーワードになっているので、生徒はそのワードを見ながらStoryを思い出しながら書きます。

10分間で書きあげなさいと言いますが……まぁ10分でできる生徒はそんなにはいないんですけれど。ただ、書かなきゃいけないと思うことによって、音読の質が上がるという感じですね。

 

(小泉)なるほど。よくわかりました。じゃあ本当にこれをやるためにガンガン読むと。

(浜村先生)そうですね。

 

(小泉)覚えるためにガンガン読む。

(浜村先生)はい(笑)。あと書き終わったら、ペアとかグループで添削をするんです。そのときに、主語に丸をつけて動詞に線を引けば、主語や動詞がない文がないかとか、三単現のSがついているかとかを自分たちで確認するっていうこともできます。そういったところはライティングにかなり活きているなと思っています。

 

(小泉)生徒がエラーチェックみたいなこともするんですね。

(浜村先生)そうです。


◆基本的に音読は「課題」にしている

(小泉)主語と動詞がちゃんとあるかとかですね、なるほど。といったところで、これはどれくらいの時間を使ってやっているのでしょうか? 基本的には授業中にやったり、課題でやったり、それぞれされているんですか?

 

(浜村先生)そうですね。基本的には課題で出してしまいます。答え合わせや和訳の確認を授業でやって、少し音読して、また音読を課題でやって……ということが多いです。本当は授業中にできればいいんですけれども。

皆さんもそうだと思うのですが、模試が入ったり行事が入ったりして、週3時間とか言いながら、3時間取れることってあまりないんですよね。なので、課題で出してしまうっていうようなことはけっこうあります。

 

(小泉)先ほどの相互チェックなどは、Gとかは難しいかも知れないけれど、ABCとかだとできる、っていうことですかね。 

(浜村先生)そうですね。ABCを一気に課題にします。最初からはしないですけど、最初は授業で丁寧に説明したら、あとは課題で「いつものをやってきなさい」といった感じで出してしまいます。

 

(小泉)全部課題でやってしまうと、逆に授業中に何をするのか、という話になるのでしょうか? それとも授業でできるんだったら授業で、行事とかで時間が取れなかったら課題にするんですか?

 (浜村先生)そうですね。授業では答え合わせをしないといけないので、それは時間がかかるので。Summaryのところもペアで確認して、変な訳だねって見直したりとか。あとは英文の質問に英文で答えるんですけれど、そのときも時制の一致とかを確認していると時間がかかります。

 

(小泉)そうすると、チェックを授業で主体的にやっているという感じですかね。

(浜村先生)そうですね。

 

(小泉)Aが1コマ、Bで半コマ。Cで半コマみたいな。

 (浜村先生)そうですね。


◆「超こってり」をなくした理由とは?

(小泉)コマのついでにですが……普通「超こってり」だと、パフォーマンステストっていうのがあるじゃないですか。ロールプレイとかディスカッションしようっていうような。

「超こってり」をなくした理由について、よければ教えていただけますか? 

 

(浜村先生)パフォーマンステストも、一度やってみたことはあって。アウトプットもあるし、生徒たちも自分で原稿を作らなければいけないので、すごく力にはなったとは思うんです。

ただ原稿を用意するのにも、生徒自身が文法があっているのかとかすごく気になりますし、生徒が気にしている分こっちも答えてあげたりとなると、かなり時間がかかってしまいまして。実際に発表するとなると、一生懸命その言葉を覚えて話すので精一杯で、考えながら話しているという感じはなかったので、「うーん、どうかな」という話はしていて。

当校ではオンライン英会話もやっていて、そちらでアウトプットはできているので、もう教科書はリーディングの時間にしようということになって、「超こってり」は諦めました。

 

(小泉)割り切ったんですね。

(浜村先生)そうですね。


◆「こってり」でやる・やらないレッスンの見極めポイントとは?

(小泉)あと「こってり」でやるレッスンと、やらないレッスンを仕分けされていると思うのですが、どういうレッスンを捨てるのか、そこの見極めのポイントがあれば教えてください。

 

(浜村先生)まずは、生徒が面白いなって思えそうなトピックだったらそれをします。あとは環境問題ですとか、そういったことはよく模試でも出てくると思うので、そういう視点で選んだりとか。

あとはいわゆる典型的な、ロジカルな形で書かれているような英文。主題があって、理由が3つあって最後に結論があって……という構成になっているものも、積極的に選んだりしています。

 

(小泉)生徒が興味がなさそうだったり、つまらなそうなものはとりあえず飛ばす。

(浜村先生)そうですね。ちょっと難しそうなものは。


◆Reading practiceで音読アプリ・リピートークが活躍


(小泉)ここから音読の話にいよいよ入っていきたいのですが、Reading practiceはここではコマが書いていないと。書いていただいたコマは足し算をすると4コマですかね。4コマ×3セクションで、ちょうど「こってり」が12コマという話なので一致しますが……。

逆にリーディング以外のところでこのコマを割いて、「Reading practiceはどうするの?」といったときにリピートークを使用されている感じでしょうかね。

(浜村先生)はい、そうですね。

 

(小泉)Reading practiceってどのパートでも出てくるというか、全部必須みたいなところがありますよね。この時間をどうやって浮かせるか、という問題があると思います。結局「TANABU Model」はメリハリをつけて、浮かせるところは浮かそうということですよね。これによってできた空白の時間をどうしているか、というお話を続いて伺えればと思っております。


◆「CROWN」をベースに複数の教材を使用

(小泉)ということで最後に、「TANABU Model」×音読アプリのお話を伺います。音読をしている教科書は「CROWN」でよろしいですか?

 

(浜村先生)そうですね、教科書に関しては「CROWN」だけですが……あとアルクの教材も使わせてもらっていますね。

 (小泉)「CROWN」に決めた背景もお聞かせいただけますか?

 

(浜村先生)「CROWN」は難しすぎずやさしすぎずっていうところで。高3になると難関大学の入試に出てくるような単語も登場しますし……だからといって地方の国公立を目指している子が読めないかっていうとそうでもない……というところで、うちの学校のレベルにすごく合っているなと思って選びました。

 

(小泉)何より教科書中心というところで、「CROWN」を使っていただいていると。「先ほどの音読をどうするのか」ということで、この音読アプリのリピートークを使っていただいているわけです。

リピートークは現在、中高一貫校の進学校をメインに活用いただいています。先生方は生徒に「音読しなさい、音読しなさい」と口を酸っぱく言っていらっしゃると思いますが……なかなか家ではできませんよね。なぜなら大変だから。

そこでそれを宿題にしてしまって、嘘でもいいので「成績評価に加えるよ」と言っていただく。そして音声録音をしてアプリで提出すると、やったかやらないかが見える化できるので、簡単にフィードバックできるというわけです。


◆麗澤瑞浪でのリピートーク活用法

(小泉)では実際に、浜村先生がどのような課題を生徒に与えていたのか、見ていきたいと思います。 

貴校でやっていただいている画面ですけれども……「CROWN」が入っていたり、アルクの『アクティブ・リーディング』があったり、『速読英単語』があったり……。当社では、教科書以外にも対応できるよう特許を取得しております。単語帳だったり英検対策の本だったりと、いろいろのるようになっています。そして中心で使っていただいているのが「CROWN」というわけですね。

これが学習の画面なんですけれども……浜村先生にご指定いただいて、だいたいこの6つの練習、セクションごとにして、最後に音読したものを提出といった設定にしていただきました。これを順番にご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

 

(浜村先生)はい。最初はVocabularyで……これは新出単語を入れてくださっているので、その音声を聞いて、自分で真似して読むということができる練習です。

(浜村先生)次は英語の文字が出ない状態でできますので、録音で「これなんだったっけな」と見ながら……。

 

(小泉)さっきのを覚えていないと当然できないよね、みたいな話ですよね。

(浜村先生)そうですね。そして新出単語を練習したら、次のRepeatingですね。これが先ほどの内容理解で使ったシートと同じなんですけれども、まとまりごとに英文と日本文が出てきます。ネイティブの人がまず発音してくれるのでそれを聞いて、真似をしながら読んでいく、というものです。CHUNK読みと呼ばれるものです。

 

(小泉)お手本が出て、CHUNKごとに読んでいくようなものです。

(浜村先生)下の小さい三角を押すと、そこだけで聞くことができるんですよね。そこだけで流すことができるので、「ここの発音わからないな」と思ったら、そこだけずっと練習している子とかもいます。個々に合わせて使えるようなものになっていると思いますね。

 

(小泉)そしてOverlappingだったりShadowingをして、最後は読んだものを提出という流れで使っていただいています。どういう意図でこういった流れにされたのでしょうか。

 

(浜村先生)基本的に授業でやる流れと一緒で。新しい単語の読み方を知ってから、フレーズごとに読み方を知っていって、Overlappingで同じ速さで読めるようになったら、最後英文を見ずに読めるようになるといいよね、っていう流れですね。

(小泉)ありがとうございます。こんなふうにリピートの幅とかも最初CHUNKごとに読んで、一文ごとに長くしていったり、文字がだんだん消えたり……そういったステップでやっていきたいということですね。


◆リピートークの便利な機能

(小泉)いろいろ提出すると、先生が1個1個フィードバックするのが大変だなと思います。

これは提出した音声をチェックする画面です。1個1個再生することができるんですけれど、提出した音声に関して何分、この音声で録音して自分の声をこれでほとんどチェックしている・していないなどというのが、一目瞭然でわかるようになっています。

ちなみに、提出した音声をAIでテキストに起こす機能がありまして。それを使えば、音読だと原文がある場合、何%一致しているかというのが表示され、ちゃんと読めているのか読めていないのかがわかります。

この一致率が……例えば10%だったらもう1回にするとか、50%以上だったら合格にするといったことが自動で設定できます。何%以上で学習時間が何分以上というふうに設定すると、自動であとはまとめて添削を押すだけで全部フィードバックが返るようになっています。


◆中間層の6割が動くようになる

(小泉)アプリがあってもなくても、2割の生徒はちゃんとやるし、2割の絶対にやらないと。ただこれを「宿題にしますよ」とか、嘘でもいいので「成績に入れますよ」と言っていただくと、中間層の6割がガッと動くようになります。

そうすると2割しかやらなかった割合が逆転して8割くらいになる。そうすると学校全体にインパクトが出てきます。 


◆リピートークで音読チェックの大変さが軽減

(小泉)ちなみにリピートークを導入する前は、音読についてどんな課題を抱えていらしたのでしょうか?

 

(浜村先生)さっきもお話にありましたが、「音読をしましょう」と生徒にもかなり言っていたんですけれども、家で本人がやっているかどうかあまりわからないですし、本当に読むだけでネイティブの発音を真似できているのかどうかも把握できていなかったので、本人任せになっていたところがあります。

 

(小泉)とはいえ……実際音読のチェックって大変じゃなかったですか?

(浜村先生)大変です(笑)。

(小泉)アプリを使ってみたらどう変化しました? 

(浜村先生)アプリを導入し始めたのが、コロナで休校していた期間でした。そのときは1人1人じっくり聞いていましたが、やはり学校が始まるとそんな時間もなかなかなくて。さっきの一致率を生徒に見せて、80%以下は不合格だよってやると、生徒が80%を取ろうとして必死にネイティブの真似をしたりするので、そういった機能を使わせてもらいながらやりました。

 

(小泉)そうすると、一致率があるから何もやっていなかったときより管理のコストはかかりますが、もまぁ無理なくといった感じなのでしょうか。 

(浜村先生)まぁそうですね。今は、誰が何%取ったかをエクセルで出るようにしてくださったので、本当に便利です。


◆英語嫌いが激減し、教員の発音も改善された

(小泉)ありがとうございます。実際にやらせてみて、効果を感じることってあったりしましたか?

(浜村先生)ありましたね。生徒自身が読めるようになったとか、聞けるようになったと言っていて、「先生、音読って大事ですね。後輩に言っておきます」みたいな子が増えました。

あとは教員自身の発音もよくなりました。本当に英語が嫌いで、英語アレルギーみたいな子っているものですが、これを採用して読めるようになり、アレルギー反応を起こすほど嫌いという子がぐっと減りました。苦手意識を持っている子でも、英検の2次試験の英文とかをスラスラ読めるようになりましたね。


 ◆生徒の英語学習のモチベーションを保つ工夫は?

(小泉)継続のために工夫されていることが何かあれば教えてください。

(浜村先生)生徒側には、一致率の上位者を毎週貼り出して「今週はこの子がよかったよ」みたいなことをやると、頑張らなきゃっていう子が増えていくので、そうやって……。

 

(小泉)塾みたいですね(笑)。

(浜村先生)そうですよね(笑)。そうやってモチベーションを保ったりですとか、学校側としても音読アプリを入れてからの成績がぐっと変わるので、それを見てぜひ続けようと後押ししてもらえています。それが今も続けられている理由ですね。

 

(小泉)実際に、休校期間中の成績の変化がわかるグラフを共有していただきまして。これはどういうグラフなんでしょうか。

(浜村先生)これはですね、高1の秋から「TANABU Model」をやっている生徒の進研模試の推移ですね。英語がこのオレンジ色でして。休校期間になってしまった期間の4年となっていますが、これは高1のことです。

高1の1月から、高2の7月までの期間なんですが、他の教科の偏差値は下がってしまったのですが、英語だけむしろ上げることができたという結果が出ました。

もともと「TANABU Model」はやっていたので、プリントを渡したらどうやって勉強すればいいかわかっている状態です。プラス、この休校期間に音読アプリを採用し、生徒が自分でそれを聞きながら読む練習をしていて、フィードバックもこちらから返してということで、遠隔で個別指導ができました。

音読を通して個別指導ができたっていう結果がこれにも出たかな、と。なので「TANABU Model」とリピートークをやっていると、生徒が自分でどうやって勉強していいかがわかるので、自主的に勉強するようになったということの結果だと思います。

 

(小泉)これは本当に、休校期間中に1人1人の声を聞いてかなり丁寧にフィードバックを返していただいた浜村先生の努力の結果ですよね。

今音読アプリもいろいろ出てきていますよね。生徒の手元でAIで全部返してしまうアプリとかもあります。そういうのは先生は楽なんですが、カラオケの採点みたいな形でですぐ出ちゃうので、「先生、見てくれていないな」ってなると、長期的には生徒のモチベーションが下がってあんまり続かないことがあります。

「どうせAIでしょ」っていうところを、先生が辛抱強くフォローしていただいた結果なのかなと思いますね。そういう意味では、「TANABU Model」を核にというのもですけど、教科書、授業を中心に据えてオフラインを前提に、こういうICTをツールとして使っていらっしゃるのが功を奏したのかなと。  

◆TANABUとリピートークの相乗効果

(浜村先生)「TANABU Model」と音読アプリを入れてから、生徒の様子がすごく変わりました。音読すればするほど英語力がアップするので、じゃあ音読しようというように生徒がやる気を出していっています。

先ほどもお話ししたように生徒自身が「あれ、僕なんか夏よりもすごい読めています!」だとか、「なんか聞けています」っていうように生徒自身が感じるのも、すごくいいなと思いました。

この写真はですね、実際の授業の様子なんですけれども。

(小泉)よく見たら「CROWN」がありますね。 

(浜村先生)そうですそうです! これはまだコロナが流行する前だったんですが、土日に音読を練習してきて、誰が一番早く読めるか競争しようとか、本当にいろんな音読の方法を入れて生徒が飽きないようにしていました。

なぜ生徒がこんなに喜んでいるかというと……以前は毎年オーストラリアから数人留学生が来てくれていまして。この一番手前の左の、フィン君という名前の男の子なんですけれども、その子と勝負をしようと。ただ同時スタートだと負けてしまうので、フィン君には15秒待ってもらって、生徒が読み始めて15秒経ってから読み始めると。

それでフィン君に勝てるかということで……最初は全然勝てなかったんですけど、でもこうやって勝てるようになってきたら、嬉しくて嬉しくて。まぁこういうことをして音読してもらおうと、頑張っていました。

(小泉)努力が裏切らない領域だと思うので。これも素晴らしい工夫をされているなと思いました。


◆今後の英語教育の展望などについて


(小泉)といったところでお話を伺ってきたんですけれども、最後に締めというか、浜村先生にこれまでの工夫をいろいろお伺いしたんですけれども、これからの展望だったり野心、こんなふうにしていきたい、改革、もう一歩こう進めていきたいというのがあれば、教えていただけると幸いです。 

(浜村先生)そうですね、やっぱり最終ゴールが「使える英語」であるので、そこを目指していきたいです。あとは今中学生に5ラウンドを教えていて、その子たちの高校のスタイルをどうしようかっていうのを模索中でして……。「TANABU Model」とどう組み合わせるかを決めないといけないので、今はそれに一生懸命力を入れています。

ICTは本当に最近進んでいるなと思っています。初めてオンライン英会話を導入したときと比べると、本当にいろいろなものが出てきていますよね。音読アプリもどんどん新しいものが出てきているので、そういったものをうまく活用しながら「使える英語」を生徒に教えていけたらいいなと思います。

(小泉)ありがとうございます。音読アプリも最近では、オンライン英会話と連携をするケースも出てきています。各社がいろいろなものを出してきているので、皆さまも是非注目していただくといいかもしれませんね。


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