反復練習で文法の基礎を固める
最終更新日:2022年10月14日
- おすすめしたプロフェッショナル
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村田秀一 / 福山暁の星女子中学・高等学校
新訂版 徹底反復シリーズ 《5-STAGE》英文法完成 BOOK 1
数研出版
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
文法演習問題集ではあるが、ユニットで出てくる単語がリストにまとまっていたり、リスニングにディクテーションが付いていて使いやすい。また、初めは単語の穴埋め問題から始まり、徐々に長めの文法問題を扱う形で、単語レベルから文レベルへと段階的に学べるようになっている構成が良い。ポイントがステージをまたいでくり返し出てくるので、ステージを重ねるごとに何度もくり返し学べて、定着しやすい。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
以前使用していた教材と比べると、文法項目ごとの問題の表現がパターン化されていて、表現の種類が少ない気がする。同じパターンで繰り返すのが、英語が苦手な生徒にとっては反復練習となり良い点だが、得意な生徒にとっては、少し物足りないと感じるかもしれない。
解説も、良くも悪くもあっさりしているので、必要に応じて、教員が追加して解説しなければならない点がある。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
令和2年度から中学生を対象に導入。(1年生=BOOK1、2年生=BOOK2、3年生=BOOK3)それまでは10年近く、他の出版社の文法テキストを使っていたが、同じ問題集を長年使い続けると、生徒も慣れてきてしまう。新鮮味を保つため、今回10年の節目で変更した。
状況(クラスの人数やレベル):
定期考査の点数をもとに、習熟度別に1学年を3等分にわける。中学1年は1クラス約20人。上位層は英検3級レベル、下位層は英語の基礎から取り組む感じのレベル感。定期考査の結果次第でクラスの入れ替えは可能なため、3クラスとも同じペースで授業を進め、定期考査ごとの範囲は合わせるようにしている。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
英語科教員で話し合って決めた。リスニングのディクテーションが付いていたり、単語のリストが載っているのが使いやすい。そのユニットに出てくる単語が最後にまとめられているのは、一般の文法テキストにはあまりない特徴だ。問題を解くにあたって単語が分からないと先に進むのは難しいので、以前の教材では、文法の問題を解く前に、単語の発音をさせたり意味の確認をしたりするためのプリントを自作していた。本書はリストがあるので、授業内で単語を解説する時間を省くことができる。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
教材の構成(全体構成、ページ構成):
文法項目ごとに21のユニットがある。各ユニットは大体8ページ。教材の名前のとおり、5つのステージから成っている。
1-2ページ:左側に文法の解説・右側にFIRST STAGE「Basic Training」(単語の穴埋め等)
3-4ページ:SECOND STAGE「Standard Question」
5-6ページ:左側にTHIRD STAGE「Reading」(和訳)・右側にFOURTH STAGE「Listening」
7-8ページ:左側にFIFTH STAGE(英訳)とEXTRA STAGE・右側にWORD CHECK(単語リスト)
進め方(年/学期単位、授業単位):
本教材は教科書の次のレッスンで習う文法のポイントに合わせ、教科書に入る前に文法を押さえる目的で活用している。英語の授業は週に5単位(+ALT1単位)あり、1つのステージを1単位で扱うので、1ユニットを1週間で扱う。教科書のポイントが、一般動詞と命令文など、1つだけではないときは本書の2ユニット分扱うため、2週間くらい続けて本教材を扱うときもある。
本書を使う授業の日は、毎回最初の5分くらいを使って、単語を覚える帯活動を行う。1ユニットにつき20ほどの単語が出てくる。それを「フラッシュカード」というアプリに打ち込んで、表が英語、裏が日本語のフラッシュカードをスクリーンに映し出せるようにしておき、全員で意味を確認する。1つのユニットを扱う間は毎回同じ20個の単語を繰り返す。スペルに気を付けたい単語や共通点がある単語を見つけさせたり、ランダム機能も用いて変化を付けながら行う。
その後、各ステージを扱う。上記の構成で、各ステージに練習問題が10問~20問載せられている。
問題の種類は、穴埋めや並び替え、和訳や書き換えなど、ステージによって異なる。
文法の解説は最初はあまり詳しくせず、軽くだけ説明して、まずは問題を解かせる。その後全員で答え合わせを行い確認する。その時に問題点やわからない点が見つかれば解説を加える。
指導する上での工夫:
学んだことが定着するよう、とにかく繰り返し扱う。別冊で、各文法項目の「暗唱例文集」があり、それを覚えさせて授業のFIRST STAGEが終わった時点で小テストも行うが、前のユニットの項目も忘れないように前のユニットの例文も含め、スパイラルで行うようにしている。
各ユニットの最後に「Extra Stage」という自由英作文のコーナーも付いている。授業支援アプリ「MetaMoJi」で作文シートを配信し、タブレットに書き込んで、画面上で添削する。学習した文法をすぐに使って自分の事や身の回りのことを言えるようにして、実際に活用させたい。
Q. 使ってみた結果
他の学校の授業見学に行った際、「5STAGEは難しいから使うのを止めた」という先生の声も聞いた。たしかに解説があっさりしているため、けっこう難しい教材ではあると思う。ただ、これを学習したうえで教科書に入ると、教科書が簡単に思える。教科書は基本のエッセンスだけなのに対し、本教材の問題集には応用問題まで入っている。本教材を扱うと、教科書の学習に入ったときに、生徒たちは本文もすらすら読めている。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
英語のレベル感では中の上くらいの生徒にお勧め。下位層の生徒にも使用は可能だが、分からない点の解説を加えたり、繰り返し扱って定着を目指す工夫が大切だと感じる。クラスの規模は大きくても少人数でも利用可能だと思う。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
英語学習の初期段階にあり、易しいレベルを詳しく解説しながら進める必要があるクラス。
- 村田秀一
- 福山暁の星女子中学・高等学校