2022年受験用 大学入学共通テスト 英語
最終更新日:2022年4月8日
- おすすめしたプロフェッショナル
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東北地区 私立女子高校 S先生 / 東北地区 私立女子高校
2022年受験用 大学入学共通テスト 英語[リスニング] 傾向と対策 Trial 30
昭文社
大学入学共通テスト 英語[リーディング] 傾向と対策 Trial 40
昭文社
- おすすめのポイント
Q. 良かったところ
本書は、問題編自体も良いが、別冊付録「傾向と対策ファイル」が秀逸。問題を解く前にこの「傾向と対策ファイル」を読み、それを使って生徒が自分で考え方や求められていることを把握できる点にひかれた。
また、80分の共通テスト予想問題を、授業時間内に取り組めるように、テストA・テストB(各40分)の2つにバランスよく分けて作られているため、普通の50分の授業のなかでも自己採点までしっかりできる。そして、家に帰ってから授業で扱った問題をしっかりと復習する、というサイクルが作りやすい点も良かった。
残念なことに音声は付いていないが、他の共通テスト用教材にも音声付きの物は見当たらず、仮に付いていたとしても価格が高い。本書は別冊付録付きで990円(税込)と、とてもお手頃価格という点はむしろメリットの1つ。同シリーズのリスニング「Trial30」も同価格で、セット購入しても2千円弱と安くすみ、価格も問題のレベルも手ごろだった(CEFRのA2~B1レベルの高3生にとって)。
Q. 困ったところや改善してほしいところ(もしあれば)
「Trial40」に音声があればパーフェクト。1300円くらいまでなら購入したい。
センター試験用から共通テスト用に作り変えられて間もないだろうから、今後さらにブラッシュアップされた問題が出てくるのかなと期待している。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
・問題集を与えさえすれば各自自分で解いて納得できるような、自走できる生徒が少なかった。
・共通テスト対策授業を、2時間の通し授業にしてテストと同じ80分をまとめて実施したかったが難しく、通常枠の50分の授業のなかで使いやすい教材が望ましかった。
状況(クラスの人数やレベル):
2021年度から新たに導入し、「特進クラス」でのみ、高校3年生の夏終盤から使用している。人数は1クラス14名で、レベルはCEFRのA2~B1(英検準2級~準1級未満)。
※普通科は、最大33名でCEFRはプレA1~A2のレベル(英検4級~準2級)
本来なら高3の初めから使いたかったが、まだ早いと感じて導入時期を調整した。
その時点では英検2級の合格レベルに満たない生徒が大多数だったため、もう少し文法を定着させてから長文に取り組む方が良いと思ったからだ。
そこでまずは、同じ旺文社の「スクランブル」のような、1文で1文法対応の文法問題集を宿題として学習した。ある程度力が付いてきて、長文も読ませたいとなった夏終盤から、本書を使用開始した。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
3年前に新設した特進クラスで初めての受験を迎え、センター試験から共通テストへの変更もあり、さまざまな共通テスト対策教材を検討した。そのなかで本書を選択した理由は以下の3点。
・問題の考え方を説明する別冊付録があることで、生徒が自力で問題を解きやすい
・40分ずつで構成されており、通常の50分の授業内で完結できる
・価格や問題のレベルが手頃
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースでなど)
【本書の構成】
本冊「問題編」(180ページ)、別冊「解答・解説編」(120ページ)、別冊付録「傾向と対策ファイル」(112ページ)の3冊セット。
「問題編」1冊に40分×10回(A・B各5回)分のテストが掲載されている。テスト1回分は13~15ページにまとまっていて、1回分のなかに長文が5個くらいあり、長文1問に対して2~5問の設問がある(共通テストの形式に準じている)。
「傾向と対策ファイル」では、2021年度本試験問題と過去2回の試行試験問題について、細かく解説されている。解き方・考え方や注意するポイントなど、授業で教員が解説するようなことが明文化されている。
【授業での活用方法】
担当している高3の特進クラスにて、週2コマの補習授業(水曜と土曜の各50分)で、姉妹教材「Trial30」と合わせて夏終盤から使用している。セットの3冊全てを使い、以下の手順で授業を組み立てた。
① 「傾向と対策ファイル」を、まず一度生徒にあらかじめ読んできてもらう
② 次の授業時間1コマ全てを使って、その内容(問題の考え方)の理解度を確認しながら解説
③ 1コマの授業のなかで生徒は、40分で問題を解き、残りの10分で各自「解答・解説編」を読み自己採点。
※解いていてどうしても分からないときには、生徒は自分で「傾向と対策ファイル」を見直して考え方を確認できるので、そのうえで問題に戻ると分かりやすい。
④ 解いた次の授業1コマで、前回の復習をする。実際に解いた問題のなかから抜粋して、押さえたいイディオムや問題に直結するような文章の内容やフレーズを復習したうえで、それぞれが再度、解き直している。
※単純に③を2回繰り返せば共通テスト1回分(80分)になるが、都度復習(④)するため、③(テストA)→④→③(テストB)→④という流れにしている。つまり共通テスト1回分を終わらせるのにトータルで授業4コマ分(2週間)使っている。
※その4コマ(リーディングテスト1回分)の後、姉妹教材のリスニング「Trial30」についても同様に、1コマで解き、次の1コマで復習する。リーディングとリスニング合わせて共通テスト1回分をこなすのに、6コマ(3週間)使っている。
指導するうえでの工夫:
初めの頃は特進クラスでも、復習や自分で勉強するという体質があまりなかった。そのため、授業のなかで復習の時間を取り、実際に解いた問題を使って勉強するにはどうすれば良いのか、分からないところがあったら分かるまで復習することを、具体的に教えるところから始めた。
大学の共通テスト対策に取り組ませるうえで、自分で勉強できる力を付けさせたかったからだ。なんとなく解説を読んで分かった気になっている生徒が多いが、そこで終わらず、分からないところがあったら自分で解読できるようになる、もしくは不明点を聞くようになる状態にしたかった。
しかし、質問をするのも目立って嫌だという生徒もいる。そのため、「分からなくて当然。分からないことは素直に分からないと聞けばいい。調べればいい」という雰囲気づくりに最初は苦労した。復習の時間内で、「何かしら1つは疑問点を質問する。なかったらなくても良いが、その場合はこちらから聞くから」と言い、生徒に「これを説明してみて」のような質問をしていったら、質問が出てくるようになった。
Q. 使ってみた結果
本書を使うことで、分からないところは別冊付録で復習しながら、授業内で解く→家で復習→次の授業でも復習、というサイクルが作れた。それを繰り返すことで、各自が復習や学習の仕方を体得していった。最後の方は、解いたらすぐに「解答・解説編」を読んで、そのうえで分かったこと・分からなかったことのメモを各自が取っていた。翌日になって、ここが分からなかったと聞きに来る生徒もいた。
文章に対してのアプローチの仕方も、導入前に比べて向上し、ある程度長い文章に対してもとっかかりを見つけようとする力が付いた。
また、出てきたイディオムや表現を、解いた次の復習の授業内で再度、問いかけるなど提示することで、知識の定着ができたと思っている。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
共通テストを利用して、大学に進学をしたい生徒にはおすすめ。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
そこまでではなく、推薦試験を利用して受験する生徒は、こちらではなくそれぞれの個別の問題を解いた方が断然効率的。
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