さまざまな生の英語と旬のニュースを聞ける!
最終更新日:2024年7月24日
- おすすめしたプロフェッショナル
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泉類 尚貴 / 福島工業高等専門学校 英語科
CNN Workbook Extended Course
朝日出版社
- おすすめのポイント
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おすすめのポイント
実際にCNNで放送されたニュースを1本30秒の短さで聞くことができ、生の英語に触れられます!
対象としたクラスの特徴と導入の経緯
学年:機械システム工学科の3年生(2024年度)、機械システム工学科、電気電子システム工学科、ビジネスコミュニケーション学科の3年生(2023年度)
人数:約40名(2024年度)、約120名(2023年度)本校は高等専門学校(高専)で、専門的知識を学ぶ学生が多数います。専門的勉学が学習の中心となるため、英語学習にまでなかなか手が回らない学生が多いのが現状です。
また、高専は高等学校とは違い、高校の学習指導要領に縛られません。英語の授業時間も90分授業が週に2回と少なく、その中でもリスニングの時間が非常に短かいことを課題に感じていました。
そのため、教材探しの軸として、リスニング力をつけられるもの、英語が苦手だったり好きではない学生も読んだり聞いたりしておもしろいと興味を持てる教材を探していました。
そんなときに出会ったのが、本教材でした。
中身を見てみると、本物のニュースなので難易度が高い。英語が得意な学生も手こずる内容だなという第一印象でした。これくらい難しいと、英語が苦手な学生は逆に「得意な人でもできないのだから自分も解けなくて当たり前だ。身構えずに気楽にやろう」と劣等感を抱かずに済むかなと考えたのです。学生のプライドを傷つけないいい教材だと思い、導入しました。
教材の特徴や良かった点・構成
本教材は実際にアメリカのCNNで放送されたニュースが素材となっています。特徴は、文章の短さと多彩なテーマを取り扱っている点、さまざまな種類の生の英語が聞ける点です。
文章は1本30秒で聞ける短さで、20本収録されています。テーマは実際に起こった宇宙開発の話やビットコインの話など幅広い分野を扱っており、学生の一般教養を養えると思っています。
インタビューなどでは、アメリカ英語以外の英語で話されている部分もあるのでさまざまな英語に触れられます。また、話者がネイティブでない場合や、教科書で多く出てくる文法通りではない話し方をしていることもあります。
私はむしろその点がいいと思っているんです。学生たちには「『正しい』文法で話さなければ!」という心理的なハードルがあるようなのですが、本教材での英語に慣れ親しむことで、「絶対に『正しい』文法で話さなくても通じるんだ、話していいんだ」と気づいてもらいたいです。構成は、1つのニュースに対し内容を問う設問が2問程度と、トピックに対する自分の考えを書く設問から成っています。
教材の音声はナチュラル、ゆっくりスピードの2パターンあります。ナチュラルで聞き取れない学生の心が折れてきたときにゆっくりスピードを聞かせ、再びやる気を出させるのにとても役立っています。
また、和訳、語彙リスト、動画もついており、理解を深めるのに十分な教材です。
実際の使い方
ウォーミングアップとして、授業の冒頭15~25分を使い本教材を使用します。
①ニュース音声を聞かせ、設問を解く
②ペアワークで内容を確認する
③ディクテーションシートの穴埋めをしてもらうディクテーションシートを解く段階では、時間があるときは音声を何度も聞かせてリスニング力向上を目指しています。
定期試験にも本教材から問題を出しています。過去に出題したディクテーションシートから、テストに出る範囲とよく出るフレーズについてを予め発表しておくと、英語が苦手な生徒もしっかり勉強してきてくれるので、嬉しいです。
工夫しているポイント
ディクテーションシートのワークでは、学生にも負荷をかけているので、自分にも負荷をかけ作成しています。私自身も何も見ずに教材を聞き、自分が聞き取りにくかった部分の穴埋めをしてもらうシートを作成しています。
実施した結果
高専は大学進学のための模試を実施しないので、なかなか数値での結果は出しづらいです。しかし、授業の休憩時間などに「CNNニュースのあそこが聞き取れなくて悔しかった」などの声が聞こえ、生徒の英語学習へのやる気が上がったと実感できました。
今後に向けて
一部の学生の英語学習は、呪文のように唱えて暗記して終わりという傾向があったように感じるので、楽しめる学習を追求したいです。
たとえば、Chat GPTを使って英語で原稿を書いてみるなど、高専の生徒が馴染みのある技術的な要素も絡めて学習できると、達成感があるのではと思っています。
そのような学習方法を確立していきたいです。
- 泉類 尚貴
- 福島工業高等専門学校 英語科
プロフィール
慶應義塾大学卒業後、さまざまな大学での非常勤講師を経て、福島工業高等専門学校へ。専門は英語学、英語史、社会言語学、コーパス言語学。コーパス言語学は、1人のネイティブに聞くよりもより多くの情報源から実際の言葉の使われ方を知ることができる点が魅力で学び始めた。英語…