Talk and Talk Llight Book 1~3
最終更新日:2022年8月25日
- おすすめしたプロフェッショナル
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江澤隆輔 / 坂井市立三国中学校
Talk and Talk Llight Book
正進社
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
まずは、安くて、薄くて、持ち運びがしやすいところがポイント。
生徒たちが作文を通して文法を確認でき、スピーキングの練習につなげられるため、自分で文章を作成・スピーキングするという活動に最適な教材であった。
また、文章を作成する過程でも、文法の確認などができる点も魅力的。
学習指導に工夫を凝らせば、生徒たちが意欲的に自主学習に取り組むことができ、効果が高まる。
実際、生徒たちは自主的な学習ができており、意欲的にスピーキングテストにやってくるし、友達と一緒にテストに来たりするためスピーキングへの抵抗感のある生徒もほぼいなくなっている。
何より、楽しくスピーキングができるようになっていることが、魅力的だと感じている。
「テストができればいいんでしょう」というような意識の生徒はいなくなった。
Q.困ったところや改善してほしいところ
困ったところは特にないが、指導要領の改編に伴い、教科書が改訂されると、文法の項目の配列が変わるので、今後配列や内容が変わるかなと思っている。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
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問題/課題:
英語教材は金額が高かったり分厚かったり重いものが多く、生徒の負担になっていると感じていた。そんな中、安くて、薄くて、持ち運びやすい本書を見つけ導入することにした。
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状況(クラスの人数やレベル):
本書は中学校1年次、2年次、3年次の習熟度に沿った内容となっているが、幅広い層でもレベルに応じて学習できる。本校の中学1年生はまずフォニックスで発音の学習をある程度固める。本教材(Book1~3)はその後に取り組み、1年生~3年生前半まで利用している。
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他の類似教材ではなくなぜこれか:
生徒たちが自主的・意欲的に学習できるような方法をとることのできる教材である。カラー教材であることや、各項目においてのヒントも、文法知識の定着や応用・総合的理解に最適であるため。
Q.実際の使い方
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本教材の構成
1単元につき見開き1ぺージで、上段に1つの文法につき1つのモデル会話が提示されている。
下段には6つのPartがあり、それぞれのPartに、上段の会話文の単語と入れ替えられる単語がいくつか提示されている。各Partの単語をもとに、モデル会話を作り替えることができるという構成。具体的な使用方法は後述(授業の進め方)するが、生徒が作り替えた英作文はスピーキングテストで利用する。
(例)モデル会話
「What subject do you like ?」「 I like science.」(実際はもう少し長い会話文)
下段のPart例 《1》 he / music
→生徒が英作し、スピーキングするのは
「What subject does he like? 」「He likes music.」
下段のPart例 《2》 Tom / P.E.
→生徒が英作し、スピーキングするのは
「What subject does Tom like? 」「Tom likes P.E.」
例えば上記の例であれば、三単現の「s」の学習ができる、といった構成となっている。「語彙」と「語順」を自然に学べるような会話文となっているため、特に文法的説明などが記されているわけではないが、教科書で学習した内容を応用して十分に取り組むことができる。
徐々に難易度が上がり、教科書の文法学習内容に併せて(教科書とは多少配置の前後がある場合もあるが)学習できる構成となっている。
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授業の進め方
授業で「今日の授業はこのページ」という形では利用していない。
初めに、すべてのページの学習方法と評価方法を提示し、自主的に学習できるよう促す。
(学習方法)
①モデル会話文を参考に、下段6つのPartに対して単語を入れ替えた正しい会話文を6パターンノートに作成し、先生に見せてチェックしてもらう。
②すべての会話文が正答だった場合、スピーキングテストを受けられる権利をゲット。(チェックカードにチェックしてもらえる!)
③休み時間や放課後、先生を見つけたらどこででもスピーキングテストを受けられる。
テストの合否の基準は3ポイント。
1)6つのPartのうち、難易度の低いものから1題、難易度の高いものから1題指定される。
そのPart2つの会話文をノートを見ずに「Talk and Talk」の該当ページだけで、正しくスピーキング
できるかどうか。
2)各単元ごとに、2つの会話文を読み終えるまでの制限時間を設けている。制限時間内にスピーキング
できるかどうか。制限時間は、各単元のモデル会話によって異なるが、指導者が初見で一読した時間
の倍程度を制限時間として提示している。
3)発音チェック。TH/F/V/Rの4つの発音が正しくできているかどうか。
④1単元スピーキングテストに合格できたら平常点が加算される。
(指導の工夫・留意点)
・TH/F/V/Rの4つの発音は日本語にない音なので気を付けて確認している。
・スピーキングチェックは時間がかかるため、時間制限を設けている。
・担当1人のみだとチェックの時間がかかることと、生徒にとってもチェックの機会が限られている。そこで
ALTの先生が来ているときには、時間があれば、スピーキングチェックの時間を作り、2人でチェックでき
るようにしている。
・合否の基準を3つに絞ることで、担当者による評価の差もなくなる。
・評価につなげることで、生徒たちの意欲喚起。
Q.使ってみた結果
スピーキングの力が格段についた。
本教材は、モデル会話とヒントをもとに英作ができる。頑張ってもなかなかできない難易度の高いものではなく、全員が「少し頑張ればできる」というものであるため、全ての生徒が自主的に取り組むことができている。
スピーキングがもとから好きである生徒でなくても、英作文の段階で自信をつけることで、スピーキングにトライする活力となっている。また友達のスピーキングを聞く流れで一緒にテストすることに抵抗がなくなったりと、生徒たちの意欲は高く保たれている。
Q.利用が向いているクラスや生徒
中学校1~3年生。幅広い層であっても利用できる。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
なし。
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- 江澤隆輔
- 坂井市立三国中学校
プロフィール
公立中学校11年、公立小学校3年のご経歴。英語教師をしながら、英語授業の本を執筆。年10回ほどセミナーや講演にご登壇。YouTube等で英語授業の配信・中学英語の授業法や教育方法、働き方に関する著書・編著多数。 【活動実績】(一部) 2021.6『教師のライ…